07/14/2005 22:29:00
ところでこれも数日前に書いた水琴窟の話。
あそこでホールのピッチについて書いていたけど、プロの音楽家でも自分の楽器のピッチには気を使うけどホールのピッチに関しては無頓着な人が多いって書いたよね。
確かに自分でホールのピッチは変えれないし、あるものを受け入れていくしかないのだけど、もっとプロの演奏者たちがピッチについて口にしてもいいのではないかと思う。
ちゃんとしたピアニストであれば、そこは明るくとか、しっとり弾いて欲しいっていうとそのような音色を出してくれる。これはハンマーが当たる瞬間の指の形を硬くしているか、柔らかく柔軟にしているか、そして音の切り方によって音色が変わるのでそれを使い分けているのだけど、
ちゃんとした調律師なら、明るい音色でとか、柔らかくとか注文していれば、きちんとそのような音色を出すように調律してくれる。反響板までは手が回らなくとも、フェルトの質でもある程度音色を変えられる。弟は安いピアノを買って、ハンマーなどをいいのに取り替えて使ってるけど、確かに音色はその投資以上にすばらしく変わっている。
このように楽器の調律や、弾き方、ちょっとした楽器の修正で音色は変わってくるけど、それ以上に大きいのはホールの持っているピッチだと思う。
水琴窟のところで書いたけど、一つの音があって、それが私たちの耳に聞こえるときには、その音が周りの環境によって変化したものを聞いている。まったく反響のない、周りの影響のないところでの音はストレートに聞こえてくる。ピアノのような反響板をもった楽器や、バイオリンのように反響室を持った楽器ならある程度自分の楽器のストレートな音を聞かせることもできるけど、フルートのような殆ど反響室を持たない楽器ではストレートの音はとても聞けたものじゃない。これは部屋の反響を前提に作られている楽器だから。
ここで一つ問題は演奏者たちの多くは自分の楽器のストレートな音を聞いている。聴衆の耳に届く音を聞けないこと。
(バイオリンなどで遠鳴のする楽器というのがある。近間のストレートな音はがざがざした音でしかないけど、離れたところではすばらしい音色で、音も大きく出るような楽器がある。友人がコレクターの楽器を弾いていたことがあるけど、家の中で練習しているのを聞くと、ゴオゴオという音しか聞こえない。驚いて何でそんな音を出してるって聞くと、家を出て遠くで聞いてごらんっていうから、何軒か先で聞いているととてもすばらしい甘い音色の音が聞こえてくる。こんな楽器があるんですよね。もっともこの楽器に当たって、その音色を引き出すのにはちょっとした才能が必要なのかもしれないけど。こんな楽器を使いこなせる演奏者はストレートの音と、ホールの中で聞こえている音の区別がついて、聴衆の耳に届いているであろう音色を想像しながら弾いているのだろうと思う。)
ホールの持つピッチが低ければ、自分の耳に届いているストレートな音よりも低い倍音が強調され、荘重な音、しっとりした音色に聞こえているし、ピッチが高ければ明るい音色が聞こえているはず。
音楽家が楽器のピッチのこだわるのも本当はその音色の問題だと思う。442で調律されている音を聞きなれていれば、443になっていれば、高い、明るいというような感じを誰もが持つのだろうと思う。人によっては442.1でも区別がつくはず。
(音楽家の弟に寄れば、プロはコンマ1桁の差まで判らなければいけないそうだ。演奏の途中で管は上がるし、弦は下がる傾向がある。演奏会の途中で奏者が音合わせをしているのをご覧になったかたも多いと思う。プロはそこまで調整しながら弾いているのだから。)
一時期アメリカ風のはでな音が好まれたときに世界のオーケストラのテンポやピッチがどんどん上がっていって446くらいまで上げたものを聞いたこともある。(今は収まる傾向にあるけど)
アンサンブルのソリストはピッチを微妙に上げたがる。それはアンサンブルの音の中で自分の音を聞かせたいから。
でも楽器の音色、ピッチにそこまでこだわるのなら、ホールのピッチ、残響、アクースティックにもっとこだわりを持って欲しいよね。
音楽にも、建築にも素人が何を言うかって言われれば、何もいえないけど。素人だから言えることもあるかもしれない。自分の専門だと、いろんな差しさわりがあるから。私はビジュアルアートに関しては何も申し上げません。だって何か言って干されても怖いもんね。
ところでこれも数日前に書いた水琴窟の話。
あそこでホールのピッチについて書いていたけど、プロの音楽家でも自分の楽器のピッチには気を使うけどホールのピッチに関しては無頓着な人が多いって書いたよね。
確かに自分でホールのピッチは変えれないし、あるものを受け入れていくしかないのだけど、もっとプロの演奏者たちがピッチについて口にしてもいいのではないかと思う。
ちゃんとしたピアニストであれば、そこは明るくとか、しっとり弾いて欲しいっていうとそのような音色を出してくれる。これはハンマーが当たる瞬間の指の形を硬くしているか、柔らかく柔軟にしているか、そして音の切り方によって音色が変わるのでそれを使い分けているのだけど、
ちゃんとした調律師なら、明るい音色でとか、柔らかくとか注文していれば、きちんとそのような音色を出すように調律してくれる。反響板までは手が回らなくとも、フェルトの質でもある程度音色を変えられる。弟は安いピアノを買って、ハンマーなどをいいのに取り替えて使ってるけど、確かに音色はその投資以上にすばらしく変わっている。
このように楽器の調律や、弾き方、ちょっとした楽器の修正で音色は変わってくるけど、それ以上に大きいのはホールの持っているピッチだと思う。
水琴窟のところで書いたけど、一つの音があって、それが私たちの耳に聞こえるときには、その音が周りの環境によって変化したものを聞いている。まったく反響のない、周りの影響のないところでの音はストレートに聞こえてくる。ピアノのような反響板をもった楽器や、バイオリンのように反響室を持った楽器ならある程度自分の楽器のストレートな音を聞かせることもできるけど、フルートのような殆ど反響室を持たない楽器ではストレートの音はとても聞けたものじゃない。これは部屋の反響を前提に作られている楽器だから。
ここで一つ問題は演奏者たちの多くは自分の楽器のストレートな音を聞いている。聴衆の耳に届く音を聞けないこと。
(バイオリンなどで遠鳴のする楽器というのがある。近間のストレートな音はがざがざした音でしかないけど、離れたところではすばらしい音色で、音も大きく出るような楽器がある。友人がコレクターの楽器を弾いていたことがあるけど、家の中で練習しているのを聞くと、ゴオゴオという音しか聞こえない。驚いて何でそんな音を出してるって聞くと、家を出て遠くで聞いてごらんっていうから、何軒か先で聞いているととてもすばらしい甘い音色の音が聞こえてくる。こんな楽器があるんですよね。もっともこの楽器に当たって、その音色を引き出すのにはちょっとした才能が必要なのかもしれないけど。こんな楽器を使いこなせる演奏者はストレートの音と、ホールの中で聞こえている音の区別がついて、聴衆の耳に届いているであろう音色を想像しながら弾いているのだろうと思う。)
ホールの持つピッチが低ければ、自分の耳に届いているストレートな音よりも低い倍音が強調され、荘重な音、しっとりした音色に聞こえているし、ピッチが高ければ明るい音色が聞こえているはず。
音楽家が楽器のピッチのこだわるのも本当はその音色の問題だと思う。442で調律されている音を聞きなれていれば、443になっていれば、高い、明るいというような感じを誰もが持つのだろうと思う。人によっては442.1でも区別がつくはず。
(音楽家の弟に寄れば、プロはコンマ1桁の差まで判らなければいけないそうだ。演奏の途中で管は上がるし、弦は下がる傾向がある。演奏会の途中で奏者が音合わせをしているのをご覧になったかたも多いと思う。プロはそこまで調整しながら弾いているのだから。)
一時期アメリカ風のはでな音が好まれたときに世界のオーケストラのテンポやピッチがどんどん上がっていって446くらいまで上げたものを聞いたこともある。(今は収まる傾向にあるけど)
アンサンブルのソリストはピッチを微妙に上げたがる。それはアンサンブルの音の中で自分の音を聞かせたいから。
でも楽器の音色、ピッチにそこまでこだわるのなら、ホールのピッチ、残響、アクースティックにもっとこだわりを持って欲しいよね。
音楽にも、建築にも素人が何を言うかって言われれば、何もいえないけど。素人だから言えることもあるかもしれない。自分の専門だと、いろんな差しさわりがあるから。私はビジュアルアートに関しては何も申し上げません。だって何か言って干されても怖いもんね。
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