狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

集団自決と教科書検定

2011-04-02 06:57:08 | ★集団自決

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「集団自決」全7社記述 中学教科書検定
 2011年3月31日     

 【東京】文部科学省が30日公表した2012年度版の中学校社会科歴史の教科書で、沖縄戦に関連し「集団自決(強制集団死)」を記述したものが全7社7冊と現行より2冊増え、そのうち「日本軍の関与」を明記した教科書も現行の1冊から4冊に増えた。しかし、06年度の高校歴史教科書検定で問題となった日本軍の強制」を断定した教科書はなかった。

 一方、公民の教科書では米軍普天間飛行場移設問題を本文で初めて3社3冊が掲載。県内移設を明記した06年の日米合意を鳩山由紀夫前内閣が見直す姿勢を示したことや米軍基地の騒音、米兵犯罪に触れた教科書もあった。

 現行の04年度検定時には8社9冊の教科書が合格。うち「集団自決」の記載は5冊、「日本軍の関与」は日本書籍新社の1冊だけだった。今回合格した7冊全てが「集団自決」を記載、説明しており、沖縄戦を伝える部分全体では文章の長さや写真の枚数が増える傾向となっている。

 出版大手の東京書籍は現行版ではなかった「集団自決」を12年版に盛り込み、「日本軍によって追い込まれた」と明記。清水書院も「兵士や役人から配布された手りゅう弾を用いて…集団自決へと追い込まれていった人もおおぜいいた」と軍の関与を詳しく書いた。

 慶良間諸島の「集団自決」で日本軍の命令や関与に否定的な「新しい歴史教科書をつくる会」執筆の自由社版は、「沖縄戦の悲劇」と題したコラムで「追いつめられた住民が、家族ぐるみで集団自決する悲劇が起こりました」と触れたが、軍関与には触れていない。

 

集団自決」表記増も「強制」及び腰 中学教科書検定

2011年3月31日

 2012年度から教科書のページ数が増えることなどを背景に、今回の中学校教科書検定で合格した教科書は、沖縄戦や「集団自決(強制集団死)」に関する表記が現行より増える結果となった。各出版社は「より丁寧な表記に努めた」「沖縄の動きを考慮して」など「集団自決」に関する日本軍の関与を新たに明記したり、削除した記述を復活させたところも。一方で県内の市民団体からは表記の内容に怒りの声もあがった。(1面参照)

 現行の教科書で「集団自決」に触れていない東京書籍は、12年度版で「日本軍により集団自決に追い込まれた住民もいた」と明記、軍の関与に踏み込んだ。「集団自決」の記述が問題化した前回の高校教科書検定時と同じ内容といい、「より丁寧に沖縄戦を明記すると考えれば、集団自決は特筆すべき重要な事象。必要最小限の内容として掲載した」と説明する。

 清水書院は白旗の少女の写真を掲載し「沖縄戦」を丁寧に紹介。「集団自決」に関する日本軍の関与については、体験者の証言として掲載する手法で表現した。「これまでの沖縄側の動きや県民の要請を考慮し、沖縄に関する表記が増えた」と担当者は話した。

 記述内容が3割減となった06年度からの教科書で、沖縄戦の記載が減ったという教育出版。今回の改訂で「前回並みの記述に戻すことができた」と評価する。「沖縄戦と他の戦争との違い」を考えるコーナーも作るなど、紙幅を割いた。

 ただし、日本軍の関与については「以前の教科書では『日本軍は』と直接、主語で使っていた。だが高校教科書をめぐる一連の問題を考慮し、断定的な記載を避けた」とも説明。「集団自決」に追い込まれる経緯については主語をぼかすなどの表現にとどめている

 帝国書院は従来の記述のまま、沖縄戦の内容や日本軍の関与を記載。日本文教出版は「(沖縄戦や集団自決は)とても注目を集める記載」と現行通り、「集団自決」の事実にも触れたが、日本軍の関与については「中学生の発達段階に応じた表現」として明記しなかった。自由社、育鵬社も日本軍の関与には触れていない。

 歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」記述に日本軍強制の復活などを求めている「9・29県民大会決議を実現させる会」(玉寄哲永世話人)は、「日本軍の関与」を記述しない一部教科書に抗議する考えだ

 30日の会議で、自由社と育鵬社の記述に抗議し、他社や文部科学省などにさらなる記述の改善を求める声明を出すことを決めた。

 住民の「集団自決」の背景について、育鵬社は「米軍の猛攻」を理由に挙げ、自由社も「米軍が上陸する中で追いつめられた」と記載。さらに、自由社は沖縄戦記述の前段にある「戦時国際法の考え方」の項目で「戦争で非武装の人々に対する殺害や虐待を一切しなかった国はありませんでした」などと記している。

 玉寄世話人(76)は「沖縄の住民に対する日本軍の加害性に触れておらず、到底許せない」と力を込めた。

 教科書検定に詳しい高嶋伸欣琉大名誉教授は「中学生が読めば、戦争だから犠牲は仕方ない、と受け取られかねない。だが沖縄戦では日本国民が自国民を組織的に虐殺した。そんな国は他にはない」と話し、加害と被害の所在と実態を明確にする必要性を強調した。

 また、ひめゆり学徒隊の看護活動を盛り込んだ育鵬社のコラムについて、元白梅学徒隊の中山きくさん(82)は「沖縄の女子学徒隊はひめゆりだけだと思う人が多い中、他の学徒隊にまったく触れないのは、我々生存者も犠牲者も納得できない。女子学徒隊が9つあった事実を前書きなどで取り上げるべきだ」と指摘した。

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■集団自決で、日本軍の強制があった断定する教科書は皆無

集団自決と教科書問題に関連し、沖縄2紙と沖縄左翼が「集団発狂」したのは、2007年3月の高校歴史教科書検定意見に端を発する。 検定意見はこれまで定説とされていた「軍の命令」や「軍の強制」の記述の削除を指示した。 怒り狂った沖縄左翼は同年9月29日の「11万人集会」で政府を恫喝し、検定意見の撤回は不首尾に終わったものの「11万人」の幻影に動揺した当時の自民党政府は「関与」という極めて曖昧の言葉の使用を認めることにより妥協を図った。

 軍の装備品である手りゅう弾で自決した住民が少数でもおれば、集団自決に軍の関与があったと記述してもやむ得ないということである。

だが、周知の通り「関与」には善意の関与もあれば悪意の関与もある。

>歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」記述に日本軍強制の復活などを求めている「9・29県民大会決議を実現させる会」(玉寄哲永世話人)は、「日本軍の関与」を記述しない一部教科書に抗議する考えだ

現在、2007年に出された検定意見は撤回されておらず、当然「軍の命令」「軍の強制」の記述は認められていない。

したがって、「日本軍の強制を断定した教科書」が一部も無かったの当然としても「日本軍の関与」さえ記述していない教科書があれば、まことにお気の毒ながら高嶋琉大名誉教授や玉寄哲永氏が怒り狂うのも当然であろう。

 

では教科書検定と同時進行で目下係争中の「集団自決訴訟」と教科書の関係はどうなっているのか。

大阪高裁の2審判決で原告(元隊長側)は全面敗訴し、目下最高裁に上告中であるが、最高裁では事実認定はしないと聞くので、集団自決問題の核心であるの「軍命(強制)の有無」については、2審判決で事実上確定していることになる。

では、第二審で原告側が敗訴しているので「軍命(強制)があった」という判決が出たのかというと、そうではないのがこの裁判の難しいところである。

確かに原告の請求する名誉毀損は敗訴したが、訴訟の争点である梅澤裕・元隊長らの「軍命」の有無について『控訴人梅澤及び赤松大尉自身が直接住民に対して自決命令を出したという事実を断定することはできず、証明できない』とし、一審の『自決命令それ自体まで認定する事には躊躇を禁じ得ない』よりも踏み込んだかたちで、『軍命があった』との証拠を認めなかったのだ。

つまり被告側の岩波書店と大江健三郎氏が『軍命があった』との確固たる証拠を提示できなかったと高裁が判断したことになる。

挙証責任は被告側にあるので、立証できない「軍命や強制」は大阪高裁で事実上否定されたことになる。

したがって教科書記述は2007年の検定意見と大阪地裁の判決により2重の縛りを受け「日本軍の強制を断定した教科書」が無かったのである。

では上告中の最高裁では何を審議しているのか。

名誉毀損の存在の有無である。

原告側代理人である、徳永信一弁護士は、高裁が軍命の存在を認めなかった一方で、日本軍の「関与」を「十分に推認できる」とした一審判決を支持し、名誉棄損と出版差し止めを求めた原告側の請求を棄却したことについて「昭和四十一年判決以来、過去四十一年間、名誉棄損のルールを定めてきた最高裁の判例を無視し、新たなルールをもって判断したもの」と語り、最高裁が従来の判例を変更するかどうかが今後の争点になると指摘している。 

事実上の被告である沖縄タイムスが印象操作でつけ込むのは、判決では勝訴したものの、肝心の「軍命の有無」については事実上敗訴というわかり難い高裁判決にある。

そこで最後にしつこく繰り返す。

 原告側は高裁判決という形式上の勝負には負けたが、「軍命の有無」という問題の核心では、事実上の勝負に勝った。

梅澤、赤松両隊長の名誉は事実上回復されたことになる。

参考⇒曖昧な妥協は国を辱しめる 「軍の関与」も認めてはならない 

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