沖縄知事選1年。
沖縄県知事選で翁長雄志氏が当選して11月16日でちょうど1年でした。
前回の番組で、沖縄2紙の県知事就任一周年の特集記事を紹介しました。
琉球新報、沖縄タイムスの両紙は、知事が辺野古問題以外には全く知事としての役割を、果たしていないことには触れず、唯「あらゆる手段で辺野古阻止」の掛け声だけを応援する記事だけでした。
一方、仲井真前知事に対しては、公約違反、金で沖縄を売った歴史に残る最悪の知事だとか、罵詈雑言の連発で、知事の名誉毀損にも相当する酷いものでした。
仲井真前知事が「沖縄2紙は特定団体のコマーシャルペーパー」といったことを想いだします。
特定団体とは翁長知事を支援している、共産党、社民党、社大党など左翼団体のことですが、沖縄2紙はこれらに加えて「識者」と称する地元大学の教授たちの意見を掲載します。
これらのご用識者たちは声を揃えて、翁長知事を絶賛しています。
例えば仲地博沖縄大学長こう言って翁長氏を賛美しています。
「この1年、『辺野古新基地は造らせない』という公約を貫き、全くぶれていない。見事だと思います」
驚きますね!
この先生の目は何処についているのでしょうか。
口で「作らせない」と言うのは簡単ですが、実際は辺野古の工事は粛々と進んでいます。
この1年、翁長氏はほんとうに「公約を貫いた」のか、検証します。
翁長氏は2014年9月13日に正式に出馬表明しました。
それは同日、共産党、社民党、社大党など「県内5党・会派」との間で「沖縄県知事選にのぞむ基本姿勢および組織協定」(しんぶん赤旗より。以下「基本姿勢」)で合意に達したからです。
この「基本姿勢」で、つまり公約で翁長氏は次のように述べています。
①「新しい知事は埋め立て承認撤回を求める県民の声を尊重し、辺野古新基地は造らせません」(「基本姿勢」)
⇒翁長氏:「承認撤回」は棚上げ。「取り消し」も選挙から11カ月後の10月13日になってからです。
しかし、辺野古新基地建設工事は現在も粛々と進んでいます。
これは明らかに公約違反ないしは公約不履行だと言わねばなりません。
「新基地は造らせない」と口先だけで言っていれば「公約を実行」したことになる、というのは大きな間違いです。
「公約実行」どころか、翁長氏の重大な公約違反・不履行は明白です。
政治家の評価は主観的な感情ではなく、客観的な事実で行うべきです。
翁長雄志知事の言葉は「流暢だが空虚」と言われています。
「銃剣とブルドーザーで強奪された米軍基地」とか「0・6%の土地に74%の米軍基地が集中する沖縄」など、使い古されたフレーズを巧みに織り交ぜ、よどみなく話す話し口は、滑らかですが、中身は同じ話の繰り返しに過ぎません。
しかし、時々本音が口をついて出ることもあります。
スイスの国連人権理事会での演説から帰国した9月、「安倍(晋三)政権は長くてあと3年だ。来年は参院選もある」と述べました。
県OBは「2期目も務めるという権力志向と選挙に勝つことしか頭にない」と指摘しています。
翁長知事ほど変節の政治家はいません。
自民党県連幹事長時代の平成11年、県議会で県内移設を求める決議を可決に導いたからです。
普天間飛行場の危険除去という最大の目的こそ不動のはずですが、変節の軌跡は隠しようがなく、県幹部は「移設阻止に対する本気度は疑わしく、言葉も空虚に響く」と知事への不信感を募らせています。
埋め立て承認の取り消しも大きな穴があります。承認をめぐり一体、だれに、どのような瑕疵(欠陥)があったのかという点を明確にしていないことです。
選挙を優先するため県益さえ二の次になる。3月に返還された米軍西普天間住宅地区の跡地利用計画策定に待ったをかけたのが最たる例です。
来年1月の宜野湾市長選で再選を目指す保守系市長の実績になることを阻むためです。
宜野湾市長をはじめ知事選で仲井真弘多前知事を支援した首長との関係は疎遠な状態が続いています。
さらに、知事選で翁長氏を支援した企業出身者に県の外郭団体トップのポストを分配したことは利益誘導政治そのものです。経済政策では何ひとつ翁長色を打ち出していません。
菅氏は「(過去の)政府や県の危険除去の努力を無視」していると批判し、地元銀行幹部は「国と政治闘争を続けていては自立型経済に向けた努力をぶち壊す」と危機感を募らせています。
翁長氏が導く沖縄破壊の責任は一体、だれが、どのように取るのでしょうか。
原告が最高裁判決を持ち出した部分を訴状から抜粋すると、こうなる。
筆者は、辺野古移設は本来「国の専権事項」であるから、外交・国防問題に何の権限も持たない一介の県知事が介入すべき問題ではないと再三指摘してきた。
政府原告は、この「国の専権事項」についても深く踏み込んで、「法的瑕疵」の論議以前に、知事に取り消しの資格なし、として門前払いする作戦だ。
法廷闘争になった場合、翁長知事の行った「取り消しの違法性」が争点であるが、これは後で詳述するとして、ここでは別の観点から「取り消し」の違法性を論じてみる。
先ず辺野古移設は、日米安保条約に基づく日米合意の履行が前提となる。
日本国憲法第73条「内閣の職務」には次のように記載されている。
日本国憲法 第73条 【内閣の職務】
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
1号 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
2号 外交関係を処理すること。
3号 条約を締結すること。 但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
そう、辺野古移設は外交関係の一環である日米安保条約の履行のため行うものであるから、内閣の最高責任者である安倍首相や外務大臣、防衛大臣ら関係閣僚がこれを執行する権限を有していることになる。
一方、翁長知事は一地域の首長に過ぎず、外交・防衛問題に関しては何の権限も有していない。
何の法的権限も持たない翁長知事が「取り消し」などと吠えてみても、これが違法であることは菅官房長官が繰り返し説明している通りである。
辺野古移設が国の専権事項といわれる理由はここにある。
訴状から該当部分を抜粋する。
そもそも法定受託事務として、公有水面埋立法に基づいて一定範囲の権限を与えられたにすぎない県知事が、わが国における米軍施設および区域の配置場所などといった国防や外交に関する国政にとって極めて重大な事項の適否を審査したり、判断する権限がないことは明らかだ。法を所管する国土交通省の所属事務に国の国防や外交に係る事項の適否の判断は含まれず、法に基づく法定受託事務の範囲で公有水面埋め立ての権限を付与されているにとどまる県知事に、米軍施設および区域を辺野古沿岸域とすることの国防上の適否について審査判断する権限が与えられていない。