米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画をめぐり、石井啓一国土交通相が17日、翁長雄志(おながたけし)知事の埋め立て承認取り消しを知事に代わって撤回する代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。翁長氏は同日夕、記者会見で国の姿勢を批判し、対抗策として今回の訴訟とは別に国交相を相手取った訴訟を検討していることを明らかにした。

 国と沖縄県知事による法廷闘争は、1995年に県内の米軍用地強制使用の代理署名をめぐり、当時の村山富市首相が大田昌秀知事を相手取った例などがある。今回の第1回口頭弁論は12月2日に開かれる。高裁判決は数カ月程度で示される見通しだ。

 国の訴状は、翁長氏の承認取り消しについて「日米両国間の信頼関係を崩壊させかねないもので、甚大な不利益をもたらす行為だ」などと批判し、取り消しの撤回を求めた。国が勝訴した場合、知事に代わって撤回することができる。菅義偉官房長官は17日、「普天間飛行場の危険除去が原点だ。今回の提訴はやむを得ない」と訴えた。

 ログイン前の続き一方、翁長氏は同日夕、県庁で開いた記者会見で「『銃剣とブルドーザー』による強制接収を思い起こさせる。政府の態度は多くの県民には理解できない」と批判。自らの承認取り消しについて「違法と決めつけられるいわれはない」と徹底して争う考えを示した。また「あらゆる手段を尽くす」と語り、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」の審査結果次第では提訴を検討するほか、結論を待たずに国交相による効力停止の撤回を求める抗告訴訟を提起する可能性も示した。(鈴木拓也、上遠野郷)