アメリカのトランプ大統領はシリアへの攻撃を命じたあと声明を出し、「シリアの独裁者アサドが恐ろしい化学兵器で罪のない市民を攻撃した。化学兵器の使用と拡散を防ぐことはアメリカの安全保障上の重要な利益だ」と述べ、アサド政権を非難するとともに今回の攻撃の意義を強調しました。
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この中で、トランプ大統領は「シリアの独裁者アサドが恐ろしい化学兵器を使って罪のない市民を攻撃した。この非常に野蛮な攻撃によって、かわいい赤ちゃんたちさえ残酷に殺害された。どんな子どももこのような恐怖を味わうべきではない」と述べ、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして非難しました。
そのうえで、トランプ大統領は「化学兵器による攻撃を実施したシリアの飛行場を標的とした軍事攻撃を、今夜、命令した。化学兵器の使用と拡散を防ぐことはアメリカの安全保障上の重要な利益だ」と述べ、今回の攻撃の意義を強調しました。
また、トランプ大統領は「シリアが化学兵器禁止条約の義務に違反し、国連安全保障理事会の求めを無視して、禁止された化学兵器を使ったことには議論の余地がない。アサドの行動を変えさせるための何年にもわたるこれまでの取り組みは大きな失敗に終わった。その結果、難民危機は深まり、地域の不安定な状況は続き、アメリカや同盟国の脅威となっている」と述べました。
そして、トランプ大統領は「私はシリアでの虐殺と流血の事態とあらゆるテロ行為を終わらせるため、すべての文明国に協力を求める。傷つき亡くなった人たちに祈りをささげ、アメリカが正義の側にいるかぎり、最後には、平和と調和が勝利することを望む」と述べました。
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北朝鮮の暴走に対する制裁に煮え切らない態度の習近平主席に対し、トランプ米大統領は首脳会談に入る直前にシリア攻撃を命じ、腰抜けオバマと違って、やるときはやるぞ、と強力なプレッシャーをかけた。
約三年前前、オバマ前米大統領がシリア空爆を秒読みの段階で、ロシアや中国の反対で中止した経緯がある。
シリア攻撃、決断秒読み 米、国内手続きほぼ終了
【ワシントン共同=吉浦寛仁】オバマ米政権はシリアのアサド政権が化学兵器を使い多数の市民を殺害したと結論付ける報告書を8月30日に公表し、軍事介入に向けた国内手続きをほぼ終えた。議会との最終調整が終われば武力攻撃が可能となり、オバマ大統領の決断は秒読み段階に入った。
シリアで化学兵器使用疑惑の調査を行った国連調査団は31日に出国、米軍はいつでも攻撃可能な状況になった。外交筋の間では、ロシア・サンクトペテルブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合などに出席のためオバマ氏が外遊に出発する9月3日までに開始するとの観測が出ている。
ただ、米国内には攻撃に慎重な意見も根強い。米メディアによると、共和党のベイナー下院議長は政権側の8月30日の報告に関し、不十分だと不満を伝えた。オバマ氏は化学兵器使用に「強い確信」があるとした報告書への世論の動向も見極めつつ、最終判断するとみられる。
ロシアのプーチン大統領は31日、米報告書を念頭にアサド政権による化学兵器使用情報を否定。9月5日からのG20首脳会合の場でオバマ氏とシリア情勢を協議する用意があると語った。
米軍は大統領から命令が出れば速やかに攻撃に着手する構え。シリア西方沖の地中海に巡航ミサイル・トマホークが搭載可能な駆逐艦「マハン」「ラメージ」「スタウト」など5隻を配置。いずれも数十発のトマホークを発射できるとされ、攻撃の中心を担う。
米兵に危険が及ぶのを避けるため、地上部隊の展開を想定していない。武力行使に踏み切った場合、攻撃対象を限定した短期間の作戦になるとみられている。
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オバマ米大統領がシリアへの軍事介入を決断した。
当初米国と足並みをそろえていたイギリス、フランスだが、イギリスが議会の反対により軍事介入から脱落した。(フランスは米国と行動を共にするという)
シリアはは日本から遠いこともあり米国の軍事介入に関心は薄いようだが、原油の80%を中東に頼っている。 その一方で原発反対の声が大きいので、経済に対する影響はきわめて大きい。
日本への影響は原油だけではない。 このままシリアの暴挙を各国が傍観していたら、シリアと友好国である北朝鮮が、化学兵器や生物兵器を使用しても罰を受けないと考える恐れがあるという。
イギリスと同じく日本にも、米国の軍事介入に反対の声は多い。
マスコミは例によって「イラク戦争のブッシュの過ちを繰り返すな」などと、「羹に懲りて膾を吹く」状況にある。
だが国連が世界の警察としての機能を果たしていない以上、無法者に対処する自警団のように米国の軍事力に頼らざるを得ないのが現実だ。
今回の「化学兵器疑惑」と「イラクの大量破壊兵器疑惑と」を同列に論じるべきではない。
昨年からシリア政府軍が化学兵器を使用したという報道は、何度も繰り返されており、シリア政府軍が化学兵器を半ば公然と使用しているのは周知の事実と言っていい。
オバマが、確実な証拠を掴むのに慎重な態度を示しているのは、「ブッシュの二の舞」を避けるため学習をしたからに他ならない。
空爆は限定的で小規模なもの(化学兵器施設のピンポイント攻撃)になると見られるが、シリア政府軍にとってやはり痛手であり、米軍の軍事介入というプレッシャーは、シリア政府軍から離脱者が増えれば年内崩壊もありうる。
日本からみれば核で恫喝する北朝鮮の同盟国が消滅することはいいことである。
⇒北朝鮮、新たなミサイル発射台か
さらに付け加えると、シリアは旧ソ連時代からロシアとは友好国であり、尖閣で日本侵略を狙う中国が支援する国でもある。
シリアの状況が混迷し、破壊が拡大するなかで、新たな問題が浮かんできた。
ヒズボラへの化学兵器流入を懸念しているイスラエルはシリアの化学兵器に対抗する用意ができたと声明を発している。
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当時、オバマの空爆断念に対し、筆者は「シリヤを空爆せよ」と書いた。
結局、オバマが躊躇している間にプーチンがシリア攻撃に先陣を切って、中東の発言権でオバマをリードした
ロシアがシリアを空爆!狙いは?2015-10-01 16:41:43 |
今回のシリアへの軍事介入について昨日の沖縄タイムスは一面で「英、シリア攻撃断念」と大見出しで飾っているが、フランスのオランド大統領は、ルモンド紙とのインタビューで「化学兵器を使ったアサド政権が罪を受けないことはありえない」と、強気の発言をしている。
オランド氏の胸中にはアサドとヒトラーを置き換えて「無法な侵略を続けるヒトラー政権が罪を受けないことはありえない」と、70年前の「宥和政策」を反省する気持ちが去来したのであろうか。
国連が機能しない現状では、米国の自警団的軍事介入を支持せざるを得ない。
ならば、国連の承認がなくとも、シリアへの空爆を実施せよ!
【おまけ】
昨日までのイギリスやオバマの腰の引けた態度を見越しているのか、今朝の沖縄タイムスには、シリア支援国である中国のこんな見出しが・・・。
中国 対話拒否 比に圧力
南シナ海領有権問題
対日外交と同じ戦略