仕組みとアプローチ － 明智光秀が山崎の戦いで大敗した要因を考える 平地の湿地を戦場にした光秀は水面火災による秀吉方軍勢の丸焼きを目論んでいたのか

　大軍で押し寄せる秀吉の軍勢を多くの情報ルートで知ったであろう明智光秀はおそらく自分の劣勢を悟ったと考えられますが、それならば対策を練ったはずと言うのは普通に考えられます。
　高山右近と、そして近縁の中川清秀が秀吉方に付くのかどうかと言うのは当時い於いて非常に重要な事だったはずですが、明智光秀は高山右近と中川清秀に対して疑う姿勢を見せるとそれは離反を招く恐れが有った為、人質を取らずに信用しているカタチを採用せざるを得なかったのかも知れません。
　なので高山右近と、近縁の中川清秀からは人質を敢えて取らなかった。
　しかし実際には高山右近と、近縁の中川清秀は結局は秀吉方となり明智勢に壊滅的なダメージを与えた、と言う事なのかと思えます。
　こうしたリスクを明智光秀が全く想定していなかったのかと言うとそれは疑問です。
　明智光秀はこの点について有る程度の事は考えていたのではないでしょうか。
　では高山右近と中川清秀が秀吉方に寝返って明智方を急襲した場合、秀吉方の大軍をどう言う方法で殲滅するか？と光秀は考えなければいけない事になります。
　個人的な見方に過ぎませんが、おそらくそれは火責めではなかったか？　と考えています。
　当時は梅雨であり山崎の戦いが有った湿地を主とする地域において、おそらく水の流れは上流から下流、つまり明智方から秀吉軍勢の方向に緩やかに水が流れていたものと思われます。
　それで光秀は上流に当たる場所に拠点をいくつか構築し、そこから油や油を含んだ草木などを流して押し寄せる秀吉の軍勢を火責めにして丸焼きにしてしてしまう計画を立てたのではないでしょうか。
　6月12日は晴れ。この天候なら油座の大山崎で多量の油を確保して油やそれを含んだ草木などを水面に流して火を放ち、押し寄せる秀吉方が火に包まれて大きなダメージを受ければ、大山崎油座の油も武器弾薬と同様な効果を実証できるわけで、このあたりを光秀は期待したのかも知れません。
　しかし6月13日と翌日の少なくとも午前中までは雨天でした。　
　これで水面火災を利用した「秀吉方軍勢を丸焼きにする計画」は頓挫し、残る退却戦に頼るしか無くなった所、逃げ出す兵が後を絶た為にこの退却戦も崩壊してしまった、と言う状況だったと見ています。