
映画もドラマもラストシーン(最終回)が全てだなどと思いませんが、すごく大切である事は異論ないと思います。回を追うごとに面白さと凄味を増していただけに、カルテットの最終回にはがっかりしました。
クドカン旦那が登場してからこのドラマは別物の様なクオリティとなり、主人公の四人だけじゃなく、前述のクドカン旦那、もたい姑、目が笑っていないウエイトレスの、謎と深い哀しみにまで浸ることになります。
だからこそ最終回にはもっと凄い仕掛けがあるのじゃないかと期待していたのです。
まあ、最終回こそ残念でしたが、後半の作劇は日本のドラマとは思えない質の高さでしたし、演出も出演者も一級品の映画と見まごうばかり遜色ありませんでした。視聴率という枷に囚われすぎると本物は生まれてこないだろうし、作家の才能に蓋してしまう事になりかねません。坂元裕二に好きなだけ書かせたTBSとチーフプロデューサーの土井裕泰の力量が見事結果を見せつけました。
前シーズンの逃げ恥とカルテットを観て思う事は、まだまだ日本のテレビドラマにも期待できる部分が残っているのだと。安易にスポンサーや視聴者に迎合しなければ、本物をつくろうとしている製作者や役者は沢山いるんだと。ネット社会になって久しく、映像作品も配信で消費されてしまう世の中ですが、送り手(作り手)に知恵と工夫と努力そしてちょっぴりの才能さえあれば毎週同じ時間にテレビの前に坐る楽しみが無くなることはありません。