映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

冬ドラマとその前に

2019-01-09 21:00:09 | 旧作映画、TVドラマ

暮れにCS放送されていた「101回目のプロポーズ」と「ひとつ屋根の下」を泣きながら観たので、脚本家野島伸司について調べてみたら1990年代のドラマしか記憶になかった。昨年の夏ドラマだった「高嶺の花」も石原さとみと野島伸司だから観たけれど、序盤で愛想を尽かし止めてしまった。'90年代の軌跡をたどるしかないけど、結構沢山観ていたことに気がつく。
'89「愛しあってるかい」
陣内孝則と小泉今日子の学園を舞台にしたお気楽なコメディだった。厳密には1990年代ではないけど、バブル景気の浮かれ調子がそのままドラマの根底にありトレンディドラマの括りになるだろう。
'91「101回目のプロポーズ」
久しぶりに観返したが、本当に良くできた恋愛ドラマだ。その後の様々なドラマや映画に影響を与えたのは頷ける。それまでは美女と野獣のふりをして見せていても、結局野獣の本当の姿は王子さまでしたと言うオチになってしまうのがセオリーだったし、役者も無理やりの変装を解けば二枚目俳優が演じるのがお約束。このドラマが受け入れられたのは、最後まで武田鉄矢は冴えないおっさんのままでありながら、浅野温子(正しくバブル期の美女)の心を掴むまでのプロセスがカッコいいからだ。
'92「愛という名のもとに」
前作と違うのは群像劇だったこと。「東京ラブストーリー」の強烈な印象を引きづった鈴木保奈美を中心にノスタルジックなドラマだったと記憶している。浜田省吾の歌が一層過去を鮮明に炙り出していた。
'93「高校教師」
センセーショナルな問題作としてかなり話題になった。若き真田浩之と桜井幸子の逃避行が、痛ましく迎えるラストシーンを忘れられない名シーンに格上げした。森田童子の囁くような歌声を取り入れた構成力も非凡だった。この作品を契機に野島作品は、どこか社会の裏でひっそり息づく闇を描くようになる。本当はテレビドラマの脚本より映画脚本に進むべきだったのかもしれない。
'93「ひとつ屋根の下」
変化球ではあるが、ホームドラマを真正面から描いたところに腕力を感じる。'70年代'80年代テレビの花だったホームドラマを若手中心のトレンディドラマ仕様に仕立て上げたアイデアも優れていた。現在も一線で活躍している俳優の若く幼い演技を観るのも楽しい。
'94「家なき子」原案のみ
原案だけで脚本は書いていないようだけど、古典的な題材を新しく翻訳し直したところが凄い。安達祐実が前作「ひとつ屋根の下」で酒井法子のタネ違いの妹役で出演していたのを暮れに観た時に発見したのが嬉しかった。
'97「ひとつ屋根の下2」
前作の中心的役割だった福山雅治がビッグになりすぎて時間が取れなかったからか、ほとんど出番が無くその穴を埋めるように松たか子が家族のように加わった。
'98「聖者の行進」
より一層作家性を色濃くした作風は、テレビドラマとしては一般的に受け入れ辛い内容であったため、その後の作家野島伸司を殺してしまったかもしれない。主演のいしだ壱成ものりピーも犯罪者になってしまったことも、偶然とは言え拭えない汚点でもある。

さて、2019年冬ドラマについて、
この冬に観たいと強く思ったのはたったの一本。
「3年A組-今から皆さんは人質です」
初回を観た感想としては、狭い無機質な学校の教室中心のなかで連続ドラマとして成り立たせるのはかなり難しいだろうと思った。菅田将暉と永野芽郁、川栄李奈の三人が役者としても能力が高いことは周知の事実だが、30人の群像の中でどのように物語を紡いでいくのだろう。あまり好きではないけど、上白石萌歌の存在感もポイントになりそうだ。一回目はこの四人の演技合戦を見ているようだった。
ドラマとしては、学校が爆破されて生徒が人質にとられているのに学校も警察もどこかのんびりしているし、SATがあんなにヘマな突入するとは思えないし。教室での人質監禁というのは面白い舞台設定だけど、外の世界との隔離の仕方が稚拙すぎて興ざめだ。外部との連絡交信を閉ざす密室が作れたならこの作品はものすごく面白くなったかもしれない。
ボブの永野芽郁を堪能できれば良いか。

初回をつい見過ごしてしまった「いだてん」は土曜日の再放送でチェックしようと思う。宮藤大河ドラマが「あまちゃん」のようにNHKの看板番組に新風を吹き込むことができるか楽しみだ。
竹内結子の「スキャンダル専門弁護士QUEEN」杉咲花「ハケン占い師アタル」NHKの「トクサツガガガ」は取りあえず観てみる。