中野監督好きだなぁ。
先日電撃結婚したばかりの蒼井優とずっと好きな女優竹内結子が、年老いてボケていく厳格な父親との長い別れの日々を過ごす映画。
わたくしも郷里に年老いた父母がおり、年々小さくなる姿を見ているので他人事とは思えない。
長女(結子さん)は結婚し、夫と息子とアメリカに住んでいる。夫は学術畑の研究員であるらしく人間味に欠ける。息子はアメリカ人のガールフレンドに夢中で、アメリカ生活に馴染んでいる。
次女(蒼井優)は校長先生だった父の期待に添えず教師ではなく調理師になったことで、なんとなく実家とは距離を置いている。
二人ともそれぞれの生活や環境が変化して行くのだが、その辺の些細な描写もスケッチ出来ているところに先ず感心させられた。日本映画らしい繊細さがある。
超高齢社会は既に始まっている。
日本人男性の平均寿命は80歳と聞いていたが、それはあくまでも平均であり、大半の人は90歳を過ぎてから天寿を全うすることを知った。確かに新聞の物故欄に連なる方の享年は100歳に近い。人生100年時代とかマスコミの煽りかと思えばそんな事はなく、いや正に現実だったんだな。長く生きるぶんだけ、体も心も脳味噌も人類が経験したこのない領域に多勢が向かっている。
母親(松原智恵子)が眼の病気で入院している最中に次女がボケた父(山崎努)の面倒をみる場面で、大便を漏らして尻にこびり付いた便を風呂場で洗い流すシーンはクスリと笑わせながらも鋭い棘が刺された痛みのあるものだった。痴呆老人介護をされている家庭では日常なのかも知れないが、テレビじゃ絶対描写できないリアルだ。生臭い話し、お金とか親戚付き合いとか近隣住民との距離感とかも必ずついて回る。老後の生活に2,000万円必要と世間を紛糾させている金額もこうなればあてにならない。
映画は優しさに包まれたまま終わって行くけど、現実の中では憎しみや後悔とかも様々な心の揺さぶりがあるのだろう。
山崎努のボケ老人は仲代達矢しか代役できないほどのうまさでこの二人がいなくなった日本映画界を想像すると暗澹たる思いに至る。松原智恵子の変わらない品のある美しさも特筆しておこう。調べてみるとわたくしの生まれ年に日活デビューをして、その年に16本もの映画に出演している。小百合さんとは違った綺麗なおばあちゃん役にこれからも活躍の場所がありそうだ。
先日電撃結婚したばかりの蒼井優とずっと好きな女優竹内結子が、年老いてボケていく厳格な父親との長い別れの日々を過ごす映画。
わたくしも郷里に年老いた父母がおり、年々小さくなる姿を見ているので他人事とは思えない。
長女(結子さん)は結婚し、夫と息子とアメリカに住んでいる。夫は学術畑の研究員であるらしく人間味に欠ける。息子はアメリカ人のガールフレンドに夢中で、アメリカ生活に馴染んでいる。
次女(蒼井優)は校長先生だった父の期待に添えず教師ではなく調理師になったことで、なんとなく実家とは距離を置いている。
二人ともそれぞれの生活や環境が変化して行くのだが、その辺の些細な描写もスケッチ出来ているところに先ず感心させられた。日本映画らしい繊細さがある。
超高齢社会は既に始まっている。
日本人男性の平均寿命は80歳と聞いていたが、それはあくまでも平均であり、大半の人は90歳を過ぎてから天寿を全うすることを知った。確かに新聞の物故欄に連なる方の享年は100歳に近い。人生100年時代とかマスコミの煽りかと思えばそんな事はなく、いや正に現実だったんだな。長く生きるぶんだけ、体も心も脳味噌も人類が経験したこのない領域に多勢が向かっている。
母親(松原智恵子)が眼の病気で入院している最中に次女がボケた父(山崎努)の面倒をみる場面で、大便を漏らして尻にこびり付いた便を風呂場で洗い流すシーンはクスリと笑わせながらも鋭い棘が刺された痛みのあるものだった。痴呆老人介護をされている家庭では日常なのかも知れないが、テレビじゃ絶対描写できないリアルだ。生臭い話し、お金とか親戚付き合いとか近隣住民との距離感とかも必ずついて回る。老後の生活に2,000万円必要と世間を紛糾させている金額もこうなればあてにならない。
映画は優しさに包まれたまま終わって行くけど、現実の中では憎しみや後悔とかも様々な心の揺さぶりがあるのだろう。
山崎努のボケ老人は仲代達矢しか代役できないほどのうまさでこの二人がいなくなった日本映画界を想像すると暗澹たる思いに至る。松原智恵子の変わらない品のある美しさも特筆しておこう。調べてみるとわたくしの生まれ年に日活デビューをして、その年に16本もの映画に出演している。小百合さんとは違った綺麗なおばあちゃん役にこれからも活躍の場所がありそうだ。