前に観た「勝手にふるえてろ」も独り者の女性がもう一人の自分と会話し、藻掻きながらも幸せを希求するお話だった。原作者が綿矢りさなので描かれる世界は似た題材になるのは仕方ないか。大九監督はこの秋放送されたテレビドラマの「あのコの夢を見たんです」も2話ほど演出していたが、やっぱり妄想世界が題材だったから監督の好みがたまたま原作者と合致したということなんだろう。
以前にも書いた気がするけど、女流監督の狭い半径で物語を語る映画が苦手なのだけど、不思議と大九作品は上手くなじめる。
序盤は脳内他者であるAとの会話が上滑りしている感じがして物語に入り込めそうもないと危惧したけど、能年玲奈(のん)の適度に舌足らずなキレ方が何気に親近感があり楽しめた。
あまちゃんの二人もアラサー役とかを演じる女優になったのかと感慨深いものがある。春先に観た「星屑の町」でも思ったけど、玲奈ちゃんはもっともっと映画に出演すべきだ。脇役でもいいから沢山の作品で磨かれるべき存在感を持った女優なんだとあらためて思う。