映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2020秋のドラマ 終わってみれば

2020-12-25 20:50:00 | 旧作映画、TVドラマ

今年はコロナのせいでエンタメ界は壊滅的な打撃だ。
特にハリウッド製の大作映画は殆ど公開延期で、ややもすると配信のみでのお披露目になってしまうかもしれない。これも時代のなせる業ではあるけど、映画館を愛する者としては寂しいかぎり。
日本のテレビドラマも春から夏にかけて制作現場が閉鎖されたことで、かなり変則的な放送になってしまったけど漸く今までの流れに近づきつつあるかな。
さて、2020年秋ドラマの感想をしたためましょう。

「あのコの夢を見たんです。」
夢想、妄想それが次につながるポテンシャルとなる。芸人である山里亮太ならではの世界観は映像化されても分かりやすかったし、もちろん妄想から生まれたお話だから荒唐無稽なドラマではあったけど、いつも何処かにはにかみと侘しさが漂った。出来の良かったエピソードとそうでもない挿話が混在したけど、連続したつながりがあるわけじゃないから気にはならなかったこともプラスだったように思う。観る前に期待した女優さんの話よりも飯豊まりえ、大原櫻子、鞘師里保のようなあまり注目していなかったヒロインのほうが前述した寂寥感があって響くものがあった。
とても面白い企画だし、テレ東らしい斬新さと自由さに溢れていた。来年も攻めのドラマ制作を続けてほしい。

「35歳の少女」
結局柴咲コウなんだ。
序盤の面白い設定が柴咲コウの成長(35歳に近づく)につれ凡庸になり、何だか奇抜な家族ドラマになってしまった。また遊川和彦特有の空回りドラマになって終わった。もう脚本家としては信用できないから、次のドラマは多分観ないだろうな。
結局役者の無駄遣いのドラマになってしまい、誰の得にもならない凡作だった。

「ルパンの娘2」
これまた深田恭子を楽しめたか否かだ。
何だか狭い箱庭で行ったり来たりするお話は些か飽き飽きしてしまい、強烈なキャラクターも慣れてしまうとバカバカしい学芸会のようだ。深田恭子の偉大さには恐れ入るけど、もっと彼女を楽しむための仕掛けがなくては続編としての意味は無い。
映画化されるらしいけど、誰のための見世物になるんだろう?皆目分からない。

「姉ちゃんの恋人」
有村架純のお姉ちゃんはとても良い。お姉ちゃんの一途な恋を応援したい。そう思わせることができただけでこの物語は半分以上成功だ。恋人になる林遣都の内省的な性格付けも相対的で上手い設定だ。彼の過去が明らかになっても、一層二人の恋心を応援したくなるのも気持ちがいいもんだ。観覧車内で近づいてゆく二人の心が誇張なく素直に描かれていたのも、最近のラブストーリーの中は出色で感涙。
良いドラマの必然だけど、脇に散らばった人々との関係性が魅力的だ。
先ず、三人の弟たちと姉ちゃんの家族愛に毎回ウルウルさせられる。同じく彼氏とその母親(和久井映見太ったな)の繋がりにもジンとさせられる。この二家族に絡む保護司であり伯父である光石研が良い。姉ちゃんの職場の同僚小池栄子と紺野まひるも良いキャラクターだ。そしてこのドラマで一番感銘を受けたのが、姉ちゃんの親友を演じている奈緒だ。コンビニの脇で二人して何気ないお喋りをする空気や姉ちゃんの弟から告白されて狼狽える姿は可愛かった。親友だからこそお姉ちゃんの恋に反対表明をするくだりが素晴らしい。両親のいないお姉ちゃんに「こういう時親は必ず反対するんだよ。だから親のいないあんたには代わりに私が反対する」いい台詞だ。朝ドラ「半分、青い。」で印象的な役で目立っていたからある程度注目していたけど、これからがより楽しみな女優となってきた。
岡田惠和脚本作品の中でも頗る質の高い作品になった。

「監察医朝顔2」
本筋が詰まらないとドラマのリズムは狂う。同じ法医解剖の傑作ドラマ「アンナチュラル」が下手な人情噺でお茶を濁さず、本筋の法医解剖をしっかり描いてドラマにしたことを製作スタッフは肝に銘じるべきだ。
このドラマ唯一楽しみなのは主人公朝顔の幼い娘つぐみを演じている加藤柚凪ちゃんの素に近いだろう可愛らしさだ。それだけで三月まで観続けられるかは今のところ疑問だけど。