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映画と渓流釣り

夜明けのすべて 優しさの映画


原作が瀬尾まいこで監督は三宅唱なら優しい映画になるだろうと思っていました
映画の感想として、劇中2時間の間少しだけ心配しながらもこんな風に温かい人に包まれて、ちょっとだけ幸せになれる物語を観せてもらえたので大変満足しています

わたくしPMS症状という言葉を知りませんでした。女性が月経時に体調の不調で苦しむ方がいることくらいは知っておりましたが、直前に精神的なバランスを崩される人が多いことに気づきもせずこの歳まで生きてきました
この映画に登場するような例はやっぱり稀なケースなのでしょうが、毎月のこととなると本人も家族も辛いことでしょうし、分かっていたとしても周囲の人々の気遣いは結構面倒に感じる人もいることでしょう

パニック障害という精神疾患はこのところ有名人などのカミングアウトにより耳馴染みがあります。ただし何が原因で罹患するのか、発作の起きる要因は何なのかも知りませんでした。そのような負い目を持つ人が、少なからずこの世にいることを知れただけでも、この映画を観て良かったと思うのです

あんなに優しい職場はないように思いますが、精神的な重圧を抱えた二人には理想的です。社長が一緒に働いていた弟を自死で亡くしたこともあるのでしょうが、職員のみんなが過度に触れ合わないけれど気を遣ってくれているのがよく分かる職場です。今のように◯◯ハラスメントばかりを気にして声もかけられないような世の中とは、一体誰のための職場なんでしょう

三宅監督の優しさは、安っぽいお涙頂戴にすることなくサクッと場面を展開しますので、余計余韻に心震えます。これが実のある映画なんだと染み染み感じるのです
主役の二人が安直な恋仲とかにならないのもとても良いですね。お互いの障害を認め合いながら、しっかり男女の距離を取ってリスペクトする姿に令和のドラマを観た気がします

周囲の上手な脇役の皆さんに囲まれていたからか、上白石萌音と松村北斗の拙い演技もさほど気になりませんでした。素人っぽいからこそのリアリティもあったかと思うほどです

人ごとではない苦しみに、ソフトなタッチで映像化できたこの作品に評価+1



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