高校生の倫理社会で習ったっきり、特に気にもとめていなかったソクラテスとプラトンです。
ソクラテスが裁判にかけられたときの弁明をプラトンが書き残したものです。紀元前400年とか500年とか前から、書き写されて残っているので、古典中の古典ですね。
ソクラテスは、「無知の知」を説いたことで有名です。
よく偉い人の説教で、無知の知を持ち出される人がいらっしゃいますね。無知であることを知ることがほんとうの知であるとかなんとか。
この本を読むと、無知の知の深さというか覚悟が解ります。
例えば、死を恐れることはない。なぜなら死んだことがない者は、死を知らない。知らないのだから、良い物なのか悪い物なのかわからない。知らない物を恐れるのはおかしいではないか。
と言ったような論法になります。
知らない物を恐れるのは自然な感覚だと思いますが、人間は無知であり、神こそがすべてを知っているという当時の哲学では、それくらいの重みを持った言葉だったのです。
ソクラテスが死刑になったときは70歳ですが、そのときも恐れることのない哲学的な探究心を持ち続けていたことに驚愕しました。