死因を特定できない死体などを解剖するお仕事をしている著者の体験談。
おおよそ、1日1体くらい解剖し続けているようです。
家族に見守られながら死んでいくならともかく、それ以外は死因不明になりやすいとのこと。
一人暮らしや、低所得者の方が運ばれてくる割合が多くなり、そこにはいろいろな人生が垣間見られるようです。
特に面白かったのは、貧しく、アルコールのカロリーだけで生きていたようなアル中の人の死体はキレイだと言っていました。血管の中にも、内臓にも余計な脂肪がついていない……反対に贅沢な暮らしをしていた人の体の中は脂で汚れているらしいです。
清流に不魚住。生きることは、汚いことなのだなと思います。とはいえ、自分の体の中は、ある程度の汚れですませたいなぁ。
死体の状態から死んだ時間などを推定する方法や、死んだ後に死体を動かしたかどうかまで、簡単にわかってしまうことには、なかなか殺人もみ消しもたいへんだと思いました。
一応、格差がテーマになっていますが、都道府県の違いや、警察の対応の違いで解剖される人数や割合にも格差があり、犯罪の発覚率などにも違いがありそうです。