最終巻となります。
5,6巻とエピローグの怒涛の470ページがドラマチックに展開します。
近年のエンターテインメントが、これをベースにしているのではないかと思えるほどにスペクタクルに個性的なキャラクターたちが活き活きと憎愛を演じてくれます。
特に他人に富を分け与えながら何も自分が欲しているものを得られないヴィドリガイロフの姿は、作者の投影かと思えるくらい迫力に満ちていました。
そして、エピローグがすごい。
主人公のラスコーリニコフがなぜ母親や妹に憎悪の念を抱いていたのか今一ピンとこなかったのですが、ここで十二分な理由が描写されています。
こんな母親なら、子供は変に(殺人者に)なるわ! と納得しました。
(この辺はネットにあふれる日本語の批評・感想等には指摘されていないようです)
重厚な時間を過ごさせていただいた名作に感謝です。
山の日の恒例となっている角田山へ行ってきました。
猛暑が続いているので、朝早く登りましたが、風がまったく凪いでいる状態なので、汗だくになってしまいました。
キツネノカミソリの群落です。
このコースは、これを目当てに登る人が多いので、降りてきたときには、駐車場は満車状態になっていました。
原稿用紙十枚以内という制約の中で書かれた超短篇集。
純文学作家が書いたショートショート集と言ったものでしょうか。
意外な落ちというより、鮮烈なショックを与えてくれるところが、一般的なエンターテインメント型ショートショートとはことなります。
二十一篇の短編が収められていますが、一本目の『鰭紙』が強烈すぎて、次を読むのが恐ろしくなり、数カ月放置していたくらいです。
読書を再開してみたら、それほどでもなく安心して一気に読めました。
しかし、強烈なインパクトを持っている作品群だということも確かです。
書店で見かけたら、一本目を立ち読みしてみても良いでしょう。
新潟県庁の脇に、県庁の森と呼ばれる人工林があります。
新潟県庁が今の場所に移った30年以上前につくられた人工林の雑木林で今は鬱蒼としています。
そこに行ってみたら、セミの抜け殻が大量にありました。
自然の森より、天敵が少ないからでしょうか。
セミの生涯サイクルは7年くらいなので、5回くらい回っていることになります。
まだまだ増えそうです。
『罪と罰』は、本来6巻構成ですが、この版は3巻にまとめられています。
2巻目は、本来の3,4巻にあたり、物語の中盤部分となります。
いまいち、よく飲み込めなかった殺人の動機の部分が徐々に明らかになっていきます。
主人公の肯定されるべき殺人の思想が明かされます。
巻末の読者ガイドには、1巻のあらすじが上手にまとめられているので、それを読むだけで、1巻目の内容をよく思い出すことが出来て便利です。
はじめは、ロシア人の名前が覚えにくくて戸惑っていましたが、2巻目までくると慣れてきました。
腕利きの予審判事ポルフィーリーの『刑事コロンボ』のような追及の仕方は読み応え十分です。