愛の形は人それぞれ。
子供の頃に視力を失った美しい娘 春琴と、その手を引く佐助の物語。
佐助は生涯を春琴に使えることになります。
春琴が顔にやけどを負い、見られたくないと言ったので、目を針で突いてずっとそばに居続けることになります。
二人の間には、越えてはならない壁があるのだが、超えなくても超えてしまっているのです。
この秩序と混沌が入り交じるような感覚が、句読点を非常識なほど使わない文体で読み手に入り込んできます。
こういう、何に分類すれば良いのか、どう説明すれば良いのか解らないような感覚こそ、小説にするにふさわしい題材なのだと思います。
芥川の論争で、小説はストーリーだと主張した谷崎の書き様に、今更ながら、理解できた気がしました。