『僕がもう少し大胆なら』。
年齢のせいか、このような青春回顧の歌には無条件に共感してしまう。
青春回顧の内容にふさわしく、過去の楽曲を想起させるようなモチーフも随所に散りばめられている。
Tシャツが濡れて素肌が透けて見えるのは『スコールの間に』にもあった状況。
スーパーがアパートになるように街の景色が変わるのは『Seventeen』からの引用。
二人が久しぶりに歩く線路沿いの道は、『抱きしめちゃいけない』の二人が歩きながら見た鉄橋に続いているのかもしれない。
彼女が待っていたはずの踏切は『初恋の踏切』のそれか。(『初恋の踏切』の彼女が毎朝同じ電車に引っかかっても家を出る時間を変えなかったのは、細かいことを気にしない彼女の性格ゆえだったのか。)
かつてこの二人が別れてしまったのは、彼の大胆さと彼女の繊細さが少し足りなかったからと歌われている。これは太田裕美『さらばシベリア鉄道』で「僕は照れて愛という言葉が言えず 君は近視まなざしを読みとれない」と符号する構図で、本歌取りと言える。
何かの拍子に再会した二人は、まだ20台前半と見た。「自分がおじさんに思える」と言うくらいだから、彼は本当のおじさんではなく、きっとまだ独身だろう。彼女の言動からも既婚の気配はない。今からでも恋の続きが始まりそうな余韻が仄かに残る。
がさつに見えて臆病な彼女の手を、今度こそ彼がしっかり離さないでほしい。
『初恋の行方とプレイボール』。
『その汗は嘘をつかない』『ウイニングボール』に続く、高校野球シリーズ第3弾。
中学時代に好きだった彼の高校野球を今でも応援し続けている歌。「友達以上に好きだったけど野球に負けちゃった」という簡潔な説明が見事。甲子園の試合を電気屋のテレビで応援している時、知らない人が彼を誉めるのを聞き涙が出るくだりは秀逸。
漫画『タッチ』の続編が、今人気だとか。この国の老若男女には、高校野球の魅力には抵抗できない何かが刷り込まれている。
『最後のカタルシス』。
人生に希望を失っていたが「母親のように」見つめてくれる女性に会って、生きる意欲を取り戻すという歌。この女性は一体どういう存在だろう。ドラマ『ごくせん』のような女教師か。『クロス』に歌われる普通の彼女なのか。
カタルシス(=精神の浄化)とは大げさな言葉だが、言いたいことはわかる。
『わるきー』。
人気上昇中の渡辺美優紀のキャラクターに乗った企画モノで、楽曲としての普遍性はない。同じ当て書きでも『上からマリコ』は、年上の彼女に翻弄される年下の男の子の困惑と幸福を描いて、普遍性のあるナンバーになっていたが、それとは違う。
企画モノと割り切って聴いても、面白味がない。マッチョな男の子に気があるふりをして荷物持ちをさせるという設定にはヒネリがない。「筋肉をさわらせて」「どれくらい固いか」といった際どい歌詞が聴かせどころなのだろうが、いかにも品がない。
曲調は1回で覚えられる親しみやすいメロディーなのが、たちが悪い。
『ナギイチ!』。
お気楽な渚のラブソングだが、「目移りしないで私に決めなさい」というストレートな歌詞が気持ちいい。駆け引きなしに「当然私は自信ある」と断言するのは、渡り廊下走り隊『ビキニは似合わない』で「もう少し成長の時間をくれよ」と歌っているのと対照的。確かにまゆゆとさや姉では、水着勝負では勝負になるまい。
ピアノの装飾的なイントロが聴かせる。Bメロで急に短調になって、イントロのメロディが蘇って来る構成がお洒落だ。
年齢のせいか、このような青春回顧の歌には無条件に共感してしまう。
青春回顧の内容にふさわしく、過去の楽曲を想起させるようなモチーフも随所に散りばめられている。
Tシャツが濡れて素肌が透けて見えるのは『スコールの間に』にもあった状況。
スーパーがアパートになるように街の景色が変わるのは『Seventeen』からの引用。
二人が久しぶりに歩く線路沿いの道は、『抱きしめちゃいけない』の二人が歩きながら見た鉄橋に続いているのかもしれない。
彼女が待っていたはずの踏切は『初恋の踏切』のそれか。(『初恋の踏切』の彼女が毎朝同じ電車に引っかかっても家を出る時間を変えなかったのは、細かいことを気にしない彼女の性格ゆえだったのか。)
かつてこの二人が別れてしまったのは、彼の大胆さと彼女の繊細さが少し足りなかったからと歌われている。これは太田裕美『さらばシベリア鉄道』で「僕は照れて愛という言葉が言えず 君は近視まなざしを読みとれない」と符号する構図で、本歌取りと言える。
何かの拍子に再会した二人は、まだ20台前半と見た。「自分がおじさんに思える」と言うくらいだから、彼は本当のおじさんではなく、きっとまだ独身だろう。彼女の言動からも既婚の気配はない。今からでも恋の続きが始まりそうな余韻が仄かに残る。
がさつに見えて臆病な彼女の手を、今度こそ彼がしっかり離さないでほしい。
『初恋の行方とプレイボール』。
『その汗は嘘をつかない』『ウイニングボール』に続く、高校野球シリーズ第3弾。
中学時代に好きだった彼の高校野球を今でも応援し続けている歌。「友達以上に好きだったけど野球に負けちゃった」という簡潔な説明が見事。甲子園の試合を電気屋のテレビで応援している時、知らない人が彼を誉めるのを聞き涙が出るくだりは秀逸。
漫画『タッチ』の続編が、今人気だとか。この国の老若男女には、高校野球の魅力には抵抗できない何かが刷り込まれている。
『最後のカタルシス』。
人生に希望を失っていたが「母親のように」見つめてくれる女性に会って、生きる意欲を取り戻すという歌。この女性は一体どういう存在だろう。ドラマ『ごくせん』のような女教師か。『クロス』に歌われる普通の彼女なのか。
カタルシス(=精神の浄化)とは大げさな言葉だが、言いたいことはわかる。
『わるきー』。
人気上昇中の渡辺美優紀のキャラクターに乗った企画モノで、楽曲としての普遍性はない。同じ当て書きでも『上からマリコ』は、年上の彼女に翻弄される年下の男の子の困惑と幸福を描いて、普遍性のあるナンバーになっていたが、それとは違う。
企画モノと割り切って聴いても、面白味がない。マッチョな男の子に気があるふりをして荷物持ちをさせるという設定にはヒネリがない。「筋肉をさわらせて」「どれくらい固いか」といった際どい歌詞が聴かせどころなのだろうが、いかにも品がない。
曲調は1回で覚えられる親しみやすいメロディーなのが、たちが悪い。
『ナギイチ!』。
お気楽な渚のラブソングだが、「目移りしないで私に決めなさい」というストレートな歌詞が気持ちいい。駆け引きなしに「当然私は自信ある」と断言するのは、渡り廊下走り隊『ビキニは似合わない』で「もう少し成長の時間をくれよ」と歌っているのと対照的。確かにまゆゆとさや姉では、水着勝負では勝負になるまい。
ピアノの装飾的なイントロが聴かせる。Bメロで急に短調になって、イントロのメロディが蘇って来る構成がお洒落だ。