岐阜県の裏金については、新聞の特集もあり、各紙の社説でも採り上げられてきた。中日新聞、岐阜新聞の特集にリンクしておく。
「無駄遣いする余裕はない 自治体不正」「ブロークン・ウインドー」という社説や解説にもリンク。
中日新聞・特集 「岐阜県裏金問題」 (右上部分に月別の「まとめ」あり)
岐阜新聞・特集 「県裏金問題」 (以前と、アドレスが替わった)
個人的には、年が替わって、これら特集がどうなるかにも興味がある。
ところで、昨年11月からの朝日新聞・岐阜発で名古屋本社版の社会面に連載されていた記事がある。岐阜県庁の裏金問題を、多面から切り込み、見直したもので、とてもユニークな連載だ。記事風でなく読み物風なのも面白い。
朝日新聞 東海社会面の連載 「腐食 岐阜県裏金」 県裏金問題の深部に迫る(全48回)
そこでは、下記の全部の記事にリンクされています
<48>古田知事 インタビュー (12/31)
<47>捜査 (12/30)
<46>自殺 (12/30)
<45>退職者 (12/28)
<44>処分 (12/27)
<43>弁明 (12/26)
<42>調査 (12/25)
<41>発覚 (12/24)
<40>財布役 (12/23)
<39>カンパ (12/22)
<38>訴訟費 (12/21)
<37>懇親会 (12/20)
<36>組合役員 (12/19)
<35>なれ合い (12/18)
<34>根絶 (12/17)
<33>着服 (12/16)
<32>寄付 (12/15)
<31>廃棄 (12/14)
<30>焼却 (12/13)
<29>仲介 (12/12)
<28>ペイオフ (12/11)
<27>とりまとめ (12/11)
<26>厳罰 (12/08)
<25>研究所 (12/07)
<24>ほころび (12/06)
<23>あいまい (12/05)
<22>メモ (12/04)
<21>料亭 (12/03)
<20>使途 (12/02)
<19>依頼 (12/01)
<18>承認 (11/30)
<17>県庁再編 (11/29)
<16>監査委員 (11/28)
<15>宿泊費 (11/27)
<14>翻意 (11/27)
<13>総点検 (11/27)
<12>虚偽答弁 (11/24)
<11>禁止令 (11/23)
<10>情報公開 (11/22)
<9>知事 (11/21)
<8>情報紙 (11/09)
<7>餞別 (11/08)
<6>宴会 (11/06)
<5>官官接待 (11/05)
<4>二人三脚 (11/04)
<3>カラ出張 (11/03)
<2>庶務担当 (11/02)
<1>隠し口座、重ねたうそ (11/01)
● 無駄遣いする余裕はない 自治体不正 12.25 西日本新聞社説
福岡市と東京都の争いとなった2016年夏季五輪の国内立候補都市選定レースは結局、東京都の財政力に軍配が上がりました。東京は五輪開催準備基金として本年度に1000億円を積みました。
九州の地方自治体では、こんな芸当はできません。東京など大都市圏を中心とした景気回復は「豊かな自治体」とそれ以外の財政格差を広げています。
逆に言えば、財政力の小さい自治体ほどお金に重みがあるといえます。無駄遣いはもってのほか。限られた財源をどう使い、住民に役立つ施策を進めるか。財政状態が厳しい自治体ほど使い道と金額に神経をとがらせなければなりません。
だが、現実はどうか。税金を預かって仕事をしている。公金を使っている。そんな意識が欠けているとしか思えないような自治体の不祥事が続きました。
公共工事の発注元である官が主導して談合を行わせた。不正な会計操作をして裏金をつくり、一部は仲間内で私的に使った。自治体の不正が次々と発覚し、住民の不信感を強める結果になりました。
特に官製談合事件では、福島、和歌山両県に続き、宮崎県の前知事の安藤忠恕(ただひろ)容疑者が競売入札妨害(談合)容疑で逮捕されました。
知事選での支援の見返りを求めた設計会社社長のため、この会社に県発注の公共工事を落札させようと「天の声」を発し、談合させたとの容疑でした。
票や金で選挙を支援した業者に公共工事で報いる。福島、和歌山、宮崎の「知事の犯罪」の構図は共通しています。
トップが自らルールを踏み外すような組織に、高い規範意識は期待できないでしょう。「知事がやるなら」「前からあったし」「おれだけじゃない」。そんな意識が職場に広がり、不正の温床を一掃できないままになってしまいます。
だが、公務員を見る目が厳しくなっていることを肝に銘じるべきです。税金や社会保険料などの負担が増すだけで、暮らし向きは一向に良くならない。そんな不満が人々の心の中にたまっています。
天下りや何やらで公務員は自分たちだけうまくやっているのではないか。事実はともかく、こうした不信感が住民の間にあることは自覚すべきでしょう。
岐阜県や長崎県、さらに長崎市や長崎県佐世保市などで不正会計による裏金づくりが相次いで明るみに出ました。
長崎県の場合、1999年春の時点で、金子原二郎知事が裏金の存在を知り、その是正を指示し、裏金がなくなったとの報告を受けながら、実際は裏金づくりが続いていたことが分かりました。
その中には、当初は「ない」とした裏金の私的流用も認められました。
現行の予算のあり方が実態にあっていないので、必要なものが購入できない。ルールとは違う処理も仕方ない。多くは私的に使ったわけでない。そんな反論もあるかもしれません。だが、それでは住民の不信感は消えないままでしょう。
地方分権が言われます。地域や時代の変化に合わせた施策を迅速に展開するためには、現場をよく知る自治体にもっと権限を持たせるべきだとの発想です。
限られた予算をやりくりして大きな効果が得られる政策を実行するには、前例にとらわれない新たな発想が必要です。談合にも裏金にも前例踏襲のにおいが感じられます。これで本当に分権時代の担い手になれるか心配になります。
=2006/12/25付 西日本新聞朝刊=
● ブロークン・ウインドー 2006年12月30日 朝日
割れ窓が放置されている学校は規律が甘いので、少々のいたずらは見過ごすだろうと思われてしまう。いたずらを見過ごすなら、少々の悪事も見逃すと思われてしまう。見逃され続ければ悪事は加速し、やがて地域の荒廃、国家の衰亡に至る。これは「ブロークン・ウインドー(割れ窓)理論」と呼ばれている。
現在、わが国企業が必死で取り組んでいる経営課題は、内部統制システムの構築であるが、これは割れ窓対策というべきものである。
近年、これに失敗した事例は、ソニーの欠陥リチウムイオン電池、パロマの瞬間湯沸かし器死亡事件、松下電器の欠陥石油温風器等あまたあり、割れ窓を放置した企業は大きく傷ついた。
それでも、対応を誤った企業が消滅しても競業企業が代替するだけであり、民間部門には健全なフィードバック機能がある。
わが国の問題は、独占・半独占組織体である中央・地方の官僚機構やその外郭団体といった公的組織にある。
様々な特別手当を支給し続けてきた大阪市や裏金を隠蔽(いんぺい)し続けてきた岐阜県を筆頭に、地方自治体の荒廃が次々に露呈されている。
当初は低い給与の補填(ほてん)を目的としたものが、チェックが働かないことをいいことに、組織的に無限増殖を続けていく。
官僚組織は、退職後のOBの生活確保のために特殊法人や民間企業への天下りを編み出したが、牽制(けんせい)機能の欠如を奇貨として、税金の無駄遣いと国の競争力を阻害してきた。
官僚の相次ぐ失政や政治家の利権誘導と相まって、官僚組織は至る所に割れ窓をつくり、今やこの国を荒廃させてしまっている。
元財務相が吐いた「母屋のお粥(かゆ)、離れのすき焼き」はけだし名言であり、それ故に美しい国をつくりたいという安倍政権の最大の課題は、割れ窓の補修から始まる。(十菊)
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