ここのところ、岐阜市の東海環状自動車道の西回り案のルート変更の是非や可能性について、説明会が開かれたり、報道が続いている。
このように動きがあるので、今日は岐阜市のルート変更の議論のことをまとめ、明日は岐阜市のことともに、ここ山県市の今の動きなどもまとめて整理しておきたい。
まお、先日までの岐阜新聞の一面で続けられた東海北陸自動車道の建設の経過や裏話の報道は興味深い。
そのシリーズの一つを紹介(文末)すると「・・もともとの計画では、御母衣ダム付近の庄川左岸を真っすぐ南北に通るはずだった。なぜ御母衣ルートは幻になったのか・・高山市寄りに改められることになり、88年5月に公表された環境影響評価準備書には新ルートが盛り込まれた。変更により、距離は基本計画に比べ9キロほど伸びた・・」
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11月29日のブログ ⇒ 測量のこと。岐阜国道事務所の情報。岐阜新聞特集
●東海環状道、御望山トンネル変更も 国交省が3案 岐阜 2007年09月28日
岐阜市北西部の御望山に東海環状自動車道のトンネルを建設する計画で、事業主体の国土交通省は28日までに、現ルートのほかに3つのルート案をまとめた。今後、住民の意見を踏まえルートを絞り込む。御望山トンネル建設計画では、同省が設置した調査検討会が昨年3月、トンネル建設時の御望山の安全性は確認されないとして、ルート変更を求める報告書を提出。同省は昨年6月から御望山周辺の計画の再検討を進めていた。
現ルートは、御望山の南側斜面をトンネルで通る。新たに検討するのは(1)御望山の南側の平地部を主に高架で通過(2)御望山内の南斜面から離れた位置をトンネルで通過(3)御望山の北側を主に高架で通過―の3案。(2)案については、地質調査を行う。10月中旬から地元で住民説明会を開き、意見を聴く。
御望山トンネル計画を含む西回りルートは、1994(平成6)年に公表された。地元住民は、山の危険性を理由に反対運動を展開。国交省は2000年、同省と県、市、学識者、地元住民でつくる調査検討会を設けた。
● 御望山トンネル 新たに3案提示 東海環状道で国交省 9月29日 読売
東海環状自動車道西回りルートにかかる岐阜市北西部の御望山(ごもやま)トンネル建設問題で、国土交通省は28日、現在の計画ルートとは別に、新たに三つのルート案を明らかにした。地元住民に示し、意向を聞いたうえで絞り込む方針。
新たな三つのルート案は延長約9キロで、〈1〉山の南斜面から少し北側に離れた位置にトンネルで通過する〈2〉山の南側の平地部に主に高架で通過する〈3〉山の北側に主に高架で通過する。
御望山トンネルを巡っては、学識者らでつくる調査検討会が昨年3月、現計画では、掘削工事による崩落の危険性があることや、近くに自生し、絶滅の危機にある水生植物「オグラコウホネ」の生育環境に影響が懸念されることなどから、変更を求める報告書を同省に提出していた。
● 住民説明会が紛糾 東海環状道新ルート案 岐阜 2007年10月18日
岐阜市北西部の東海環状自動車道西回りルート・御望山周辺計画をめぐり、ルートを再検討していた国土交通省岐阜国道事務所が、新たに3ルート案を追加提示したことを受けて、地元住民を対象にした説明会が17日、始まった。新ルート案にもトンネル案が盛り込まれたことについて、一部住民から反対の意見や説明が不十分との声が上がるなど、初回から説明会は紛糾した。
この日は、黒野地区を対象に、同市下鵜飼の西部コミュニティセンターで開かれ、約300人が出席した。説明会では、同事務所が調査検討会から「御望山の安全性は確認されない」と指摘を受けて、現行の山の南側斜面をトンネルで通過する都市計画ルートを含め計画を再検討することになった経緯などを説明。
新たに提示した▽山の南側を高架で通過▽山の南側斜面から離れた位置をトンネルで通過▽山の北側を高架で通過―の3案について、それぞれの特徴を説明し、「10年で西回りルートをつなげたい」と理解を求めた。
質疑では、新ルート案にトンネルを掘る案が盛り込まれていることに、御望山のふもとの第二千成団地の住民が「調査検討会の報告を無視している。説明も不十分」と批判。トンネルを掘ることの危険性について説明しようとし、早期完成を求める住民から怒声が飛ぶなど一時騒然とした。
別の住民からは「説明の内容にがっかりした。以前、説明会を聞いてから10年以上経っているのに、まだこんな状況。一体、いつになったらできるのか」と、いら立ちを募らせる声が上がった。
説明会は地元5地区で、25日まで順次開かれる。同事務所は住民説明会での意見やアンケート結果を踏まえて、計画案を策定する方針。
●東海環状自動車道:激しく応酬、一時騒然--西回りルート地元説明会 /岐阜 毎日 10月19日
岐阜市北西部の御望(ごも)山周辺で建設計画が進められている東海環状自動車道の「西回りルート」の地元説明会が17日夜、同市黒野地区で開かれた。会場となった同市下鵜飼の西部コミュニティセンターには地元住民約300人が集まり、中部地方整備局岐阜国道事務所の説明を受けたが、トンネル掘削の危険性を指摘する住民と、早期着工を求める住民とが激しく応酬するなど、説明会は一時騒然となった。【佐野裕】
同ルートに関しては、有識者や住民でつくる中部地整の「御望山調査検討委員会」が、同ルートに計画されている御望山トンネルについて「地質が悪く、安全性が確保できない」と指摘。中部地整が再検討し、新たなルート案として▽御望山の南側住宅街を高架道路で通過(Aルート)▽御望山の北側斜面寄りをトンネルで通過(Bルート)▽御望山北側の山すそを高架道路で通過(Cルート)--の3案を提案。
説明の中で中部地整側が「住宅地に近い南側斜面や、絶滅の危険が指摘されるオグラコウホネが自生する池からから離れた位置を通過する」などと述べる場面があった。このため、住民の一部が「Bルート案に誘導する説明だ」「検討委員会の報告を無視している。住民の命がかかっている」とBルート案の撤回を要求。一方、早期着工を求める一部住民からは「前回、地元説明会が開かれてから10年以上経過しており、早期着工してほしい」と反発。会場は住民間で怒号が飛び交い、騒然とした雰囲気に包まれた。
午後9時に質疑が打ち切られると、トンネル案に反対する住民が中部地整職員に「一方的な説明だ。次の説明会は中止しろ」「Bルート案は一番危険な場所を通る。住民の命を守れ」などと激しく詰め寄った。中部地整側は「住民の安全は守る」と繰り返した。
中部地整は今後、他の周辺4地区で順次、説明会を開くとともに、住民アンケートを実施し、計画案をまとめるとしている。
●中日10月25日から 中日新聞 3回の特集
どうなる御望山 東海環状自動車道西回りルート
(上)賛否交錯 地域間に溝 第二千成団地の憂い
(中)高架案 不安と期待 地権者の思い
(下)民意反映できるか 国交省の対応
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
●3ルート案に戸惑い・不安 東海環状道説明会 岐阜 2007年10月26日
東海環状自動車道・西回りルートで岐阜市北西部の御望山周辺の計画をめぐり、国土交通省が現行トンネルルートに加え新たに3ルート案を示した問題で、5地域で催された住民説明会が25日、終わった。住民からは、早期整備の要望やルート案への評価など、さまざまな立場からの意見が交錯。同省は「住民の意見と客観的な調査結果を踏まえ、早く結論を出したい」と繰り返した。
同省は、御望山調査検討会が「(トンネルを掘削した場合の)山の安全性は確認されない」と結論付けたのを受けて計画の再検討を進めており、先月下旬に新たに3ルート案を提示。11月8日までアンケート形式で意見を募っている。複数ルート案の比較検討段階から住民の意見を聴く異例の手法で、17日に始まった説明会には5会場で計約600人が参加した。
25日、常磐地区の説明会。男性は「アクセス道路だけでもいいからとにかく早く着工してほしい」と訴えた。現ルートの公表から10数年がたつだけに早期整備を求める声は各会場で目立った。一方で「他人事だと思っていたら、急に関係のあるルート案が出てきた」と戸惑う住民も。住民が少ない地域では「多数決で決まってしまうのでは」と不安の声も聞かれた。
御望山南斜面のふもとに住み、現ルート計画に反対してきた第二千成団地の一部住民はすべての説明会に出席。新たな3案にトンネル案を入れた同省の方針をただし、山の危険性を訴えた。だが会場の住民から発言を遮られる場面も。ある地区の自治会連合会長は「団地住民の声を聴く場をきちんと設けるべきだ。異なる状況の住民が一緒では、いさかいが起きる」と同省に注文を付けた。
同省岐阜国道事務所は「おしかりも多く受けたが、皆さんの声を聴く場を持てたことは良かった。アンケートはがきでできるだけ多くの意見を聴き、計画策定に生かしたい」としている。
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●濃飛貫く 東海北陸道全通へ 第2部「軌跡」 岐阜新聞 一面の特集
来夏に全線開通する東海北陸道。この道はどのように計画され、どのように造られていったのか。第2部では、事業に携わった関係者の回想を基に40余年に及ぶ軌跡を紹介していく。
● 幻の御母衣ルート 中部縦貫道絡み変更 シリーズ7
東海北陸道のルート変更について説明する沓掛哲男参院議員(当時)=今年6月、東京都千代田区永田町、参議院議員会館
南北に走る東海北陸自動車道のルートには、大きく東に膨らんだ区間がある。荘川インターチェンジ(IC)から白川郷ICにかけてだ。
もともとの計画では、御母衣ダム付近の庄川左岸を真っすぐ南北に通るはずだった。なぜ御母衣ルートは幻になったのか。
東海北陸自動車道の建設促進議員連盟で事務局長を務めた沓掛哲男前参院議員(78)によれば、水面下でこんな調整があったという。沓掛氏は建設省で道路局長、技監を務め、議員当選後は東海北陸道の推進役として知られた。
「中部縦貫自動車道の話が出てきてね。福井の福田さん(福田一元衆院議長、故人)は御母衣ダムの南でつなげっていうんですよ。でも、富山や石川から関東方面に向かうとき、(北東へ)Uターンすることになるわね。そらまずいと」
1987(昭和62)年、「国土の均衡ある発展」を掲げた第4次総合開発計画(四全総)が策定された。国土開発幹線自動車道建設法も改正され、全国で計1万4000キロの高規格幹線道路網が整備されることになった。
この中で、東海北陸道を横切る高規格幹線道路・中部縦貫道(長野県松本市―福井市)が具体化してきていた。
好機ととらえた高山市や高山商工会議所は同年5月、「高山市とのアクセス利便性を考慮した路線計画の策定」を関係機関に陳情している。
要望に同行した飛騨高山観光協会の蓑谷穆会長(75)は「これ幸いに、国会議員の先生にお願いにいった。高山寄りにしてもらおうとね。実現したメリットは大きかったな」と振り返る。
沓掛氏によれば、接続点を選ぶポイントになったのは、南北に長い御母衣湖だった。湖を避けるため、中部縦貫道を北端で通すのか、南端で通すのか。沓掛氏は関係者を議員会館に集め、図面を広げて各県の要望のバランスを取りながら案を練り上げたという。
しかし、同区間の主なルートを含む基本計画は73年の国土開発幹線自動車道建設審議会(国幹審)で決定済みだった。
「市道、町道だって変えようと思ったら大変でしょ。ましてや高速道路。国幹審の会長は首相で、当時は故竹下登さん。午後から外遊に出る忙しい日を狙って書類を出したんだ」。そういうと沓掛氏は笑みを浮かべた。
奇策が奏功したのか、ルートは高山市寄りに改められることになり、88年5月に公表された環境影響評価準備書には新ルートが盛り込まれた。
変更により、距離は基本計画に比べ9キロほど伸びたが、当時の中部地方建設局の試算では、建設費は変わらなかったという。
しかし、新しいルート上には籾糠(もみぬか)山(1、744メートル)がそびえていた。工事関係者は飛騨トンネルという難工事を抱え込むことになった。
県松本市から岐阜県を横断し、福井市までを結ぶ全長160キロの自動車専用道路。岐阜県では、安房峠道路と油坂峠道路のほか、高山インターチェンジから飛騨清見ジャンクション(JCT)までが開通している。東海北陸自動車道とは飛騨清見JCT―白鳥JCT間の40・8キロが重複している。
【中部縦貫自動車道】
長野県松本市から岐阜県を横断し、福井市までを結ぶ全長160キロの自動車専用道路。岐阜県では、安房峠道路と油坂峠道路のほか、高山インターチェンジから飛騨清見ジャンクション(JCT)までが開通している。東海北陸自動車道とは飛騨清見JCT―白鳥JCT間の40・8キロが重複している。
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