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てらまち・ねっと



 民間でも官公署でも、組織としての職場でのセクハラが絶えない。重大事件になることもある。
 昨日の札幌地裁での国の敗訴の判決。

 事件は自衛隊内のことで、「1階級上の男性に呼び出され、無理やり胸などを触られたり、性的行為を強要させられるなどした。その後、女性は上司に訴え出たが、女性自衛官同席でなかったため細かい説明ができず、婦人科受診の申し出も「男性隊員が同行しないと認めない」と言われ、さらに事件から4カ月後、上司らから「周囲に迷惑をかけた」と退職を強要させられた。」(毎日新聞の判決の引用)

 敗訴した国は2週間以内に控訴するか否かの決定が要る。

 ちょうど政府は、新鮮な方向を進めているタイミング。
 官優先、官民癒着の多かった自民政権ではあり得なかったこと。
 それは、訴訟対応を「政治主導」で官邸で一元管理しようというもの。
 7月23日に第一回会合が開かれている。

 7月24日の朝日新聞は次のよう。
 菅内閣は23日、国が被告で、薬害や公害など社会的な関心が高く、国民生活に影響の大きい約700件の訴訟について、内閣官房で集約・管理し、閣僚同士の協議で対応を判断する方針を決めた。

 相続税の対象になった生命保険の年金部分に所得税を課すのは「二重課税」だとして、長崎市の主婦が課税の取り消しを求めて起こした裁判について、最高裁が国の敗訴を言い渡すまで、報告がなかったからだ。


   (関連) 2010年7月8日ブログの⇒ ◆二重課税の所得税、時効分も返還へ/一審は本人訴訟で勝訴/2審は弁護士で敗訴/最高裁で逆転

 この経緯が直接の引き金となって、菅内閣は23日午前、首相官邸で訴訟関係大臣会合の初会合を開いた。内閣官房に各省からスタッフを集め、全国の裁判所で国が抱える約1万8千の訴訟のうち、約700件のスケジュールを管理し、争うか、和解協議に入るかなどの対応を検討することを決めた。

 菅直人首相も、23日の関係大臣会合で「公正な手続きで国民の理解と納得の得られる解決の中身であれば、行政当局として(和解などを)受け入れる形は大いにある」と語り、訴訟対応を官邸主導で積極的に進める考えを示した。


 毎日新聞は、「菅直人首相は『(内閣)全体として責任ある対応をし、迅速な形でより良い解決につながるような方向性を見いだしていきたい』と述べた」とする。

 ということで、まず、昨日の判決の報道などで確認してから、
 弁護士でもある仙石官房長官の「訴訟関係大臣会合」の主旨の説明の会見、同じく弁護士である千葉法務大臣の会見などを見てから、第一回会合の様子の報道を見てみる。   

 官房長官が関係する訴訟の数を挙げている。
 1万8千件の訴訟が国相手にされている。
 本省の法務省の訟務担当で扱っているのが約1,800件。
 注目事件が種類で60件、法廷で700件。
 700件の訴訟というのは200日で割ると、1日に3.5。


 現場の航空幕僚監部広報室は、「裁判所の理解が得られなかった。今後の対応は関係機関と調整して適切に対応したい」とする。

 例えば昨日の自衛官セクハラ訴訟の国敗訴判決のケース、この「訴訟関係大臣会合」の対象となるのか、なった場合の結論は・・・興味深いところだ。

(追記 8月13日ブログ ⇒ ◆自衛官セクハラ訴訟/国が控訴せず/「控訴・断念」は自公政権ならあり得なかったろう/政権交代を評価  )

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●国に580万円賠償命令 女性自衛官の退職強要訴訟
      2010/07/29 13:48 【共同通信】
 北海道の航空自衛隊基地で、同僚の男性自衛官からわいせつ行為を受け、相談した上司に退職を強要されたとして、元自衛官の女性(24)が国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(橋詰均裁判長)は29日、国に580万円の支払いを命じた。

 判決は女性に対する男性自衛官の性的暴行を認め、上司らによる退職強要もあったとした。

 訴えによると、女性は2006年9月、夜勤中の同僚男性(35)に呼び出され、無理に服を脱がされ体を触られた。相談を受けた上司は、不調を訴えた女性の診察に別の男性隊員を同行させるなど不適切な対応をした上、隊員らとともに再三退職を促したとしている。

 国側は「性的行為は合意に基づく。上司らが女性の訴えを不当に扱ったことはなく、退職強要の事実もない」としていた。

 女性は07年5月の提訴後も勤務し、09年3月までだった任期の延長を望んだがかなわずに退職した。一方、空自は09年2月、女性への性的行為を理由に男性自衛官を停職60日の懲戒処分とした。

●裁判:空自で女性隊員に性的暴行と退職強要 札幌地裁が認定、国に580万円賠償命令 
     毎日新聞 2010年7月30日 
 同僚の自衛官から性的暴力を受けたうえに退職を強要させられたとして、北海道内の航空自衛隊基地に勤務していた元女性隊員(24)が約1100万円の国家賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は29日、女性側の訴えをほぼ全面的に認め、国に580万円の支払いを命じた。橋詰均裁判長は「上下関係などを利用した性的暴行で、その後も上司らが露骨に退職に追い込もうとした」と、組織的な不法行為を認定した。

 判決によると、女性は06年9月、夜勤中に飲酒していた1階級上の男性3曹(35)に内線電話で勤務部屋に呼び出され、無理やり胸などを触られたり、性的行為を強要させられるなどした。その後、女性は上司に訴え出たが、女性自衛官同席でなかったため細かい説明ができず、婦人科受診の申し出も「男性隊員が同行しないと認めない」と言われ、すぐには行けなかった。さらに事件から4カ月後、上司らから「周囲に迷惑をかけた」と退職を強要させられた。

 判決は3曹の「合意の上だった」との主張を退け「階級の上下関係を利用し、周囲から隔絶された部屋で女性の抵抗を抑圧した」と認定。また上司らの事後対応も「被害を訴えた原告を厄介者として退職に追い込もうとする露骨な取り扱いだ」と断じ、3曹の暴行による慰謝料を200万円、監督義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円と認定した。【久野華代】

 ◇「国は判決の意味考えて」原告の女性、涙抑え切れず
 原告の女性は、法廷で判決を聞きながら、涙を抑え切れずしゃくり上げた。「職場で私の被害は『大したことはない』という扱いを受けた。もう誰も同じ思いをしてほしくない。国は判決の意味を考えて」。写真撮影不可で応じた記者会見で、きっぱりと訴えた。

 「同じ被害に苦しむ現役自衛官の励みになれば」。3年前、現職のまま提訴すると、訓練に参加させてもらせいなど嫌がらせを受け続けた。人の役に立つ仕事がしたくて選んだ仕事。「何も悪くない私がどうして辞めなければいけないのか」。2年間踏ん張ったが、昨年3月の再任用は認められなかった。

 提訴後、職場でセクハラを受けたという女性からいくつも相談を受けた。傍聴席は支援者で満席になり、裁判長が退廷する時には拍手が起こった。「原告の主張に共感を持ち、被害実態に即した判断をしてくれた」と弁護団の秀島ゆかり弁護士。原告の女性は「被害者が悪いんじゃない。苦しんでいる人には、信じた道を行ってほしい」と語った。

 自衛隊員による職場のセクハラ問題は少なくない。防衛省によると99~09年度の相談件数は545件に上り、相談を端緒に懲戒処分に至った件数も91件(免職1件、停職48件、減給26件、戒告16件)に達する。08年には業務時間外の余暇活動で部下の女性の体に接触して著しい精神的不快感を与えたとして、空自第1術科学校(浜松市)校長だった空将補が停職処分を受けた。

 同省はセクハラ防止に関する訓令で、問題が生じた場合に必要な措置を迅速・適切に講じたり、相談員を配置することなどと定めている。判決について同省幹部は「訓令に基づき、今後もセクハラ防止対策を徹底していく」と話した。【久野華代、樋岡徹也】

    ◇
 弁護団の佐藤博文弁護士の話 全面的な勝訴。判決を今後の自衛隊のあり方に生かしてもらわなければいけない。国側は控訴しないでほしい。

 航空幕僚監部広報室の話 裁判所の理解が得られなかった。今後の対応は関係機関と調整して適切に対応したい。

 セクハラ問題に詳しい宮地光子弁護士(大阪弁護士会)の話 画期的な判決だ。特に「性的被害を訴える人が心身の被害を回復できるようにしたり、不利益を受けないように配慮すること」を職場監督者の義務として明示したケースは初めてだろう。判決を読むと、この組織は極めて前近代的。被害を訴える女性から男性が事情を聴くなど配慮がなさ過ぎる。職場や組織でセクハラなどに対処する上での指針となり得る判決で、影響は大きい。

●空自セクハラ訴訟、国に580万支払い命令
       2010年7月29日15時24分 読売新聞
 北海道内の航空自衛隊基地に勤務していた元女性自衛官(24)が、男性自衛官から受けたわいせつ行為を上司に訴えたところ、逆に退職を促されたなどとして、国に慰謝料など計約1120万円の支払いを求めた訴訟の判決が29日、札幌地裁であった。

 橋詰均裁判長は、男性自衛官が性的暴行を加えた事実を認定し、国に580万円の支払いを命じた。

 これまでの裁判で、元女性自衛官は「抵抗したが、腕などをつかまれて逃げることができなかった。体を触ることを了解した言葉は一度も言っていない」と主張。「上司からは、自衛隊で問題を起こしたら、もうやってはいけないと言われた」としていた。

 これに対し、国側は「性的行為は原告の意思に反したものではなく、セクハラとは言えない。事後の対応も適切で、不当な扱いや退職を強要した事実はない」と反論し、請求棄却を求めていた。

 判決では、「上下関係があり、女性が心理的に反抗しにくいことを利用して部屋にとどまらせ、腕力で抵抗を抑圧した」と指摘。また「女性が周囲に迷惑をかけたとして、上司が退職に追い込もうとした」とした。

●元防大生に有罪判決 女性へのわいせつ行為
        産経 2010.7.28 16:13
 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の同級生と共謀し、酒に酔って抵抗できない女性にわいせつ行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた当時19歳だった元同大学校生の男(20)に、横浜地裁横須賀支部は28日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。

 忠鉢孝史裁判官は判決理由で「中心になって周囲をあおった被告の刑事責任は重大。防大生と自衛官に対する信頼を損なったことも軽視できないが、女性と示談が成立している」と述べた。

 判決によると、男は2月7日、群馬県内のホテルで、防大の同級生(20)=準強姦未遂罪で有罪判決=と共謀し、酔った知人女性にわいせつな行為をした。2人は事件後、防大を退校処分になった。

  ●訴訟関係大臣会合について
    「平成22年7月23日(金)午前 官房長官記者発表」
 本日の閣僚懇談会におきまして、私(官房長官)から、新たに内閣官房を中心とする訴訟対応体制を整備することを申し上げまして、その後、総理大臣にもご出席をいただいて、第1回訴訟関係大臣会合を開催いたしました。

このような体制整備を行なうことにいたしましたのは、大型の訴訟や社会的・政治的な影響の大きい訴訟に関して、内閣全体として整合的な対応を行なうことにより、より公正で広く国民の理解と協力を得られるような解決を図ることができると、そうしなければならないと考えたためでございます。

公正で迅速な争いごとの解決は国民のためになるものでございまして、政府一体となって重要な訴訟案件に取り組んでいくことを確認をいたしたところでございます。

・・国の訴訟対応がですね、どうもオープンになっていないというか、なんていうんですか、ドライにも合理的にも出来ていないじゃないかと。

・・・・公正なあるいはそして忠実な憲法上の機関である第3者の場である裁判所で解決をしていただけるというのは、それはそれできちっと受け止めればいいではないかと。

正しく訴訟上の当事者として、訴訟的な争い方をするということを通じてですね、国民に問題点を分かっていただいて、・・・そういう体制を作る・・・

で、現実を見ますと、1万8千件の訴訟が国相手にされているということであります。

それから、これを本省の法務省の訟務担当の訟務局か、訟務部だろうと思いますが、これで扱っているのが約1,800件、そして、皆さん方が注目なさってですね、特に社会部の方々が注目なさって、ある時に大きな見出しでお書きになるであろう事件が約、種類で60件、法廷で700件ということであります。

翻って考えてみれば、これがですね、700件の訴訟というのは200日で割ると、1日に3.5ということでありますから、1日3件くらいはですね、
その種のある時点か日常的にかはともかくとしてですね、世間の注目を浴び、国としては適正な解決が望まれている事案があるということを意味しているわけであります。

・・それと法務省の訟務部の専門家との間で協議がなされて、事件が進んでいると、その各省の大臣官房もあまり、暦的にも管理できていないし、その問題をどう解決していいのかということが、日常的な課題になってきていない形跡があるというふうに私(官房長官)は見ました。

・・問題点の把握はする体制を作っていただきたいということと、そこと内閣官房の中のそういう部署、私(官房長官)が一元的に管理をしようと思っておりますが、その部署との連携をとると。

そして、適宜適切な訴訟上の対応も適宜適切にやりたいと思いますし、それからそのことの持つ問題点の把握、あるいは解決の方向性についても、関係各大臣と協議しながら進めていきたい。


●法務大臣閣議後記者会見の概要
        平成22年7月23日(金)
 本日,閣議後の閣僚懇談会において,国を当事者とする訴訟への対応体制の整備について,官房長官から御発言がありまして,その後,総理大臣以下,全大臣出席のもと,第1回訴訟関係大臣会合が開催されました。

これは,近年頻発している大型の集団訴訟や社会的・政治的な影響が大きい訴訟について,政府全体として情報を共有し,適切な対応を行うための体制を整備するためのものと承知しています。

今後,これらの訴訟について,政府全体としての対応方針等を決定する必要が生じた場合などには,訴訟関係大臣会合を開催することとし,また,これをサポートするため,内閣官房や各省の実務担当者からなるプロジェクトチームが設けられることになろうと思います。

法務省としては,このような新しい制度を踏まえながら,これまで以上に訴訟対応に万全を期してまいりたいと考えています。


●訴訟対応「政治主導」に 約700件を官邸で一元管理へ
        朝日 2010年7月24日0時1分
 菅内閣は23日、国が被告で、薬害や公害など社会的な関心が高く、国民生活に影響の大きい約700件の訴訟について、内閣官房で集約・管理し、閣僚同士の協議で対応を判断する方針を決めた。従来は各省ごとに把握していたが、注目度の高い訴訟への国の対応は、内閣への評価に直結するだけに、政治主導で判断することにした。

 「いったいどうなっているんだ。こんな大きな話をなぜ自分たちで抱え込むのか」

 仙谷由人官房長官は今月7日、首相官邸で、財務省幹部を前に激怒した。

 相続税の対象になった生命保険の年金部分に所得税を課すのは「二重課税」だとして、長崎市の主婦が課税の取り消しを求めて起こした裁判について、最高裁が国の敗訴を言い渡すまで、報告がなかったからだ。情報は現場の担当者レベルで止まり、財務省、国税庁の幹部ですら状況を把握していなかった。

 この経緯が直接の引き金となって、菅内閣は23日午前、首相官邸で訴訟関係大臣会合の初会合を開いた。内閣官房に各省からスタッフを集め、全国の裁判所で国が抱える約1万8千の訴訟のうち、約700件のスケジュールを管理し、争うか、和解協議に入るかなどの対応を検討することを決めた。その際には、所管の省庁や財務、法務などによる関係大臣会合を開く。

 現状では、それぞれの訴訟について、各省庁の判断でバラバラに対応しており、首相官邸には情報が上がっていない。しかし、特に薬害や公害など社会的関心の高い訴訟への対応は、政権にとって国民の支持を左右する。01年には、小泉純一郎首相(当時)が、ハンセン病患者への隔離政策を巡って国が敗訴した訴訟で、事務方の反対を押し切って控訴せず、支持率の上昇につながった。

 仙谷氏は23日午後の記者会見で「政府を年商(予算)92兆円の会社と考えれば、しかるべきマネジメントがないとうまくいかないというのが実感だ」と語った。仙谷氏には、鳩山内閣の国家戦略担当相として、アスベスト訴訟やB型肝炎訴訟を担当した経験もある。仙谷氏は、「じっくり判決を読み、証拠にあたる時間があまりにもなかった」と悔しさをにじませる。

 橋本内閣の厚生大臣として薬害エイズ問題に向き合った菅直人首相も、23日の関係大臣会合で「公正な手続きで国民の理解と納得の得られる解決の中身であれば、行政当局として(和解などを)受け入れる形は大いにある」と語り、訴訟対応を官邸主導で積極的に進める考えを示した。(内田晃、伊藤裕香子)

●ファイル:官房長官トップに訴訟対応
      毎日新聞 2010年7月24日 
 仙谷由人官房長官は23日の閣僚懇談会で、これまで各省が個別に対応してきた国がかかわる訴訟について、自身をトップに内閣官房に新チームを設け、一元的に管理する方針を報告した。B型肝炎訴訟やアスベスト訴訟など「社会的、政治的に影響が大きい」(仙谷氏)約60ケースの訴訟を対象に、裁判の進行管理や政府対応の取りまとめを担い、案件ごとに訴訟関係大臣会合を随時開く。

 同日、ほぼ全閣僚が参加して訴訟関係大臣会合の初会合が開かれ、菅直人首相は「(内閣)全体として責任ある対応をし、迅速な形でより良い解決につながるような方向性を見いだしていきたい」と述べた。

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