●NHKスペシャル【脳卒中リハビリ革命マヒの指BMI治療促通効果鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター川平和美藤田太寅】
NHKスペシャル 詳細情報
NHKスペシャル9月4日放送【脳卒中・リハビリ革命脳はよみがえる
▽感動4年マヒの指が動いた最新医学で驚異の復活】の詳細情報です。
◎出演:藤田太寅(関西学院大学教授/元部外解説委員)
■脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~
「4年間リハビリを頑張ってきても動かなかった指が、わずか10分の訓練で動き始めた」
今、脳卒中の治療で新たなリハビリが次々に開発され、驚異的な効果を上げています。
約280万人にのぼる脳卒中患者、医療の発達で命を落とすケースは減ったものの、
マヒの問題は深刻で、介護が必要になる原因の第一位。解決にはリハビリが重要ですが、
発症後6ヶ月を超えたあたりから効果が落ちるとされてきました。
しかし最近、脳科学の急速な発達により、傷ついた脳が再生するメカニズムが
次第に明らかになり、時間を経過した患者でも、マヒを改善する手法が発見されています。
今回のNHKスペシャルでは、リハビリの効果を上げる誰でも出来る意外な方法や
脳波とマシンを連動させる最新科学まで、脳卒中リハビリの最前線で起きている
急激な変化を取材、人間の脳に秘められた驚きのパワーに迫りました。
キャスターは、これまでもNHKスペシャルで脳卒中リハビリを取材してきた、
藤田太寅氏(自らも4年前に脳卒中を経験、今もリハビリ中)。
鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター(鹿児島県霧島市)では、
鹿児島大学医学部の川平和美教授が5年前に独自の脳卒中リハビリ法を確立、
歩けなかった人が歩けるようになる驚異の変化をもたらしたといいます。
患者の一人・淵脇悟さんは2年前脳卒中を発症し、茶碗を握ることはできても
離すことができず、奥さんの助けなしでは生活できませんでした。
ブロックをつかんで運ぶ簡単なテストでは、細い棒をつまむことができず、
100点満点で10点でした。
脳卒中の一般的なリハビリの場合、医師は患者を見守るのが基本ですが、
川平和美教授は実際に患部をさわり筋肉に刺激を繰り返す方法を行い、
2年間回らなかった手が回るようになったといいます。
マヒした手を動かす時の脳活動をリハビリ前後で比較したところ、
リハビリ前は手を動かそうとすると脳の広い範囲が赤くなるのに対し、
リハビリ後は、赤い部分が大幅に減る促通効果があるといいます。
アメリカ国立衛生研究所は、川平和美教授の促通効果に注目し、
マヒ患者のリハビリに使えないか研究、リハビリ1か月後には
手首を回して水が飲めるようになりましたが、重症のマヒ患者には
効果を発揮しづらいといいます。
Brain Machine Interface(BMI)=脳と機械をつなぐ技術では、
脳波を取り出して、その通りにロボットアームが動きます。
7年前に脳卒中が原因で重いマヒに陥ってしまったある患者は、
新聞の科学面を切り抜くことが日課のようになっていましたが、
脳卒中のリハビリに新技術に関する記事を読み、4か月後に
慶應義塾大学病院を訪ねました。
入院当初は棒をつかむことができないほどマヒが重度だったため、
担当医の藤原俊之講師(慶應義塾大学医学部)はBMI治療という
脳に信号の出し方を思い出させる治療のことを話しました。
最初は失敗ばかりでしたが、少しずつ正常な脳波が出せるようになり、
脳からの信号を増幅し強める装置を腕に付け、普段はめた状態で生活
したところ、現在では左手を使い、様々なことができるようになりました。
鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンターは、テスト結果に現れなくても
脳には変化が起きていることを患者本人に見せて、自信を取り戻させることが
大切といいます。
アメリカ・ロサンゼルスのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、
リハビリ研究の世界的権威・ブルースドブキン教授がリハビリ後にほめた場合と
ほめない場合で歩く速度の変化を比較したところ、ほめられた方が約40日早く
歩けるようになったといいます。
カリフォルニア工科大学の下條信輔教授は、ごほうびをもらうと脳の働きが
強化されるが、ポイントは報酬系という部分で、ほめらると報酬系は活性化、
そこへドーパミンを送り込むと活性化し、ほめられた部分が発達するので、
周囲の温かな励ましが大きな鍵になると話します。
【ほめることによる効果を高めるポイント】
(1)具体的にほめる
(2)すかさずほめる
脳卒中のリハビリ効果を高める方法は他にも見つかっており、カンザス大学病院
(アメリカ・カンザスシティー)では睡眠の効果を研究中で、リハビリの直後に
眠った場合と眠らない場合でリハビリ効果を比較したところ、手の反応速度は
眠った人の方が格段に上がるといいます。 |