●総選挙事務700億円 貴重な一票忘れずに
東京 2014年11月22日
衆院選では毎回、七百億円前後の事務経費が国の予算に計上される。全国の二十歳以上の有権者は約一億人のため、投票に行くか行かないかに関係なく、有権者一人につき七百円程度の税負担が生じる。今回の衆院選も同様だ。
二〇一二年の衆院選でかかった選挙事務関係の経費は、臨時の啓発費なども含めて約七百三億円。都道府県や市町村の選挙管理委員会に交付する投開票作業の事務費用や、候補者が選挙運動で使うポスターやビラの作成費用の公費負担分などに充てられた。
参院選の事務費用は毎回五百億円前後。衆院の定数(四七五)は参院(二四二)の二倍近くあり、選挙区も細分化されていることから、候補者向けの公費負担が増えて高額になる。
今回の衆院選は解散から投開票までの期間が短いが総務省の担当者は「事務費用は公示日や投開票日の作業で集中的に使われる」と説明。過去の衆院選と同じ七百億円前後の経費が必要になる見通しという。国政選挙は一二年の衆院選、昨年の参院選と合わせて三年連続。この三年間で千九百億円程度の税金が選挙事務に費やされることになる。
一二年衆院選の小選挙区投票率は戦後最低の59・32%。今回も低投票率が懸念される。学習院大の平野浩教授(政治心理学)は「今回の選挙は、安倍政権の二年間の実績を評価するチャンスを与えられたと受け止めるべきだ。有権者が投票所に行って選挙権を行使しなければ、事務費用が無駄になってしまう」と指摘する。 (中根政人)
( 共同/同一記事 ⇒ 総選挙の事務経費は700億円 有権者1人700円程度の税負担 )
●“大義なき選挙”の費用「血税700億円」はどれほどの金額?
日刊ゲンダイ 2014年11月23日
安倍首相の身勝手な解散・総選挙に投じられる税金は約700億円に上る。
最も費用がかさむのは、投票所の運営や投票用紙の印刷、開票作業にかかわる人件費など「選挙執行管理費」。立候補者が有権者に送るハガキや選挙カー、選挙ポスターなども公費が使われる。
「大義のある解散・総選挙ではないのに、これだけ血税が投入されるのは納得がいかない。憤りを感じている市場関係者は大勢います」(株式評論家の倉多慎之助氏)
700億円と言われても庶民感覚ではピンとこない。いったい、どのぐらいの規模なのか。
「日銀が年間で買い入れるREITが900億円。それとほぼ同規模ということになります」(第一生命経済研究所エコノミストの藤代宏一氏)
14年度補正予算で復興加速化に約500億円を投じるというが、それ以上の金額を選挙で使うのだ。住宅エコポイントの予算(09年度2次補正)は1000億円。
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一般的なサラリーマンの生涯収入は約2億円。350回生まれ変わらないと700億円には届かない。人生70年だとして、2万4500年かかる。
総選挙に投じられる血税は、そういう金額だ。
●[用語解説]衆院選・選挙費用/衆院総選挙の費用は600億円!! その内訳は?
(2014/11/13 政治山)
2015年10月から消費税を10%に引き上げるか否かの決断を目前に控え、にわかに衆議院解散・総選挙の論調が強まってきました。選挙が行われる際には、選挙管理委員会などの選挙を執行する側と政党や候補者などの立候補する側それぞれに費用が生じるわけですが、選挙の執行にはどれほどの費用が必要なのでしょうか。
総費用の約半分が投票所などの人件費
2012年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙を見てみると予算執行額は587億円で、2009年(第45回)の598億円からわずかに減額となっています。
主な経費の構成は、投票所または開票所にかかる経費(管理者や立会人の人件費)、期日前投票にかかる経費、各選挙管理委員会の事務費(選挙の啓発や入場券の送付)、その他(ポスター掲示場費や選挙公報発行費)となり、投・開票所や期日前投票の人件費(超過勤務手当含む)が総費用の約半分を占めています。
選挙公営、各新聞社と日本郵便に約20億円
政党や候補者が有権者に支持を訴えるために、テレビや新聞、印刷物などを用いる際にその費用を税金で賄う仕組みを「選挙公営」といいます。政見放送や経歴放送を収録して報じる各放送事業者には約1億円、新聞広告を掲載する各新聞社と、推薦はがきを発送する日本郵便株式会社にはそれぞれ約20億円が支払われています。
推薦はがきの発送については、全国を網羅する配送事業者は国内に複数ありますが、入札が行われた実績はありません。
また、2013年にインターネットを利用した選挙運動が一部解禁となりましたが、選挙公営によるインターネット広告は認められていません。
民間会社への委託の9割以上が随意契約
啓発企画や開票速報業務など民間会社への委託費は3.2億円で、少なくとも9割以上が随意契約(一般競争入札ではない)により支払われています。2009年には5.4億円の民間への委託費のうち7割以上を大手広告代理店が占めており、有権者から見てその事業者が選ばれた経緯や何にいくらかかったのか、分かりにくい状況が続いています。
「政治とカネ」が再び注目され、各地で不正投票や不正集計が発覚し、政治や選挙への信頼が揺らいでいる今だからこそ、選挙を執行する側もこれまで以上に襟を正す必要があるのではないでしょうか。
<著者> 市ノ澤 充 /株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。 |