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てらまち・ねっと



 衆議院選の投票日も間もなく。ネットの報道では、若者に投票に行こうという意見がいくつもあった。
 政府は雇用が増えたというけれど、非正規雇用者の方が増えている。社会全体の格差も広がっていく政策。
 先の見えない若者は少なくないだろう。だからこそ、投票し、選択しよう、ということ。

 そのあたりをいくつか記録しておく。
★神戸新聞 《「非正規」増、訴えにずれ 若者の就労環境依然厳し》
★東京新聞 《 <くらしを守る>増え続ける非正規 将来像描けぬ若者ら》

★弁護士ドットコムニュース 《「親の収入」に頼る「非正規社員」の若者たち―この現実から抜け出す方法はあるか? 
  ◆非正規雇用者の低賃金は「深刻」  ◆正規社員が抱える「長時間労働」の問題》

★東京新聞 《【社説】アベノミクスの是非 若者が、地方が声上げよ》
   ◆雇用と賃金に改善大 ◆恩恵及ぶのは一握り ◆シルバー民主主義か

★ハフィントンポスト 《若者よ、投票に行こう!自分の未来のために》
★東京新聞 《 ◇若者よ、選挙に行こう ◇母子世帯の半数、「相対的貧困」層 ◇社会保障政策の改善へ重い1票》

 ところで、今日は、急な議会運営委員会のあと、常任委員会の会議と管内視察。
 なお、今6時は気温 マイナス1.6度。 防寒してノルディックウォークにでかけよう。

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●「非正規」増、訴えにずれ 若者の就労環境依然厳しく
        神戸 2014/12/9 07:20
 雇用情勢の改善で有効求人倍率は上向いているものの、中身を見れば、非正規雇用の増加に歯止めがかからない。いまや働く人の4割近くに達し、その平均年収は200万円以下。格差や貧困の温床とされる。雇用施策は衆院選の争点の一つ。非正規雇用では与野党で論点の違いも見える。(石沢菜々子)

 JR三ノ宮駅前の「三宮わかものハローワーク」。就職氷河期に大学などを卒業し、非正規で働く若者が正社員として再就職できるよう支援する。厚生労働省が7月に開いた。

 9月から通う神戸市須磨区の女性(29)は「非正規の求人が多く、雇用が改善している実感はない」。建設や介護など人手不足の職種で求人があるが、「若者の希望と一致していない」(同ハローワーク)という。

    ◇
 1人につき何人分の仕事があるかを示す有効求人倍率。兵庫で見るとリーマン・ショック後に0・42倍まで落ち込んだ後、長期で改善傾向が続く。現在は0・91倍だが、正社員は0・56倍にとどまる。

 総務省の労働力調査では全国の正規・非正規を合わせた労働者数は10月時点で5279万人。リーマン・ショックで落ち込んだ2009年から回復傾向にあり、この2年では125万人増加。うち正社員は42万人減り、パートやアルバイト、派遣といった非正規は167万人増えた。中でも15~24歳の若年層は非正規が半数近くを占め、若者が正社員になりにくい状況が続く。

 「長く働いても最低賃金並み」「有給を取得すると、契約を更新してもらえない」。労働相談などに取り組む「ひょうごユニオン」(神戸市中央区)には非正規の待遇改善を求める声が寄せられる。

    ◇
 非正規雇用をめぐる各党の公約では、民主、維新、社民、生活など野党の多くが、正規・非正規の区別なく、同じ仕事には同じ賃金を支払う「同一労働・同一賃金」を掲げる。自民や公明は明記せず、正社員化の推進や格差解消などを盛り込む。

 与野党で対立軸が明確なのが、自民、公明が成立を目指した「労働者派遣法改正案」だ。企業の派遣労働者受け入れ期間の上限(現在は3年)を事実上撤廃する内容だった。解散で廃案になったが、共産など野党は「賃金水準の低い非正規雇用を固定化する」と反発した。

 ひょうごユニオンの塚原久雄事務局長(51)は「安い労働力としての非正規雇用が増える一方では、労働者の生活が守れない」と指摘する。

 【労働者派遣法】 通訳など専門性の高い分野に限定して1986年に施行。規制緩和の流れの中で業種が増え、2004年に対象業務が製造業まで広がった。多様な働き方を可能にしたが、非正規雇用の拡大を後押しした側面もある。

●<くらしを守る>増え続ける非正規 将来像描けぬ若者ら
        東京 2014年12月8日
 高い経済成長が望めない中、労働環境は悪化し、正規雇用が減って非正規雇用が増え続けている。若い世代にとって低賃金の仕事は十分にあり、当面の生活費は確保できる。しかし、家庭を持つことも含め、将来の生活は描きにくくなっている。 (林勝)

 「財布に一万円あれば安心。それを保つため、仕事を選んでいるようなもの」。主に登録型派遣で物流や製造業で短期の仕事を続けている名古屋市内の男性(42)は、なじみの居酒屋で語った。

 非正規歴は約二十年で、月収は二十万円弱。住む場所があれば「何とでもなる」。消費低迷による飲食業界の競争激化もあって「前よりむしろ暮らしやすくなった」と言う。「ご飯にみそ汁、目玉焼き、のり付きの朝食が二百円、牛丼二百五十円、ラーメンが三百円で食べられる」。食事を用意してくれる店の従業員たちも、自分と同じ非正規だ。

 リーマン・ショックなどによる経済危機が起こった二〇〇八年、仕事が激減し、男性の周囲でも数多くの非正規労働者が雇い止めされた。ただ、一時的なもので低賃金の仕事はなくならない。変わったのは半年や年単位の雇用期間が、一~三カ月に短くなったこと。最近は人手不足で仕事探しに困らないが、同じ立場の労働者も増え、時給が下がったところもあるという。

 三十代の職場仲間らと話すと「彼女が欲しい」との声は上がるが、次の展開に進む話にはならない。「皆何も考えていないのでは。この生活にどっぷり漬かると先が見えなくなるから」。今のところ、男性は家庭を持つことに興味はない。

 五年ごとの総務省・就業構造基本調査では、一九八二年から非正規の実態を調べ始めた=グラフ。正規の数は九七年をピークに減少。非正規は調査開始から増え続けている。

 以前の非正規は主に専業主婦のパートや学生のアルバイトなどだったが、自分の収入だけで生計を維持しなければならない非正規も増加。二〇一二年の国税庁・民間給与実態統計調査によると、男性では正規の平均年収が五百二十万円に対し、非正規は二百二十五万円。女性では正規が三百四十九万円で、非正規は百四十三万円だった。

 正規に比べ、不安定雇用のリスクを負いながらも低賃金の非正規。「正規雇用の見通しが立たない若者たちは、将来の展望を描けるのだろうか」。若者の就労支援をするNPO法人ユースポート横浜(横浜市)の綿引幸代理事長(56)は心配する。同法人は対人関係のつまずきや心の病気など、多様な理由で働けなくなった若者を支援している。個別相談やコミュニケーション訓練、職場体験など多彩なプログラムを通じて、就労につなげる。

 ただ、就労先の多くは非正規。昨年度、進路が決まった相談者約四百人のうち非正規は八割で、正規は一割強だった。「無業から最初の一歩は非正規であっても、その先に安心して、ある程度先が見通せる職場があってこそ、若者は能力を高められるのに」と綿引さんは強調する。
     ◇
 これまで多くの政党が、非正規の正規化や処遇改善を訴えてきたが、現実は逆の結果となっている。今回の衆院選でも、主な政党のすべてが「非正規の拡大を防ぐ」ことを公約に盛り込む。非正規の正規への転換を進める政策と、正規と非正規の均等待遇に向けて「同一労働同一賃金」を推進する政策に大別できる。いずれも正規の処遇の見直しは避けられないが、そのことを明示する政党はない。

●「親の収入」に頼る「非正規社員」の若者たち―この現実から抜け出す方法はあるか? 
          弁護士ドットコムニュース 2014年11月01日 
 厚生労働省が15歳から34歳までの若者を対象に実施している「若年者雇用実態調査」が、若者の厳しい労働環境を浮き彫りにしているとして、話題になっている。

今年9月末に発表された2013年調査の結果によると、非正規雇用で働く人たちの40.3%が、「主な収入源」を問われて「親の収入」と回答した。一方、正規雇用者では、長時間労働が目立った。週50時間以上の長時間労働をしている人は、全体の22.5%もいた。また、時間外労働が月80時間の「過労死ライン」を超えている人が全体の7.2%に達していた。

非正規雇用されている人が低賃金に悩む一方で、正規雇用だと長時間労働に苦しんでいるという構図が見られたわけだが、このような現実を解決する方法はないのだろうか。労働問題に取り組む弁護士は今回の調査結果をどう見ているのか。吉成安友弁護士に聞いた。

 ◆非正規雇用者の低賃金は「深刻」
「非正規雇用者の事情は、人によって色々と違うでしょう。ただ、自分の収入で生活できない方がそれだけ多いとなると、やはり事態は深刻だと思います」

非正規雇用者は、不当な環境下で働かされていると言えるのだろうか。

「たとえば、有期契約だからといって、正規雇用の人と比べて不合理な労働条件を押し付けることは、昨年改正された労働契約法20条で禁じられています。

もっとも、厚労省の通達でも言われていることですが、労働条件の相違があれば直ちに不合理とされるものではなく、不合理かどうかは、業務の内容や責任の程度などを考慮した上で判断されます。

そもそも有期労働者の場合、重要な業務を任されず、『業務内容が違うから賃金も違う』と主張される場合も少なくないと思います。そういったことも含めて、有期労働者の低賃金問題の解決は簡単ではないように思われます」

単純に「正規雇用の人と条件が違うから不合理だ」とキッパリ言いきれるなら、話は早いのだが・・・。そのあたりの判断が難しいポイントなのかもしれない。

 ◆正規社員が抱える「長時間労働」の問題
「正規社員の長時間労働の問題も、深刻だと思います。長時間労働をすることは、健康にとって大きなリスクです。

たとえば、厚労省が定めた『心理的負荷による精神障害の認定基準』によると、『発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合』や『発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合』には、心理的負荷の強度が『強』とされます。

心理的負荷の強度が『強』ということは、精神障害を発症した場合に労災認定される可能性が高いということです」

長時間労働はそれだけリスクが高いと、考えられているということだ。長時間労働を防ぐための法規制はどうなっているのだろう。

「法定の労働時間は原則として週40時間が上限です。ただし、雇用者と労働者との間で労使協定――いわゆる『36協定』です――が結ばれると、この上限を超えて労働をさせることが可能となります。

その場合も原則として限度時間が決まっています。たとえば、1週間だと15時間、2週間だと27時間、1か月で45時間、2か月だと81時間です。

これを超える場合には、『特別の事情』が必要ですが、この『特別の事情』は臨時的なものに限るとされています。たとえば、ボーナス商戦で業務が特に繁忙な時期だったり、大規模なクレームに対応しているような場合です」

長時間労働を規制するために、ルールは定められているわけだが・・・。吉成弁護士は「ただ、今回の調査結果を見てもわかるとおり、なかなかその通りにはいっていないのが実情だと思われます」と述べていた。

労働ルールを守ろうという意識は、近年高まっているように思える。しかし、社会全体の意識が変わるには、まだまだ課題があるのかもしれない。

●若者よ、投票に行こう!自分の未来のために
          ハフィントンポスト日本版編集長 高橋浩祐 2014年12月02日
 オフィスへの通勤路となる秋葉原でいつも気になる日常風景がある。午前10時の開店を前に、毎日、何十人、多い日には何百人もの20代から30代の若者がパチスロ店の前に並んでいるのだ。

時間が十分にある学生ならまだしも、その年齢をとうに超えている30歳前後の男性の姿も目立つ。きっとパチンコやスロットを打つことを仕事にしている人が多いのだろう。

確かに今の時代に限らず、昔からパチプロはいた。ただ、昔と違ってパチスロ店やパチンコ店で見かける世代がずいぶん若返っている印象がある。全国のパチンコ業者や遊技機メーカーなどが加盟する「日本遊技関連事業協会(日遊協)」の広報担当者によると、「スロットは若い人が多い。パチンコは年配者が多い」という。

バブル時代の末期に大人になった私にしてみれば、毎日パチスロ店に朝早くから並んでいる彼ら若者の姿を見て思うことは多々ある。時間や目標に縛られることなく、日々、自由に生きることが彼らの幸せなのか。あるいは、バブルなど潤った時代を感じたことなく、ずっと我慢辛抱することを体で覚えているために現実逃避しているのか。はたまた、不安定な仕事のため、実家の親に甘えてパラサイト生活はしていないのか。内心は不安を抱えて、スロットをしていないのか。

埋もれた才能を無駄にせず、早めに開花させ、このうちの一人でも、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグのような若者が出てきて、日本社会を引っ張ってくれればいいのに、と40半ば過ぎのおじさんは思ってしまう。彼ら自身の未来のためにも。。。


衆院選が12月2日に公示された。自民、公明の与党は、金融緩和や財政出動、成長戦略で景気回復につなげるアベノミクスの継続を訴えている。アベノミクスは確かに金融市場での人々の期待感を高め、株価を倍増させた。人やモノ、カネの流れを、ナマコのように、長らくじっとさせていた「デフレマインド」から「インフレマインド」に変えた。

あえて安倍首相の立場をおもんぱかれば、首相も歯ぎしりをしたい気分だと思う。バブル崩壊後の「失われた20年」から日本経済を浮上させることは誰しも容易ではない。たったの1年や2年ではできない。少なくとも5年以上は成果が出てくるのには必要と思われるが、国民やメディアは短期間での果実を求めてきている。そして、かりにアメリカのオバマ大統領のように、景気を回復させたとしても、支持率が上がるとは限らない。

野党は、アベノミクスの雇用や所得への波及がついていっていないことを責めている。非正規雇用の割合がすでに40%に達し、非正規労働者の待遇改善が必要だと指摘したり、アベノミクスがもたらした物価高による生活苦を訴えたりしている。

ここに興味深い数字がある。週刊エコノミスト(2014年12月9日号)によると、パートやアルバイト、契約社員、派遣などの非正規雇用者は1982年から2012年までの過去30年間、670万人(16.9%)から2043万人(38.2%)になって、1400万人近く増えた。これは数字の上では、この30年間に増えた仕事が全て非正規雇用であったことを意味し、その大多数がワーキングプアでもある、という。また、かつては若者の非正規比率は1割台に過ぎなかったが、今では若者の2人に1人は非正規である、と述べられている。日本が格差社会に突入するなか、大卒のワーキングプアも着々と増えている。


今のままでは若年層の暮らしが厳しくなるのは目にみえている。現在の国民負担率(税と社会保険料の合計が国民所得に占める割合)は約40%となっている。つまり、私たちが稼いだ所得のうち4割は自らの可処分所得(実際に使える手取り分のお金)にならない。このうえ、消費税がさらに上がると、可処分所得はさらに減少する。

日本はただでさえ、GDPの2倍以上にも及ぶ1000兆円を超える巨額の公的債務を抱え、財政が火の車。政治家は表立って議論しないが、年金支給年齢の引き上げもいずれ議論されるようになるだろう。


こうしたツケをもろに受けるのが、冒頭で紹介したような若い世代なのだ。ぜひ投票に行って、自らの未来のために意思表示をしてほしい。前回の2012年の衆議院選挙では20代の若者の投票率は38%と、全世代最低の投票率だった。

年配者の中には、自分の子や孫の(世代の)ことを本当に心配して、若者に投票して欲しいと思ってくれている人も多い。若い世代の声がもっと通る世の中になってほしいと願っている。今のままだと、若い世代に膨大な借金だけを残していってしまう。若者はもっと怒っていいはずだ。そうしないと、何も変わらない。

「投票したいと思う候補者が誰もいない」。よくこんな声を聞く。そんな時は、あなたが特に重視する政策(例えば、雇用でも医療でも教育でも原発再稼働でも)の中で、ベターだと思える候補者や政党にぜひ投票してほしい。それでも、どこにも入れたいと思われる人や政党がないのあれば、白票でもいいし、誰か歴史上の好きな政治家等の名前を書いて意思表示してほしい。

若者がちょっとしたきっかけで、投票に向かうのではないか、との兆しはある。ツイッターで、「低投票率の20~49歳の若年世代が1%投票を棄権すると、1人あたり年間約13万5000円の損となる」との日経新聞の記事を紹介したところ、瞬く間にリツィートが1万1000件を超えた。驚きだった。

若者負担を明示した、わかりやすいトピックで、わかりやすくすればソーシャルでもどんどん拡散されるということを実感している。あとは実際の投票行動に結び付けることだ。あなたの未来のためにも、若者よ、12月14日、投票に行こうではないか。

● ◇若者よ、選挙に行こう
       東京 2014年12月05日 Listening:<記者の目>格差社会の衆院選=野沢和弘(論説室)
 どのような仕組みで世の中が成り立っているのか分からないと、政治や選挙に関心を持てないかもしれない。たとえ自分が理不尽な状況に置かれていても、努力が足りない、運がないと思ってしまう。

 努力は大事だが、個人の努力だけではどうにもならないこともある。法律や税金の使い道を変え、理不尽な状況をなくす方法がある。たとえば選挙だ。世の中を変えるのは簡単ではないが、ほかに代わるべき方法もそうはない。

 「体調を崩し胃痛がひどくてご飯も食べられず栄養は点滴のみ!みたいな生活を送っていました」

 今年大学を卒業し保育施設で働いている女性(23)からメールが届いた。いきなり20人以上の5歳児クラスを1人で受け持った。親から怒鳴り込まれ、同僚との人間関係に神経を使い、発達障害の子の対応に悩む。朝から夜まで働いて月収は15万円程度。奨学金の返済で手元にはほとんど残らない。学生のころは勉強も福祉サークルの活動も熱心で、複数の保育所で実習し、それなりの情報も覚悟も持って選んだ就職先だった。

 安倍政権は保育の充実や女性の活用を看板に掲げるが、従業員をつぶすブラック企業のような現場も少なくない。

 それでも正社員はまだいい。派遣労働やパートなど非正規の仕事を掛け持ちでこなし、低賃金の長時間労働で体を壊す人は多い。いつ解雇されるかわからず、慣れない仕事の連続でキャリアを積むこともできない。国民年金と国民健康保険(国保)の保険料を個人で負担しなければならず、国保は扶養家族が多くなるほど負担が重くなる。これで結婚して子どもを育てろというのは無理な話だ。

 ◇母子世帯の半数、「相対的貧困」層
 日本のシングルマザーの就労率は先進国の中で最も高い。ところが、未成年の子がいる母子世帯の約半数は、国民の平均的な収入の半分に満たない「相対的貧困」層に属する。幼い子を預ける保育所がなければ、働くことすらできない。

 さらに悲惨なのは子どもだ。給食費が払えず修学旅行に行けない、進学もできない。貧困家庭の子には珍しくない。親が長時間労働を強いられているため日常の世話ができず、栄養不足や劣悪な衛生で心身の健康が危機に瀕(ひん)している子もいる。

 もしもあなたがそういう若者だとしたら、あるいはそうした若者が身近にいるのであれば、知ってほしい。日本は若い世代の福祉や教育に充てられる予算の率が極端に低い国であることを。税や保険料の多くは年金や医療・介護など高齢者に使われてきた。

 幼児教育から大学まで入学金も授業料もない国は多い。デンマークは親の仕送りやアルバイトもなく、政府の給付金で生活している学生が多い。卒業後も留学やボランティアをして別の大学に入ったりするため、職業に就く平均年齢は27〜28歳という。

 ただし負担は重い。消費税25%、車の取得税は約200%だ。最近は医療や高齢者福祉の効率化・削減も迫られており、週14時間以上ヘルパーが必要になると施設入所を勧められるという。隔離収容型ではなく地域での生活を基本とするノーマライゼーションの発祥国とは思えない、高齢者に厳しい政策である。

 ◇社会保障政策の改善へ重い1票
 誰がそのような政治を行っているのかといえば、王様や独裁者ではなく、国民が選挙で選んだ政治家なのである。デンマークも高齢化は進んでおり、年金や高齢者福祉を削減する政策は選挙では歓迎されないはずだ。しかし、「きちんと必要なことを説明すれば国民はわかってくれる」と担当相のクラウ氏に言われた。30歳の女性で、2人目の出産のため半年公務を休んだという。こういう政治家を大臣にする政府を選んだのも国民なのである。

 日本だってチャンスはある。子ども手当、給付型奨学金、非正規雇用への厚生年金の適用拡大、子育て新制度など、若い世代向けの社会保障政策が政治の場で議論され、その一部は実施されてきた。しかし、まだ不十分であることも事実だ。どうすればもっと改善できるのか、選挙こそ絶好の機会ではないか。

 各政党の公約を眺めても、似たような表現で有権者受けしそうなものが総花的に並べられているだけでよくわからないかもしれない。財源の裏付けがなければ絵に描いた餅に終わる。それでもあきらめずに関心を持ち続けていると、どの政党が本気で、どの候補者に期待できるのかぼんやりわかってくる。

 たかが1票ではあるが、みんなの1票で政治は選ばれるのだ。やっぱり選挙に行こうよ。

●【社説】アベノミクスの是非 若者が、地方が声上げよ
         東京 2014年12月4日
 衆院選でまず問われるのは、くらしに直結する経済政策、アベノミクスの是非である。国民生活は豊かになるか。世代間や都市、地方の格差はどうか。
 公示日、各党党首の第一声で訴えの軸となったのは景気や消費税など経済政策であった。安倍晋三首相(自民党総裁)は二年間の経済指標の改善を並べて「アベノミクスは今後も正しい」と強調した。一方、民主党の海江田万里代表は「景気が良くなったのは一握りの人たちの話だ」と述べ、衆院解散はアベノミクスの失敗を隠すためだと対決姿勢をみせた。

◆雇用と賃金に改善大
 経済政策には「光」と「陰」はつきものである。恩恵を受ける人があれば、逆に副作用で打撃を受ける人も出る。光が当たる部分をできるかぎり多くするのはもちろんのこと、それでも陰になってしまう部分に対しては相応の手当てがなされなければならないはずだ。功罪を指摘されるアベノミクスの場合はどうか。
 首相が言うように雇用が百万人増えたり、失業率は「完全雇用」といわれる水準の3・5%にまで下がった。賃金も大手企業を中心に春闘の賃上げ率は約2・3%と近年まれに見るアップ率を記録した。超円高から円安に転換したことで株価は高騰し、企業業績も輸出関連を中心に好況に沸いたところが多い。
 これまで職につけなかった人にとってアベノミクスで「光」が差したことにはなろう。株を持つ人の多くも資産を増やしたに違いないから、そうだろう。
 一方で、賃上げする余裕のない中小企業や地方の住民にとっては陰のままだ。円安で原材料の輸入コストが上がり、経営が悪化する中小・零細企業も少なくない。賃上げが実現したとしても、物価の上昇分には追いついていないため家計はまだまだ光が差さない。消費支出は七カ月連続でマイナスを記録したほどだ。
 雇用は増えたが、多くは非正規雇用である。それでは薄日が差した程度としかいえまい。首相は円安による中小企業などへの副作用や、都市部と地方の格差の存在を認めて「全国津々浦々にまで景気回復の恩恵が届くようにする」と口にしてきた。しかし、光と陰のコントラストは依然として強いままである。
 そもそもアベノミクスは大企業や富裕層の富を増やし、その富の滴が落ちることによって景気回復を図る政策だと指摘されてきた。

◆恩恵及ぶのは一握り
 法人税減税など大企業や経営者寄りの政策が目立ち、しかも残業代ゼロや派遣労働の増大・固定化につながる法改正の動きなど、働く人にとって労働環境を厳しくするものも少なくない。

 野党は「富める者はますます富む一方で、中間層は細るばかりだ」と批判を強める。シンクタンクの調べでは、一億円以上の金融資産を保有するのは百万世帯に増えたが、預貯金がない世帯は全体の三割に達した。数千万円のフェラーリと二百五十円の格安弁当がともに売れる、金持ちと貧乏人の二つの国が同居するような格差社会である。

 アベノミクスは道半ばであり、岐路にあるのは間違いない。
 第一の矢の異次元緩和は円安株高を演出したが、輸出が伸びないなど実体経済は期待したほど好転していない。第二の矢の財政出動は資材高騰、人手不足を招いて機能不全となり、財政も一段と傷めた。第三の矢である成長戦略は、農業や医療などの「岩盤規制」を打破するとした規制改革が進まないなど目立った成果はない。

 それ以上に問題視されるのは、異次元緩和で日銀が国債を大量に買い込んで金利を抑え込むことで、財政規律が緩まないかということだ。かえって税収を落ち込ませる恐れが強かった消費税再増税の先送りは当然だとしても、安倍政権には歳出削減の努力がみられないのである。財政赤字の削減目標をうやむやにするのであれば、将来世代への借金の安易なつけ回しになりかねない。

◆シルバー民主主義か
 毎年一兆円ずつ増え続ける社会保障費の抑制は避けて通れない。負担能力のある人の給付削減など痛みを伴う改革を打ち出せないのでは「シルバー民主主義か」と非難されても仕方あるまい。投票率が高い高齢層と、低い若者層とでは国の予算の受益率で十対一以上の開きがあるといわれている。

 年金の将来を考えたとき、現在の高齢者と若者との受給額の格差は想像に難くない。都市部の繁栄と地方の衰退を見るにつけ、地域間格差も明らかだ。声を上げ、賛否の一票を投じることは、それらを埋める第一歩になるはずだ。

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