平成25年(行コ)第39号 岐阜県議会議員選挙公営費返還請求控訴事件
控訴人・準備書面(3)
控訴人(第一審原告) 寺町知正 外9名
被控訴人(第一審被告)岐阜県知事 古田 肇
2014年9月1日
名古屋高等裁判所民事2部 御中
控訴人(第一審原告)選定当事者 寺町知正
〒501-2112 岐阜県山県市西深瀬208-1
記
第1 H19年の○○○○○と○○○○(株)の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「見積書」(甲51-2)の本件ポスター経費は「860枚」で総合計「189000」と計算される。
「受注カード兼売掛金元帳」(甲51-3)では、本件ポスター経費の内訳が示され、「デザイン」「製版」「刷版」「用紙」「印刷」「断ち」「送料」等が計上され、「印刷加工高150600」、「諸経費20% 30120」、「製品原価計 180720」、「利益 0%」、「決定金額 180000」、「総合計 189000」とされている。
以上のことは、「売掛金元帳」(甲51-4)でも明らかである。
2. 本件住民監査請求を受けて、岐阜県監査委員が全候補者及び印刷業者に関連文書等の提出を指示したことより(以下、単に「監査委員の関係人調査」という)、「H19年の○○○○○の選挙ポスター代関係」として業者及び候補者が提出した文書(甲51-5)のうち、「見積書」(甲51-5の5枚目)では、前記「見積書」(甲51-2)と日付を同一にし、前記の「受注カード兼売掛金元帳」(甲51-3)の内訳と同様に、「デザイン」「製版」「刷版」「用紙」「印刷」「断ち」「送料」等が計上されているものの金額が全く異なり、結果として、「合計」もまったく異なる。内訳や金額を偽装しており、全体を偽造したことは明白である。
さらに「売掛金元帳」(甲51-5の5枚目)として「540000」とあるが、文書提出命令にかかる「売掛金元帳」(甲51-4)と日付、伝票番号、発行日等を同一にし、数量を「450枚」、単価を記入し、合計金額を「540000」と偽装しており、全体を偽造したことは明白である。
きわめて悪意に満ちた水増し行為である。
さらに、監査委員への「回答書」で業者も候補者も「数値に誤りはない」としているから、悪質極まりない。
3. 理由―3(「実際に要した印刷費」より多い金額を県に公営費を申請し、受領した)に該当するものとして、公営費として交付された「53万5050円」のうち、「18万9000円」を超える部分「34万6050円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
第2 H15年の○○○○○と○○○○(株)の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「受注カード兼売掛金元帳」(甲52-2)では、本件ポスター経費が、「860枚」「総合計189000」と明確にしている。
2. 前記第1の事情から推認すれば、H19年と同様に、理由―3(「実際に要した印刷費」より多い金額を県に公営費を申請し、受領した)に該当するものとして、公営費として交付された「103万2000円」のうち、「18万9000円」を超える部分「84万3000円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
第3 H19年の○○○○と○○○○○株式会社の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「売掛金元帳に類する無題の文書」(甲53-2)のうち、「選挙ポスター(室内用)」「2000マイ」、単価「72」、印刷費「151200」(甲53-2の1枚目)が別目的の印刷費であり、本件の「選挙ポスター」は「700マイ」、単価「240」、印刷費「176400」が印刷費である(甲53-2の4枚目)。
2. 監査委員の関係人調査において、業者及び候補者が提出した文書(甲53-3)のうち、「請求書」(甲53-3の2枚目)「請求内訳書」(甲53-3の3枚目)では、金額を「514500」を「253050」と訂正、作成枚数は「700」である。
「売上表」(甲53-3の4枚目)は、「平成19年3月15日」付けで、「選挙ポスター」「700マイ」「176400」とあり、「売上表」(甲53-3の5枚目)は、「平成18年2月28日」付けで、「撮影代」「1シキ」「76650」とある。
3. この「撮影代」「1シキ」「76650」は、前項で述べた「選挙ポスター(室内用)」(印刷費「151200」)と「選挙ポスター」(印刷費「176400」)に共通した写真の撮影費として構成されているから、両者に按分すべきものである。
(計算式)
「選挙ポスター(室内用)」(印刷費「151200」)と「選挙ポスター」(印刷費「176400」)=327600。
「撮影代」「76650」×151200/327600=35377(室内用)
「撮影代」「76650」×176400/327600=41273(本件対象)
よって、印刷代と撮影代合計「253050」と申立てられた分から「35377」(室内用)を減ずるべきであるから、253050-35377=217673が印刷費である。
4. 以上から、理由―2(ハガキや名刺、選挙パンフレット等対象外の印刷物の経費を紛れ込ませて申請し、受領した) に該当するものとして、H19年の公営費として交付された「51万4500円」のうち、「21万7673円」を超える部分「29万6827円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
○○○○は、既に「26万1450円」返還しているから、さらに「3万5377円」を返還させるべきである。
第4 H15年の○○○○と○○○○○株式会社の選挙ポスター代関係の経費。
前記第3の事情から推認すれば、H15年はH19年と同様に考えるべきであるから、理由―2(ハガキや名刺、選挙パンフレット等対象外の印刷物の経費を紛れ込ませて申請し、受領した) に該当するものとして、「51万4500円」のうち、「21万7673円」を超える部分「29万6827円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
なお、○○○○は、H15年分は返還していない。
第5 H19年の○○○と○○○○○株式会社の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「売掛金元帳に類する無題の文書」(甲54-2)から、「選挙ポスター(室内用)」の枚数「2000マイ」の印刷費は合計で「136500」(甲54-2の5枚目)、「選挙ポスター」の枚数「700マイ」、印刷費「220500」(甲54-2の7枚目)であることが分かる。
2. 監査委員の関係人調査において、業者及び候補者が提出した文書の、「作成証明書」(甲54-3の2枚目)では「955632」を「340560」と訂正している。
「御見積書」(甲54-3の5枚目)は、平成19年3月26日」付けとされるが、前項「売掛金元帳に類する無題の文書」(甲54-2の7枚目)の日付と比べれば、監査委員提出用に後日、結果合わせのために作成されたことは明らかである。この「見積書」に、「選挙ポスター製作費」「出張撮影・デザイン」「120000」が計上されている。
3. この経費は、前項の「選挙ポスター(室内用)」(印刷費「136500」)と「選挙ポスター」(印刷費「220500」)とに共通して基礎となる写真の撮影費として構成されているから、両者で按分すべきものである。
(計算式)
「選挙ポスター(室内用)」(印刷費「136500」)と「選挙ポスター」(印刷費「220500」)=357000。
「撮影代」「12万」×136500/357000=45880(室内用)
「撮影代」「12万」×220500/357000=74120(本件対象)
よって、印刷代と撮影代合計「340500」であるが、ここでは、監査委員への訂正分を用いることとし「340560」とされた分から「45880」(室内用の撮影代)を減ずるべきであるから、253050-45880=294680が印刷費である。
4. 以上から、理由―2(ハガキや名刺、選挙パンフレット等対象外の印刷物の経費を紛れ込ませて申請し、受領した) に該当するものとして、H19年の公営費として交付された「95万5632円」のうち、「29万4680円」を超える部分「66万0952円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
○○○は、既に「61万5072円」返還しているから、さらに「4万5880円」を返還させるべきである。
第6 H15年の○○○と○○○○○株式会社の選挙ポスター代関係の経費。
前記第5の事情から推認すれば、H15年はH19年と同様に考えるべきであるから、理由―2(ハガキや名刺、選挙パンフレット等対象外の印刷物の経費を紛れ込ませて申請し、受領した) に該当するものとして、H15年の公営費として交付された「90万6350円」のうち、「29万4680円」を超える部分「61万1670円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
なお、○○○は、H15年分は返還していない。
第7 H19年の○○○○と○○○○○株式会社の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「売掛金元帳に類する無題の文書」(甲55-2)から、19年3月22日の「選挙ポスター」の枚数「300マイ」、「472590」が印刷費である。
2. 監査委員の関係人調査において、「H19年の○○○○の選挙ポスター代関係」として業者及び候補者が提出した文書(甲55-3)から、「回答書」で業者も候補者も「数値に誤りはない」と表明している。
作成枚数「300マイ」と「534マイ」の数字の異なりの原因があるが、印刷費合計は「472590」とされている。
ともかく、前記の「○○○○」「○○○」とは違って、○○○○○株式会社においては、「撮影(費)」が標題をつけて計上された他の経費の中に配分等して処理しされることを示している。もちろん、この社内の経費内の処理は、本件の他の業者においても通常である。
第8 H15年の○○○○と○○○○株式会社(当初の「○○○○○○(株)」)の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「売掛金元帳」(甲56-2)から、「選挙ポスター(室内用)」の枚数「3000部」の印刷費は合計で「108250」(甲56-2の2枚目)、「選挙ポスター」の枚数「500部」、印刷費「78750」(甲54-2の3枚目)であることが分かる。
2. 前記の○○○○・「○○○○○」(甲51、52)は「撮影」が社内で処理し清算されていることを考えても、2枚目3項目の選挙ポスター「3000部」(室内用ポスター)のほか、パンフレットの合計「40000枚」、プロフィール「10000枚」はがき「10000枚」等多数の印刷物の業務がなされたことを勘案すれば、○○○○の場合も「撮影」が社内で処理し清算されている。
また、「売掛金元帳」の「当月請求額 967575」は、2003年2月14日以降の取引額の累計額である(甲56-2の3枚目右上)であるが、公営費上限額の範囲でできるだけ満額に近い額にして請求したと推測できる。
3. 以上から、理由―3(「実際に要した印刷費」より多い金額を県に公営費を申請し、受領した) に該当するものとして、H15年の公営費として交付された「82万3200円」のうち、「7万8750円」を超える部分「74万4450円」は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
4. 「○○○○○○株式会社」については、登記簿などから
「株式会社○○○○○○○○ (代表取締役 ○○○○)」
「○○市○○ ○○○番地の○○」 〒 -
と特定される。
とはいえ、文書提出命令に対する文書が「○○○○株式会社」として提出されている。
5. なお、控訴人準備書面(2)において、「6. 同別紙-6 候補者『○○○○』 印刷業者『○○○○○○株式会社』について 『○○○○』は死亡したとのことなので、同人は相手方から取り下げる。」としたが、○○○○株式会社/株式会社○○○○○○○○(当初の「○○○○○○(株)」)については、取り下げていない。
第9 H19年の○○○○と(株)○○○○○○の選挙ポスター代関係の経費。
1. 文書提出命令によって明らかにされた「売上原票」(甲57-4)には、「はがき3種」の内訳として、「画像処理費」「9840」が計上され、「合計80000」とされている(甲57-4の1枚目)。
「撮影代」として、「小合計91524」、「合計110000」とされている(甲57-4の2枚目)。
「本番ポスター」の内訳として、「画像処理費」「17840」が計上され、「小合計178490」、「営30%535428」として、以上の「合計232043」とあり、ここに、2枚目伝票分の「110000」が加算されて、最終的に「合計342043」と二重アンダーラインで記載され、最下段には、本件公営費として請求された「359310」が記載されている(甲57-4の3枚目)。
2. 撮影費が、1枚目の「はがき」に計上されずに、ポスターにだけ計上されているが、撮影費は「はがき」「ポスター」に按分されるべきものである。
(計算式)
「撮影代」として「合計110000」。
「はがき代)」(「80000」)と「選挙ポスター」(印刷費「232043」)=312043。
「撮影代」「11万」×8万/312043=28200(はがき)
「撮影代」「11万」×232043/312043=81800(本件対象)
よって、印刷代として公営費請求された「359310」から「28200」(はがき用の撮影代)を減ずるべきであるから、359310-28200=331110が本件印刷代である。
3. 以上から、理由―2(ハガキや名刺、選挙パンフレット等対象外の印刷物の経費を紛れ込ませて申請し、受領した) に該当するものとして、H19年の公営費として交付された「35万9310円」のうち、「33万1110円」を超える部分「2万8200円」(=はがき用の撮影代)は水増しされたものとして、岐阜県には返還請求義務がある。
・・・・・・・・(略)・・・
以上
|