埼玉県所沢市では、自衛隊の入間基地に近く、「防音校舎」へのエアコン整備計画を9年前に決めた。その後に当選した現市長が計画の中止を決定。それに反発した住民が、住民投票条例の制定を市長に直接請求した。
法律の定めに基づいて市長が「意見を付して」議会に条例案を提案。
その市長の意見は「冷房整備に賛成はできません」。
しかし、市議会は、条例を可決。しかも、原案を修正し、「投票結果の尊重」の項目を加えて可決。賛否の票数の多い方が有資格者総数の3分の1以上になった場合、市長と市議会は「結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」と規定。
基地の騒音問題があるとはいえ、そもそも、今の時代、エアコンは設置方向(普通教室のエアコンの設置率は32.8%/文部科学省)。
市民の判断がどうなるか、注目。
その住民投票が昨日8日に告示され、15日の投開票に向け、双方の運動が展開される(選挙運動のようなもの)。
(追記 2月16日 ⇒ ◆市立小中校のエアコン 住民投票、投票率31% 実現目安3分の1届かず
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●所沢市 公式Web から
● 住民投票の実施について
●住民投票条例が公布・施行 更新日:2014年12月26日
平成26年12月26日付けにて、防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票条例が公布・施行され、住民投票の期日を以下のとおり決定しましたのでお知らせします。
1 住民投票の名称
防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票
2 住民投票の期日
告示日 平成27年2月8日(日曜)
投票日 平成27年2月15日(日曜)午前7時から午後8時まで
開票日 平成27年2月15日(日曜)午後9時から(予定)
3 投票所 61か所
●請求の要旨(全文)と市長の意見(要旨)をお知らせします
更新日:2015年1月26日
請求の要旨(全文)
・・・・平成17年(齊藤博前々所沢市長在職時)から、計画的に進められてきた本工事を一方的に中止し、多数市民の要望後も方針を戻さないことは、市長の掲げる「教育日本一、子どもを大切にするマチ所沢」とも相反する。騒音問題がなくとも近隣市町が次々と小中学校への冷房設置を行う中、所沢市は早急に整備方針に基づいた冷房工事を行う必要がある。 |
市長の意見(要旨)
・・・・以上、学校の騒音等の実態を把握し、子どもの学習面、地球温暖化を抑えるべく環境面、将来の財政や日本人が目指すべき方向性など様々なことを考慮し総合的に判断したものであり、本市としては冷房整備に賛成はできません。 |
●防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票を実施します
更新日:2014年12月19日
●防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票条例(PDF:254KB)
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●「教室にエアコン」住民投票 埼玉・所沢、きょう告示
朝日 2015年2月8日
埼玉県所沢市内の小中学校28校へのエアコン設置の賛否を問う住民投票が8日、告示される。「当初の計画通りに設置を」と求める賛成側の住民と、「地球温暖化に悪影響」などと反対する藤本正人市長の双方の訴えが15日の投開票に向けて熱を帯びている。
市は自衛隊機が発着する空自入間基地に近く、騒音対策を施した「防音校舎」へのエアコン整備計画を9年前に決めた。1校に設置された後に当選した藤本市長が計画の中止を決定。住民投票条例は、設置が撤回された狭山ケ丘中学校の保護者らが中心になり、直接請求に必要な数の約1・5倍にあたる8430人分の署名を集めて市長に直接請求した。市議会が条例を可決していた。
●“基地周辺の学校にエアコン” 住民投票告示
NHK 2月8日
埼玉県所沢市の航空自衛隊の基地周辺にある小中学校にエアコンを設置するかどうかの是非を問う住民投票が、8日、告示されました。
所沢市は、平成18年に航空自衛隊入間基地の自衛隊機の騒音のため、窓を閉めきる学校の暑さ対策として、市内の47の小中学校のうち、基地周辺の29校にエアコンを設置する方針を決めました。しかし、4年前の市長選挙で当選した藤本正人市長が、震災と原発事故を受け、「快適で便利な生活を見直すべきだ」などとして計画を中止しました。
これに対し、地元の住民グループは、騒音対策としてエアコンが必要だとして、8400人余りの署名を提出し、去年12月、所沢市議会は住民投票の実施を定めた条例案を可決しました。
8日は市の選挙管理委員会の担当者が住民投票を知らせる文書を市役所の掲示板に貼り出しました。市の住民投票条例では、投票率が一定以上でなければ開票しないなどとする要件は定められていませんが、賛成、反対のいずれかが、過半数となり、有権者の3分の1に達した場合は「結果の重みをしん酌しなければならない」としています。
文部科学省によりますと、去年4月現在、全国の公立の小中学校の普通教室のエアコンの設置率は32.8%となっています。
住民投票は20歳以上の所沢市民、およそ28万人を対象に行われ、今月15日に投票が行われ、即日開票されます。
●所沢エアコン住民投票、8日告示15日開票 設置の是非問う
埼玉 2015年2月6日
航空自衛隊入間基地の航空機騒音を解消するため、基地周辺にある29小中学校の防音校舎にエアコンを設置するかどうかの是非を問う所沢市の住民投票が8日告示される。投票は15日午前7時から午後8時まで行われ、同日午後9時から市民体育館で開票される。午後10時半ごろ、大勢が判明する見込み。
市教委によると、市内47小中学校のうち、29校が防音校舎になっており、2006年に宮前、北中両小と狭山ケ丘中の3校に先行してエアコン整備方針を決め、まず11年度に宮前小にエアコンを設置した。しかし、東日本大震災後の11年10月に藤本正人市長が当選すると、「便利さや快適さを最優先する生き方から、地球温暖化防止、財政状況を勘案し、エアコン設置を中止する」方針に転換し、12年1月、設計図までできていた狭山ケ丘中のエアコン設置を取りやめ、扇風機の設置に切り替えた。
これが発端となって、地元の保護者などがエアコン設置の請願を市議会に提出して採択。市議会もエアコン設置の決議をし、市長にも設置を求めたが、藤本市長は方針を変えなかった。
これに反発した大原隆広さん(44)ら地元の保護者や住民が昨年11月、エアコン設置の是非を問う住民投票条例制定の直接請求を8430人の署名簿を添えて提出、受理された。
そのため藤本市長は、12月定例市議会にエアコン設置反対の意見書を付けた住民投票条例案を提案し、修正可決した。
今回の住民投票は多数意見を知るための「諮問的住民投票」で、投票結果に拘束力はない。しかし、有権者数の3分の1以上であれば、市長は「結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」と市議会は求めている。
文部科学省の昨年4月1日付の調査によると、普通教室のエアコン設置は全国平均で32・8%、埼玉県は48・9%、東京都は99・9%となっている。
住民投票運動は藤本市長陣営の出足が早く、エアコン設置反対のチラシを全戸配布したり、各駅頭の乗降客に配り、各地区の新年会でも「クーラーを入れれば、福祉も教育も環境もその分サービスをやめねばならない」と訴えている。これに対し、大原さんらのグループは「航空機騒音中の学習を強いられないため」、設置賛成のチラシを1万枚印刷し、5日から各駅頭で配っている。
有権者数は昨年12月13日現在、28万1132人(男13万9204人、女14万1928人)。
●エアコン論戦が熱い 所沢学校に設置問う住民投票
東京 2015年2月7日
埼玉県所沢市で、航空自衛隊入間基地(同県狭山、入間両市)の騒音対策を施し「防音校舎」にした市立小中学校二十八校へのエアコン設置の賛否を問う住民投票が八日、告示される。市民の署名を集めて投票にこぎつけた保護者らは「エアコンがなければ夏場に窓を閉められず、騒音で勉強に集中できない」と訴えるが、藤本正人市長(53)は市の財政難などを理由に「不要だ」と主張する。投開票は十五日。双方とも告示前から街頭に立ち、支持を求めて声をからしている。(服部展和)
◆保護者「騒音、窓開けられぬ」
「自衛隊機の騒音で子どもたちが苦しんでいる現実を受け止めてほしい」。エアコン設置を求める保護者ら約十人が五日、所沢市の西武池袋線小手指駅前に立って声を張り上げた。
入間基地の約二キロ南東にある所沢市立狭山ケ丘中学校。女子生徒は「五月から九月ごろまでは暑いので授業中は教室の窓を開ける。飛行機が校舎の上に来ると『キーン』と耳をつんざく音が響いて、先生の声も聞こえなくなる」と話す。
市は二〇一二年九月の同校の航空機騒音測定で、多くの人が騒がしいと感じる七〇デシベル以上は一日平均二十一秒あったと発表した。しかし、その後、保護者らが専門家に依頼して測定すると、八分十八秒と大きな隔たりがあった。
駅前に立った保護者の一人、関原明子さん(45)はエアコン設置中止が決まった当時、次男が狭山ケ丘中に通っていた。同校PTA副会長だった関原さんは他の保護者たちと設置を求める活動をスタート。
だが市長が応じなかったため昨年九月、住民投票の直接請求に必要な署名活動を始めた。法定署名数(有資格者総数の五十分の一)を上回る八千四百三十人分の署名を集め、住民投票が行われることになった。
関原さんらが一二年八月に四階の教室で気温を測ったところ、窓を開けて扇風機も回しているのに最高で三六・八度に達した。関原さんは「夏に窓を閉めたら四〇度を超えるのは確実。騒音がひどいのに防音用の窓を閉められないのは矛盾している」と力を込めた。
エアコン設置の賛否を問う住民投票 埼玉県所沢市立小中学校28校へのエアコン設置の賛否を問うため、保護者らは2014年11月に住民投票条例制定を直接請求し、市議会は同12月、保護者作成の条例案に「投票結果の尊重」の項目を加えた修正案を可決。賛否の票数の多い方が有資格者総数の3分の1以上になった場合、市長と市議会は「結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」と規定した。有資格者総数は約28万人、開票結果は15日夜に判明する見込み。
◆市長「財政難、優先順低い」
「市としては、クーラー設置より他にやるべきことがたくさんあります!」「投票では反対に○を!」。藤本市長は自身の主張を書いたチラシを自費で約十万枚作り、一月から市内全家庭に配り始めた。平日はほぼ毎朝、登庁前に駅前に立って通勤客らに設置反対を訴えている。
二〇一一年に初当選。所沢市は市立小中四十七校のうち、窓を二重サッシなどにした防音校舎にエアコンを設置する計画だったが、市長は一二年三月、一三年度に予定していた狭山ケ丘中への設置中止を発表。設置済みの一校を除き、狭山ケ丘中など二十八校への設置が取りやめになった。
当時の会見で、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故が起きたのを受け「今は我慢が必要だ。子どもたちは分かってくれるはずだ」などと理解を求めた。
自衛隊機の騒音を指摘してエアコン設置を求める保護者らに「狭山ケ丘中の教室の騒音レベルを測定したが、授業に支障が出るほどの値ではなかった」と真っ向から反論。「夏休みを除いて気温が三〇度を超えるのは十日間ぐらい。知恵と工夫で乗り切ってほしい」と求める。
二十八校のエアコン設置費用は計約七十八億円で、国費を除く市の負担は約三十億円の見通し。市長は六日、本紙の取材に「市財政は厳しく、教育行政の中でエアコン設置の優先順位は低い。老朽化した学校トイレの改修など他にやるべきことがある」とあらためて強調した。
<エアコン設置の賛否を問う住民投票> 埼玉県所沢市立小中学校28校へのエアコン設置の賛否を問うため、保護者らは2014年11月に住民投票条例制定を直接請求し、市議会は同12月、保護者作成の条例案に「投票結果の尊重」の項目を加えた修正案を可決。賛否の票数の多い方が有資格者総数の3分の1以上になった場合、市長と市議会は「結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」と規定した。有資格者総数は約28万人、開票結果は15日夜に判明する見込み。
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