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てらまち・ねっと



 安倍政権は経営者に圧倒的な保護策・優位策を展開している。
 そのうちの一つの方向性は「労働時間規制をなくし、残業代や深夜・休日手当などをゼロ」とする分野・職域を作ること。
 いったん作れば、それに続いて、拡大されていくのは自明。その時になって慌てても遅い、という好例になりそうな気配。

 厚労省の労働政策審議会が昨日、報告書をとりまとめたという。そのサイトにアクセスした。資料一式は載せてあるけれど、分かりやすい表現ではなかった。
 そこて、各社の報道を見てみた。これも、自衛権など他の争点と同じで、社ごとに違いが明瞭な印象。そこで、いくつかを比較のために、並べてブログに記録しておくことにした。方向性が分かりやすく図示してある報道を優先。

 日経は、★≪企業側は導入に前向き 働き方の選択肢が広がる≫

 対する、中日の社説は一番明確だった。
 ★≪派遣労働の対象職種の緩和が徐々に図られてきたように、企業寄りの政策を半ば強引に進める政権のことである。アリの一穴がごとく、日本型の労働慣行は崩壊の縁にあると言わざるを得ない。・・首相自らが「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」などと企業天国づくりを公言してはばからないのは異常ではないか。これほど露骨に大企業の利益に便宜を図るのは倫理的に疑問である。・・今回の労働時間改革も、民間からは財界と学者だけしか入っていない産業競争力会議の場で方針が決まった。≫

◆第125回 労働政策審議会労働条件分科会 資料

●専門職「成果で賃金」来春にも 労働側の反対押し切る/2/13 【共同通信】
●「残業代ゼロ」骨格決まる 高度専門職対象、来春実施の意向/中日 2月14日

●新労働時間制度を決定=年収1075万円以上に導入-有休消化5日義務付け・厚労省 /時事 2/13
●労政審:成果賃金導入の報告書 「健康確保」義務付け/毎日 2月13日
●社説/残業代ゼロ法案 働くルールを壊すな/中日 2月14日

●脱時間給、金融・商社が意欲 生産性の向上狙う/日経 2/14

 ところで、今日と明日は、名古屋で選挙講座を開催。日程や内容は明日のブログで紹介する予定。

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 労働政策審議会 (労働条件分科会) 
  ★ 第125回 2015年2月13日(平成27年2月13日)
    ▼  第125回 労働政策審議会労働条件分科会 資料
 <配付資料> 議事次第(PDF:41KB)
資料No.1 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法に関する経緯
資料No.2 今後の労働時間法制等の在り方について(報告案)
資料No.3 今後の労働時間法制等の在り方について(報告案)前回配布資料からの変更点
(追加資料)今後の労働時間法制等の在り方について(建議)(案)

●「残業代ゼロ」骨格決まる 高度専門職対象、来春実施の意向
       中日 2015年2月14日
 働く時間ではなく「成果」で評価する「残業代ゼロ」制度を検討していた厚生労働省の審議会分科会は十三日、年収千七十五万円以上の高度専門職を対象とする新制度の骨格を盛り込んだ報告書をとりまとめた。一定要件の労働者を時間規制から外す初の制度が導入される。管理職を含む働く全員を対象に企業に年五日の有給休暇取得を義務付けることや裁量労働制、フレックスタイム制の見直しも行う。厚労省は関連法改正案を今国会に提出、新制度などは二〇一六年度から実施したい考えだ。

 「残業代ゼロ」制度は、「高度プロフェッショナル制度」と命名。年収要件を満たす高度な職業能力を持つ人を対象とする。年収要件が省令改正で引き下げられて安易に対象者が広がるのを防ぐため、パートも含め全産業の「平均給与額の三倍超」と法律に明記する。労働基準法は残業代の支払いを義務付けているが、新制度は適用除外になる。そのため本人同意が要る。

 制度を導入した企業には働き過ぎ防止策として、終業から始業まで一定の休憩を設けることや年百四日の休日取得などのいずれかを義務付ける。

 中小企業は25%に抑制されている残業代割り増しについて、働き過ぎを防ぐため、月六十時間を超える分を一九年四月から50%に割り増す。

 事前に労使で残業も含む労働時間を想定し賃金を払う裁量労働制は、顧客企業の企画などにもかかわる一部の営業職にも対象を広げる。行政機関への導入企業の届け出を簡素化する。

 出退勤時間を自分で決められるフレックスタイム制に関しては、労働時間を一カ月単位で調整している現行制度を見直し、三カ月のなかで労働時間のやりくりを可能にして子育てなど家庭の事情に合わせた勤務をしやすくする。

●専門職「成果で賃金」来春にも 労働側の反対押し切る
     2015/02/13 21:48 【共同通信】
 厚生労働省の労働政策審議会は13日、高収入の専門職労働者らを時間規制から外し、働いた時間ではなく成果で賃金が決まる「高度プロフェッショナル制度」の導入を柱とする報告書をまとめた。厚労省は労働基準法などの改正案を今国会に提出、2016年4月の新制度スタートを目指す。安倍政権は雇用や農業分野の「岩盤規制」改革を成長戦略の中心に据えている。「残業代ゼロ」として反対してきた労働者側を押し切った。

 労働者側委員は「長時間労働を招く恐れがあり認められない」と批判。使用者側委員は「高い能力を持つ労働者に働きやすい環境を提供し、選択肢を広げることは重要だ」と訴えた。

●新労働時間制度を決定=年収1075万円以上に導入-有休消化5日義務付け・厚労省
          時事(2015/02/13-17:33)
 厚生労働省は13日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、労働基準法改正に向けた報告書を取りまとめた。報告書は、働いた時間ではなく成果に応じて賃金を支払う新たな労働時間制度「ホワイトカラー・エグゼンプション」を、年収1075万円以上の専門職を対象に導入することを明記。働き過ぎを防ぐため、フルタイムで働く労働者に年5日の有給休暇を消化させることを企業に義務付ける。

 厚労省は労基法改正案を3月下旬をめどに通常国会に提出、2016年4月の施行を目指す。安倍政権は「戦後以来の大改革」を掲げており、労働改革を農業改革に続く「岩盤規制」の打破と位置付ける。

 13日の分科会では、経営者側委員は報告書の内容を支持したが、労働者側委員は反対する意見を付け、取りまとめを了承した。国会での労基法改正案審議では、労働組合に近い一部の野党が「残業代ゼロ制度だ」などと反発するのは必至だ。

●労政審:成果賃金導入の報告書 「健康確保」義務付け
              毎日新聞 2015年02月13日
労働基準法改正案の骨子
  労働時間ではなく成果に対して賃金を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度の導入など労働基準法の見直しを検討していた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会は13日、同制度の対象者を労基法の労働時間規制から除外することなどを盛り込んだ報告書をまとめた。報告書をもとに厚労省は労基法の改正案を作成し、今国会に提出。2016年4月の施行を目指す。

 報告には、「高度プロフェッショナル制」の名称でホワイトカラー・エグゼンプションの制度内容が盛り込まれ、「健康確保措置」を義務付けた。他に、裁量労働制の対象となる企画業務の拡大▽フレックスタイム制の労働時間の調整期間を1カ月単位から3カ月に拡大−−など、労働時間に関する規制緩和も盛り込んだ。

 一方で、月60時間を超える残業の割増賃金を50%以上とする規定を、大企業に加えて中小企業にも適用するとした。また、有給休暇の取得を拡大させるため、年5日の有給休暇の取得時期の指定を使用者側に義務付けることも掲げた。

 同審議会は労働者、使用者、公益代表の3者で構成される。13日の会合では労働側委員が「労働者の命と健康を守る(時間)規制になぜ穴をあけるのか。理解も同意もできない」と厳しい口調で反対を主張した。使用者側委員は「働き方の選択肢を広げることは変化に対応する意味でも重要だ」と語った。労政審は3者の合意が前提だが、労使の溝は埋まらないまま、労働側の反対を押し切る形で報告書をまとめた。

 審議会を傍聴していた東京過労死を考える家族の会の中原のり子さんは「長時間労働の抑制に実効性のある提案はなく、この制度の下で過労死が起きたらどう対応するのか」と話した。【東海林智】

 ◇労働基準法改正案の骨子
※カッコ内は制度の対象
■ホワイトカラー・エグゼンプションの導入(全労働者の平均年収の3倍を超え、高度で専門的な業務に従事する人)
■有給休暇の年5日消化の義務付け(正社員中心)
■月60時間を超える残業代の割増率を25%から50%以上に(これまで割増率アップの適用猶予を受けていた中小企業)
■裁量労働制の適用拡大(企画や課題解決型の営業業務)
■フレックスタイム制の見直し

 ◇過重労働、懸念消えず
 今回の労働政策審議会の報告で一番の目玉は、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入だ。
同制度は、第1次安倍政権でも検討し、労働基準法改正案の要綱まで作成したが、2007年に国会提案を断念している。1日8時間、週40時間という労働時間規制から除外される仕組みに対し、「長時間労働を助長する過労死促進法だ」などの批判が高まったからだ。

 今回は、長時間労働助長の批判をかわすため、制度の対象者に「健康確保措置」を義務づけることを盛り込んだ。具体的には(1)勤務の終わりと次の勤務の開始の間に一定の休息時間を設けるインターバル規制(2)1カ月または3カ月を区切りとする労働時間の上限規制(3)4週で4日以上、年間104日以上の休日の取得−−の三つの選択肢を設け、このうち一つの措置を取ることを義務化した。しかし、過労死の遺族らからは、労働時間に関する(1)(2)と休日に関する(3)の規制がばらばらになっていることに対し、「時間と休日を組み合わせなければ長時間労働抑制の実効性はない」との批判が出ている。

 制度の対象は、全労働者の平均年収の3倍を超え、高度で専門的な仕事に就く者とされた。労働側は、将来、年収要件の引き下げで対象が拡大することに懸念を示している。

 塩崎恭久厚生労働相は13日の会見で「より付加価値の高い産業に産業構造を転換し、生産性を上げていくことが必要だ」とエグゼンプション導入の必要性を強調した。制度の是非や健康確保措置の実効性について、さらに踏み込んだ議論が求められる。【東海林智】

●社説/残業代ゼロ法案 働くルールを壊すな
       中日 2015年2月14日
 厚生労働省の審議会がまとめた成果で賃金が決まる新しい制度案は企業にとって都合がいいが、働く人の命や健康を脅かすものだ。年収や職種を限定したとはいえ、対象が拡大する懸念も拭えない。

 第一次安倍政権で導入を目指したが「過労死促進法」などと世論の批判で廃案となった「ホワイトカラー・エグゼンプション」の焼き直しである。働いた時間でなく成果によって賃金・報酬が決まるので、効率よい働き方につながり、労働生産性が向上、企業競争力も向上する-と首相は説明する。

 いかにも短絡的だ。日本の労働者は著しく立場が弱いので、成果を求められれば際限なく働かざるを得なくなる。過労死が毎年百人を超え、国会は過労死等防止対策推進法を昨年制定したばかりなのに、明らかに逆行である。

 首相は労働法制を「岩盤規制」とみなすが、勘違いも甚だしい。生身の人間を守るための規制と、農業などを保護してきた「経済規制」を混同しているかのようだ。

 この労働時間規制をなくし、残業代や深夜・休日手当などがゼロとなる対象者は、年収千七十五万円以上の為替ディーラーや製薬の研究開発職などと限定した。しかし、派遣労働の対象職種の緩和が徐々に図られてきたように、企業寄りの政策を半ば強引に進める政権のことである。アリの一穴がごとく、日本型の労働慣行は崩壊の縁にあると言わざるを得ない。

 情けないのは、このような働く人の心や体を脅かす規制改革が成長戦略の柱と位置付けられていることだ。そもそも労働法制をいじらなくても、商社やIT企業の中には早朝出勤への切り替えなどで残業をなくし生産性向上も実現している企業が少なくない。政府は過剰な介入を慎むべきだ。

 首相自らが「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」などと企業天国づくりを公言してはばからないのは異常ではないか。これほど露骨に大企業の利益に便宜を図るのは倫理的に疑問である。

 今回の労働時間改革も、民間からは財界と学者だけしか入っていない産業競争力会議の場で方針が決まった。労働問題を議論するのに労働界代表を排除しているのである。


 経済政策の司令塔である経済財政諮問会議も同様に財界の声しか反映しない仕組みだ。これでは働く人の尊厳も権利もないがしろにされ、行き着く先は国民の多くが不幸になるブラック国家である。

●脱時間給、金融・商社が意欲 生産性の向上狙う
      日経 2015/2/14
 厚生労働省は13日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)を開き、時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入を正式に決めた。通常国会に関連法案を提出し、2016年4月の施行を目指す。対象は年収1075万円以上の専門職で、金融大手や総合商社などが導入を検討する。ムダな残業を減らして労働の生産性を高める狙いだが、導入には労使の合意が必要だ。

 同日の労政審では脱時間給のほか、中小企業の残業代引き上げなどを盛り込んだ働き方改革の報告書をまとめた。脱時間給の正式名称を「高度プロフェッショナル制度」とすることも決めた。

 労働時間の上限は1日8時間、週40時間と定められており、法定時間を超えると企業は残業代を支払う必要がある。脱時間給は残業代がなく、成果に応じて給与を払う仕組みで、労働時間が長くても短くても収入が変わらないのが特徴だ。導入には企業ごとに労使で休日や休息の確保策などを取り決め、対象者1人ずつが署名などで同意することが必要になる。

企業側は導入に前向き 働き方の選択肢が広がる
金融
 野村証券 正式に決まれば対応を検討
 大和証券 三井住友銀行 法整備の状況を見て検討を進める
 みずほFG どの職種が対象になるか調査中

商社
 住友商事 できるだけ広く適用したい
 伊藤忠商事 成果に賃金を払う考えには賛同

製薬
 武田薬品工業 長谷川閑史会長が脱時間給を提言

報告書では脱時間給の職種として(1)金融ディーラー(2)アナリスト(3)金融商品開発(4)コンサルタント(5)研究開発――の5つを例示した。厚労省は職種をさらに広げる考えで、企業の要望を幅広く聞き取る。今年夏から再び労政審を開いてどこまで適用するか年内に決める。対象は専門性が高く、働く時間と成果のつながりが強くない仕事だ。コピーライターやデザイナー、データ分析の専門家らも候補になる。

 報告書の取りまとめを受けて導入の検討に動く企業もある。みずほフィナンシャルグループは社内で対象業務の洗い出しに着手し、法案が通れば導入の可否を検討する方針だ。三井住友銀行も「法整備の状況を見ながら検討を進める」という。野村証券や大和証券も制度が正式に決まれば対応を検討する。いずれも為替や株式のディーラー、アナリストなどの職種が対象になりそうだ。

 商社でも住友商事が「できるだけ広く適用したい」とするなど大手が導入に意欲を示す。厚労省はメーカーの開発職も対象としたい考えで、製薬も導入の検討に入る。政府の産業競争力会議の民間議員として脱時間給の導入を唱えたのは武田薬品工業の長谷川閑史会長で、同社など大手製薬会社の研究職にも導入が広がる可能性がある。

働き方の選択肢が広がる
制 度 残業代 深夜・
休日
手当
▼「脱時間給」(新設) × ×
・年収1075万円以上
・ディーラー、アナリスト、金融商品開発、コンサル、研究開発職など
・年104日の休日など条件

▼裁量労働制 × 〇
・一定時間を働いたとみなす
・デザイナーや弁護士など

▼フレックスタイム 〇 〇
・出退勤の時間をずらせる
・どんな職種でも使える

 脱時間給の対象は年収1075万円以上の専門職だ。国税庁の調査では186万人が年収1000万円超だが、うち68万人は役員だ。残りの多くも既に「脱時間給」である課長以上の管理職とみられ、新たな対象者は限られる。政府が07年に脱時間給を検討した際には、年収900万円以上の課長補佐級である約20万人を対象と見積もった。今回は年収基準が上がってさらに専門職に限ったため「20万人よりかなり少なくなる」(厚労省幹部)という。




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