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てらまち・ねっと



 一昨日、2月17日の毎日新聞の夕刊に特集ワイドの「読書日記」が載っていて、上野千鶴子さんの大きな写真と『最新版 市民派議員になるための本』の書影がありました。

 出版社(WAVE出版)のフェイスブックでも記事のことが紹介されていて、その写真では、東京本社版は上野さんの写真も本の書影もカラー記事。
 こちらの版も「読書日記」は、通常はテレビ欄の下にカラーで載るけれど今回は7面。

 毎日新聞の夕刊を取っている人は少ないと思うので、以下に記事を紹介。

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●読書日記:今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 社会運動、後継世代へのバトン
毎日新聞 2015年02月17日 東京夕刊

  ★ 読書日記:今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 社会運動、後継世代へのバトン/2015.2.17 毎日新聞(夕刊) 



*1月20日〜2月16日
 ■そろそろ「社会運動」の話をしよう(田中優子、法政大学社会学部編著・2014年)明石書店
 ■自立生活運動史 社会変革の戦略と戦術(中西正司著・2014年)現代書館
 ■社会を変えるリーダーになる 「超・利己主義」的社会参加のすすめ(田中尚輝著・2014年)明石書店
 ■最新版 市民派議員になるための本(寺町みどり、寺町知正著・2014年)WAVE出版

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 「そろそろ『社会運動』の話をしよう」というそのものずばりのタイトルの本が出た。法政大学社会学部の先生方が複数で担当した「社会を変えるための実践論」講座を、当時社会学部長だった(今は総長)田中優子さんが編著にしたものだ。副題の「他人ゴトから自分ゴトへ。社会を変えるための実践論」もわかりやすい。調査能力、メディアリテラシー、論理的な言語能力、熟議のための討論能力など「大学でこそ身につけてほしいこと」なのに、「ふつうそういうことは大学では教えない」と田中さんはいう。3・11のあと官邸前デモと経済産業省前座り込みは今でも続いている。そろそろ社会運動とは何か、を語りあってもよいころだ。この講座を受講した学生諸君の反応を聞いてみたい。

 社会学者の小熊英二さんに「社会を変えるには」という直球勝負のタイトルの本がある。この本を読むと戦後日本の社会運動がどんな歴史をたどってきたかがわかる。そして帯にあるとおり社会運動とは「どういうことなのか。どうすればよいのか。」がわかるようになっている。

 昨年たてつづけに出た2冊の本、中西正司「自立生活運動史」と田中尚輝「社会を変えるリーダーになる」は、社会運動の現場の担い手だったカリスマ的なふたりのリーダーの回想録である。中西さんは障がい者自立生活運動のリーダー。わたしと共著の「当事者主権」(岩波新書)もある。いまほとんどのJRの駅にエレベーターがあるのは彼らのおかげだし、障がい者総合支援法ができたのも彼らの運動のおかげだ。この本がすばらしいのは成功体験が書かれていること。政府との交渉の楽屋裏や「してやったり」の経緯が描かれている。この本を読んで歯がみする厚生労働省の役人もいるかもしれない。運動は成功体験が積み重ならないとじり貧になる。なかなか到達できない大きな目標を掲げるより、小さな勝ちぐせをつける。そのノウハウを惜しみなく公開してくれる。

 田中さんは日本のNPO活動を牽引(けんいん)してきたパイオニア。本書を「遺書」のつもりで書いた、という。ふたりに共通するのは、社会運動の現場がリーダーの世代交代の時期を迎えているという認識である。だから後継の世代にノウハウと経験を伝えたい、という切迫感にあふれている。同じ動機から書かれたのが仙台在住のNPO活動家、加藤哲夫「市民のネットワーキング 市民の仕事術1」「市民のマネジメント 市民の仕事術2」の2冊。仙台が、日本のNPO支援先進地域になったのはひとえに彼というキーパーソンがいたおかげである。4年前にがんで亡くなった加藤さんの、これが遺著になった。死を予期した彼に頼まれて、わたしはこの本に解説を書いた。

 政治はなかなか変わらない。選挙があっても民意は政治に反映しない。そう思っている人たちには、寺町みどり・寺町知正「最新版 市民派議員になるための本」をおすすめしたい。2002年に旧版「市民派議員になるための本」が出たあと、「わたしはこの本を読んで議員になりました」というお礼状が、著者のもとにぞくぞく届いた。それから4期目、今春の統一地方選を視野に「最新版」を書いてもらった。副題に「あなたが動けば、社会が変わる」とある。帯にこう書いたのはわたしである。「地方から日本を変える! 本書はそのための最良の闘うツールである」

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◇うえの・ちづこ 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


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