ところが、問題が生じた。過去に度重なる引越しを繰り返しており、ぼくがオープンウォーターダイバーであることを照明するCカードが何処に行ってしまったのか見つからないのだ。どのみち、十数年のブランクがあるから、いきなり潜るのは無謀であろう。慣らし運転をするか、あるいは、Cカードを取り直すかである。もっとも、その前に10数年の間、しまいっぱなしにしていたダイビング機材や、ウェットスーツがまともなのかどうか、チェックする必要もあった。もう、すでに夏は終わりかけている。そこで、9月初めのチェックダイブをして、9月の連休のどこかの島のファンダイブの申し込みをしようと計画したのだが、目当ての女性イントラがいるショップの沖縄ツアーはすでに満員だった。
せっかくダイビングに復帰しようとした夏が終わろうとしていた。ぼくはそれでも、9月の連休中のダイビングツアーをあきらめきれず、別のショップでツアーを探すことにした。そして、八丈島のツアーを企画しているショップが見つかった。それが、ナツコのいるショップだった。そんな経緯があって、冒頭の電話へと続いたのだった。電話する前は、そのショップで買った機材じゃない事から、オーバーホールを断られるかと心配したのだが、どうやら引き受けてもらえそうだった。そして、チェックダイブのつもりで、日帰りのボートツアーを申し込んだのだが、電話を受けたナツコはどうやらファンダイブと決めてかかってたらしい。10数年ぶりのダイビングにもかかわらず、いきなり、ボートでファンダイブという事態になってしまうことになる事を、ぼくはその時は知る由もなかった。ただ、言えることは、そのショップでは、カードの提示どころかダイビングの履歴を示すログブックの提示すら求められなかったことだ。潜らせてみればわかるということなのだろうか。ぼくは、不安のまま、日帰りのボートダイビングツアーの日を迎えることになった。
不安のまま迎えたボートダイビングツアーは、やはり予想通り、ひどいできだった。