人間の歴史を振り返れば、アフリカに限らず資源が豊富な場所ではその利権を求めて血が流れる。これは人間の宿命なのだろう。この映画では、秘密裏に反政府軍さえもが人力を総動員してダイヤの発掘作業を行い、そこで得たダイヤモンドを世界の闇ルートで売却することによって武装拡充のための資金を得る実態が描かれている。ダイアモンドに群がる世界中の女性たちが、このような反政府軍の軍事力を増強させ内戦が永続することを推し進めているのだ。悲劇は、反政府軍が近隣の村々を次々と襲撃しては略奪と残虐行為を繰り返し、男たちは殺されるか復讐を企てぬように両手を切断されたり、強制連行されてダイヤ発掘のために駆り出されること。また、子供たちは連れさられて少年兵として教育されることである。これが現在、アフリカで本当に起こっている悲劇なのだ。
ダイヤの密輸業者のディカプリオと反政府軍に村を襲われ家族と引き裂かれたジャイモン・フンスー、そしてジャーナリストのジェニファー・コネリーの3人は運命的な出逢いを果たす。この物語はフンスーが巨大なピンク・ダイヤを発掘することで動き出す。デカプリオはそのダイヤで利益をあげてアフリカからの脱出を図り、フンスーはダイヤで引き裂かれた家族を取り戻そうとし、コネリーはダイヤモンドの闇ルートに関するスクープを狙っている。彼らは、互いの利益のために本性をむき出しにして相手を利用しあいながら、それでも成り行きで闇ルートを暴いて悪夢の連鎖を断ち切ることになる。
アフリカの悲劇。少年兵が笑いながら銃を乱射したり、相手に撃ち殺されたりするといった日常には、「本来、おれは悪魔なんかじゃない。だがこの地に生まれたことが俺にそうさせるんだ」という現実が隠されている。しかし、この映画のラストでは、これらの悪夢の連鎖を断ち切るための、ほんのわずかな希望の光を映し出し、僕の魂に強く訴えてくる。何かができるはずなんだと。