海外旅行に出る時は、いつものことながらあわただしく準備をする。このため、忘れ物が多い。
今回は特に困るような重大な忘れ物はなかったものの、ひとつだけ忘れ物をした。実は、カンボジアに持っていくのを忘れたのは水着。というのは、日本に帰着したその朝に、成田から直接出社、その夜、行きつけのスポーツ・ジムで水泳のレッスンを受講というスケジュールを組んでいた。
一旦、帰宅してからプールだとレッスンには間に合わない。このため、ぼくはカンボジアで水着を購入し、帰国した日のレッスンに備えることにした。
しかし、シュリムアップの町中を探したのだが水着は売っていなかった。スポーツ・ショップにも、衣料を扱う市場の店にも売ってない。スパはあっても、公営のプールはここにはない。だから、水着は町中のどこにも売っていないのだ。
ところが、灯台下暗しだった。泊まってたホテルにはプールがあって、ホテルの土産物売り場に、旅行者用として水着とゴーグル、スイムキャップが売られていた。3点で総額40USドル。
ということで、現地で水着を手に入れたぼくは、強烈な日差しで遺跡観光が中断となる昼の時間帯はホテルのプールで水泳三昧。
カンボジアは水事情が悪く、生水は現地の人も飲まない。果たして、洪水で大騒ぎのシュリムアップのプールは大丈夫なのだろうか。・・・とか思ったのだが、常時、大量の水がオーバーフローするプールの水は清く透明で、泳いでも潜っても、お腹を下したりすることはなかった。
そのプールで声をかけた一人旅の日本人の若い女性がいた。彼女は一人旅デビューだった。そして彼女が言うには、カンボジア滞在中、一番印象に残ったのが天空の城(ベンメリア)だったという。
花束の池の意味を持つベンメリア。アンコールワットよりも歴史は古く、宗教紛争や戦の爪後を残した遺跡。数年前までは地雷が埋まっていて、道もなかった。また、内戦中はポルポトの隠れ家だったそうで、ポルポトが逃げだす時に遺跡を破壊していったらしい。・・・彼女が言うには、森の中に静かに佇む遺跡の様子が、天空の城ラピュタにそっくりとのことだ。
どこに行こうかと迷っていたぼくは、彼女の話を聞いてにベンメリアへ。・・・行ってよかった。やはり、旅行者の生情報は大切だ。
木の根の絡みついた壁で有名なタ・プロームは、映画 'Lala Croft Tomb Raider: The Cradle of Life'(トゥームレイダー2)のワン・シーンの舞台ともなったが、それよりも神秘的だった。ちなみに、このタ・プロームも天空の城ラピュタのモデルのひとつと言われている。
木の根に食い込まれた石柱。雨季なので崩れ落ちた石柱を覆うコケが美しい。ちょうど、緑一色の世界。木の葉の隙間から零れ落ちる光を受けて、濃い色のコケが光り輝く。密林により浸食されていく石組み。時の流れを感じて恍惚となる。熱帯の植物のエネルギーには圧倒されるばかりだ。忘れられた場所で、木々は人知れず巨大になっていく。まるで、インディ・ジョーンズの世界。
木はガジュマルだ。現地ではスポアンとよぶ。木が遺跡を浸食していないところの遺跡の傷みは激しく、いたるところで崩れ落ちている。遺跡に根付いたガジュマルを伐採すると遺跡は崩落してしまうという。だから、伐採はできないのだ。
いつしか、ガジュマルの種を食す鳥たちが遺跡の隙間に糞を落とし、そこからまた新たな生命が育つ。遺跡の上で成長を始めたガジュマルの根は下へ向かって垂れ下がり、地面に着くとそれがいくつもの支持根となって互いに絡み合い、成長し続ける。
ちなみに、ベンメリアの印象は、乾季にはコケが茶褐色に変色するため、印象はまったく異なるものになるという。雨季のベンメリア。数多くの遺跡のイメージは脳裏から消えうせつつあるが、ベンメリアの印象は、ベンメリアを勧めてくれた一人旅デビューの果敢な彼女のチャーミングな笑顔とともに強く焼き付いている。
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