バヌアツの主要部を構成する諸島であるニューヘブリディーズ諸島をはじめ、メラネシアからポリネシアにまたがる地域には、「カバ(カヴァ)」なる不思議な飲物がある。
コショウ科の潅木の根っこを砕いて、水で揉み出した茶色い泥水のような液体。バヌアツのさらに離島のタンナ島のものが最上とされる。というのも、タンナ島の「カバ」は、年少の男の子がカバの木の根っこを歯で噛み砕き、ペースト状になったもの吐き出して集めたもので、作り方を聞いただけでも気持ち悪くなりそうな代物。
妙齢の女性が噛んだものだったら、せめてもの救いがあるのだが、伝統的に女性は「カバ」を好まないらしい。
なお、かの地の人々もやはり精神衛生上、不都合があるせいか、男の子が噛み砕いたものではなく、都市部などでは機械的なクラッシャーを使ってカバをつぶしているとのこと。
町のあちこちにある薄暗いカバ・バーは、夕暮れになると勤め帰りのサラリーマンや、タクシードライバー、その他、もろもろの男女が三々五々集まり、「カバ」を楽しみながら談笑に花を咲かせる。。
ぼくはこの「カバ」で記憶を失くした。。