「基本ソフト(OS)の更新を検討した結果、製品本体の仕様上、難しいとの結論に至りました」。
これはKDDI社(au)が6月に発売したばかりのスマートフォン(高機能携帯電話)に関する発表です。スマートフォンはソフトを自由に更新できるのが特徴なのに、それが難しいということです。OSを更新すれば映像の視聴機能が高まるはずですが、利用者の期待は裏切られました。
製造したのはどちらの機種も国内携帯最大手のシャープ社です。スマートフォンの実績もある同社がなぜ更新を断念さぜるを得なかったのでしょか。理由は米検索最大手のグーグル社が提供する無償OS「アンドロイド」を搭載していたからです。
無償OSの「リナックス」を土台にしたアンドロイドは無償で使えるため、アップルに対抗する世界の端末メーカーがこぞって採用しました。シャープ社もその一社でしたが、OSの機能更新が速く、商品企画が追いつかなかったというのが実態でした。
「アンドロイドには良い面と悪い面と両方ある」。今春までグーグル日本法人社長を務めた辻野晃一郎氏(ソニーでVAIOなどの創業に従事)は指摘してます。自前主義の日本メーカーはOSまで自社開発した結果、開発投資がかさみ、「ガラパゴス化」を招く大きな要因となりました。OSを外部に委託できれば、開発投資を大幅に軽減できるという利点があります。
一方、中枢機能のOSを外部に依存すれば商品開発の自由度は奪われることになります。