偉大なる作家・井上ひさしさんが亡くなられた、悔しいし寂しい
「小説『吉里吉里人』やNHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本のほか、戯曲やエッセーなど多彩な分野で活躍した作家の井上ひさしさんが9日夜、死去した」との報に接した。75歳だったとのことだ。
「生あるものいつかは鬼籍へ入る」とは言え、井上ひさしさんの死は、とても残念な思いだ。あの風刺の効いた、そして様々な問題を笑いに包んで提起する井上戯曲は、まさに類を見ない豊かさだ。私が天才と思うお一人だ。
自ら「遅筆堂」と名乗るように、戯曲の執筆の遅れは、しばしば初日が遅れるという事態すら招いていたが、執筆に当たっては徹底的に資料を読みこなし、ある作品を描くのに1千万円以上の資料を購入したとの話を聞いたことがある。その井上ひさしさんの仕事・業績を書けばきりがないくらいだ。もっともっと生きて、様々な作品を世に出すとともに、発言をしていただきたかった。寂しくてならない。
そんな井上さんの作品に、我が松たか子は2007年の『ロマンス』に出演している。そして、上演された最後の舞台となったのは、虐殺された小林多喜二を描いた『組曲虐殺』である。その舞台を兵庫まで行って観たことを、今は嬉しく思っている。
偉大なる作家である井上ひさしさんの死を心から痛み、ご冥福をお祈りする。しかし、悔しいし寂しい。1987年には蔵書を生まれ故郷の山形県川西町に寄贈して図書館「遅筆堂文庫」が開館しているとのことで、少し遠いが私もいつか行ってみたいと考えたりしている。