芥川賞・直木賞の両受賞作等を、暑い夏だが読み続けている
「ボローニャ・ソース(ミートソース)の発祥の地であり、また豚肉文化の中心地である。ボローニャの生ハムはむちゃくちゃにおいしいしいらしい」。これは、井上ひさしの近著『ボローニャ紀行』(文藝春秋刊)の一節である。これを読むと、無性にボローニャに行って豚肉料理が食べたくなる。
今はすっかりと評判を落としてしまったが、赤福の「朔日餅・八朔粟餅」を買いに行きたくなったのも、こんな感じでの文章を読んでの衝動だった。
だからといって、今すぐボローニャへ行くわけではない。でも、やはり行きたいとは思っている。ただ、以前ドイツに行った際に、「メガネパン」が美味しいと聞き、チャレンジしたが言葉が通ぜず食べられなかったことを思い出したりして、少しだけ躊躇している。
ま、私と本との向かい合い方は、この程度だ。深く本を読み解くことができない。専門書などは、3ページもあれば、眠ってしまう。クラシックと同じだ。
そうは言いつつも、芥川賞や坪田譲治文学賞のようなものは、必ず読むようにはしている。やっと、「日本語を母国語としない作家」(在日韓国・朝鮮人の受賞者は存在)として、初めての芥川賞作家となった中国人作家の楊逸(ヤンイー)さんの『時が滲む朝』(文藝春秋刊)を購入した。合わせて直木賞受賞作の井上荒野著『切羽へ』(新潮社刊)も買い求めた。芥川賞受賞作は、掲載される雑誌「文藝春秋」と同様に、買い求めることとしている。
芥川賞受賞作品は、以前は初版本購入に必死となっており、初版でない作品は神田の古書店まで行き買い求めたりもした。しかし今は、あまり拘らなくなった。今回の両受賞作は、いずれも第二版だ。
さて、緊張感にみちた『切羽へ』を読み終えたが、その著者の井上荒野さんは、戦後派作家と言われた井上光晴のお子さんだ。正直、私のような年代の者には井上光晴のほうが馴染んでおり、その著作も多数私の書棚にも並んでいる。
ともあれ暑い夏だが、読書生活に入っている友人に負けずに、そして暑さにも負けないで、この夏は少しだけ本を読みたいと考えている。
そんな暑い中で、今日は日曜日だが、フリー塾・「百間川で遊ぼう」を開催した。ただ、今年の雨不足の中で、百間川は水が少なく、かつ藻が繁殖し過ぎていて、急遽中原橋上流の旭川での川遊びとなった。ボランティアの方々にお世話になり、「終了した」の報告に来た職員の顔は真っ赤に焼けていた。私はといえば、冷房の効いた公民館での勤務だった。申し訳ない。私は、職員に「ありがとう」と感謝した。