旬刊商事法務2024年3月25日号から,連載「商業・法人登記の実務Q&A」がスタート。執筆は,法務省民事局商事課である。
第1回は,「株式会社の会計監査人である監査法人の吸収合併による変更の登記」である。なんとまあ,レア・ケースをの感。
とはいえ,中堅の監査法人の合従連衡が進んでおり,合併自体はないこともない(この5年間に9件である。)。そして,監査法人が合併により解散し,存続監査法人に権利義務が承継されると,監査契約の契約当事者の地位も承継される(ただし,チェンジ・オブ・コントロール条項がなければ,あるいは,株式会社からの契約解消の申出がなければ,であるが。)。
上記は,この場合の変更の登記における論点を取り上げたものである。
ところで,消滅監査法人について「年月日合併」を登記原因として退任の登記をせよというのは,違和感が・・。
かつては,
「会計監査人である監査法人Aが監査法人Bに合併して解散した場合は、「合併」による変更登記ではなく、「会計監査人Aの退任」と「会計監査人Bの就任」の登記をするのだそうです。
添付書類は合併の記載のある登記事項証明書のみ。合併による包括承継なので、就任承諾書は不要と思われます。」
「株主名簿管理人AがBに合併して解散した場合は、「合併」により株主名簿管理人Bへの変更登記をします。添付書類は不要。」
という実務だったらしい。
cf. 司法書士のおしごと
https://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/c1908304a172402499b0065f717dd976
ということで,本件論稿が出たのか・・。せめて,「年月日合併により解散」くらいがよいのではないか。
なお,株主名簿管理人である信託銀行が合併をした場合における株式会社の変更の登記の登録免許税については,信託銀行が負担するのが通例であるが,本件の場合,監査法人は負担せず,株式会社が負担するのが通例であるようである。
とまれ,今後の連載に期待したい。
【おまけ】
トリビアレベルのお話であるが(まあそうですよね。)。
合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人が有限責任監査法人である場合において,合併により消滅する監査法人が無限責任監査法人であるときにおける当該消滅する無限責任監査法人については,いわゆるダブル公告を行ったとしても,各別の催告を省略することはできない(公認会計士法第34条の20第3項ただし書)。
公認会計士法
(債権者の異議等)
第三十四条の二十 合併をする監査法人の債権者は、当該監査法人に対し、合併について異議を述べることができる。
2 合併をする監査法人は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
一 合併をする旨
二 合併により消滅する監査法人及び合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人の名称及び主たる事務所の所在地
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、合併をする監査法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第六項において準用する会社法第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。ただし、合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人が有限責任監査法人である場合において、合併により消滅する監査法人が無限責任監査法人であるときにおける当該消滅する無限責任監査法人については、この限りでない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
5・6 【略】
第1回は,「株式会社の会計監査人である監査法人の吸収合併による変更の登記」である。なんとまあ,レア・ケースをの感。
とはいえ,中堅の監査法人の合従連衡が進んでおり,合併自体はないこともない(この5年間に9件である。)。そして,監査法人が合併により解散し,存続監査法人に権利義務が承継されると,監査契約の契約当事者の地位も承継される(ただし,チェンジ・オブ・コントロール条項がなければ,あるいは,株式会社からの契約解消の申出がなければ,であるが。)。
上記は,この場合の変更の登記における論点を取り上げたものである。
ところで,消滅監査法人について「年月日合併」を登記原因として退任の登記をせよというのは,違和感が・・。
かつては,
「会計監査人である監査法人Aが監査法人Bに合併して解散した場合は、「合併」による変更登記ではなく、「会計監査人Aの退任」と「会計監査人Bの就任」の登記をするのだそうです。
添付書類は合併の記載のある登記事項証明書のみ。合併による包括承継なので、就任承諾書は不要と思われます。」
「株主名簿管理人AがBに合併して解散した場合は、「合併」により株主名簿管理人Bへの変更登記をします。添付書類は不要。」
という実務だったらしい。
cf. 司法書士のおしごと
https://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/c1908304a172402499b0065f717dd976
ということで,本件論稿が出たのか・・。せめて,「年月日合併により解散」くらいがよいのではないか。
なお,株主名簿管理人である信託銀行が合併をした場合における株式会社の変更の登記の登録免許税については,信託銀行が負担するのが通例であるが,本件の場合,監査法人は負担せず,株式会社が負担するのが通例であるようである。
とまれ,今後の連載に期待したい。
【おまけ】
トリビアレベルのお話であるが(まあそうですよね。)。
合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人が有限責任監査法人である場合において,合併により消滅する監査法人が無限責任監査法人であるときにおける当該消滅する無限責任監査法人については,いわゆるダブル公告を行ったとしても,各別の催告を省略することはできない(公認会計士法第34条の20第3項ただし書)。
公認会計士法
(債権者の異議等)
第三十四条の二十 合併をする監査法人の債権者は、当該監査法人に対し、合併について異議を述べることができる。
2 合併をする監査法人は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
一 合併をする旨
二 合併により消滅する監査法人及び合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人の名称及び主たる事務所の所在地
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、合併をする監査法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第六項において準用する会社法第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。ただし、合併後存続する監査法人又は合併により設立する監査法人が有限責任監査法人である場合において、合併により消滅する監査法人が無限責任監査法人であるときにおける当該消滅する無限責任監査法人については、この限りでない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
5・6 【略】