すったもんだの予算が衆院通過、しかし、その先は五里霧中。関連法案の成立も、参院否決による衆院再可決も困難な状況は深まるばかりだ。どうみても菅政権は打つ手なし。
前にも書いたが、私は民公連携が最も有力と読んでいる。公明の高木幹事長は民主との政策協議には乗れないと言っているが、どう考えても公明にとってはは乗らなければならない状況、というより協議に応じる大義名分がどんどん大きくなっているように思う。
このまま自民と一緒に、解散に向かって反対を押し通すと、国民の批判は予算を成立させない野党に転じる。公明が重視するのは目下のところ地方選である。少なからず、地方選に悪影響を及ぼすことは避けたい。つまり、国民生活への影響を回避するために公明が政策協議に応じ、公明の意見で法案修正を行い、子ども手当など関連法案の年度内成立を実現するということだ。つまり、公明の一人勝ちである。
民主党は政権を安定させるためには、最後は公明に頼るしか道はないのだ。民公政権の誕生である。こうなると政権パラサイトに支配された民公政権は、自公政権のコピーであり、政権交代とは一体何だったのかというどっちらけムードが漂い、国民の関心はますます政治から遠ざかるのは必至だ。
一方、民主党はというと公明との連立が結局党内分裂を食い止めることになる。小沢派も反対する理由はないからだ。唯一、問題が起こるとすれば、公明が連立の条件として、小沢の除名を持ち出した場合だろう。しかし、その可能性は薄いのではないか。野党ならいざ知らず、与党となれば政権の安定を優先するはずだ。
ただし、お調子者の菅が自分で手柄をたてたかのごとくふるまえば、党内は荒れる。小沢派の言い分であるマニフェストの実現をないがしろにして、路線変更をごり押しすると、小沢派は必ず反旗を翻す。つまり、マニフェストとの見直しをどう折り合いをつけるかがカギとなる。菅が首相の座にしがみつくなら、間違いなく事態は悪化する。執行部が参院選以降の混乱の責任を取り辞任、新執行部で出直すことが残り2年余、民主党政権を持続する方法だろう。
あくまでも予想に過ぎないが、この時点で民主党が二分し、自民・民主A・民主B・の3頭立てのレースで政局が混乱するよりは可能性が高い。
いずれにして今日の混乱の原因は、小沢問題でも、予算案でもない。政党が二大政党政治を理解し、目指していないことがそもそもの原因だ。二大政党制を単なる政権の綱引きとしか理解していない。とくに野党の意識が低すぎる。与党の体たらくこそ、早期政権交代を果たすチャンスなのに、やっていることは昔のまんまだ。与党に恩を売る、影響力を誇示することが国民の理解を得る最大のチャンスなのに、なぜか昔ながらの予算委員会で与太話の追及にこだわり続けている。
与党案の欠陥を指摘し、徹底的に修正を迫り、予算案を成立させることに全力を上げれば、国民は野党を支持する。次の勝利は見えてくるのだ。
そうした次元の論戦ができない未熟な国会がそもそもの混乱の原因なのだ。
そこがわからなければ、解散しても同じものしか生まれない。