悪質介護施設は職員アンケートで調査しろ

　広島県福山市でデイサービス施設の劣悪な環境が明らかになったが、認知症の母親を看る身として身につまされる思いである。

　母親は週に２回デイサービスを利用しているが、かれこれ１年になるというのに、本人は未だに通所を理解していない。行ったときはそれなりに施設で楽しんでいるようだが、家に帰ったとたんに記憶がきえるようである。そのため、毎度のことながら行く段になってどこに行くのかとしつこく聞いてくる始末である。それでも、いざ、施設の職員が迎えに来ると何の疑いもせず喜んで車いすに乗るのである。たぶん、その時は通所の意識が戻っているのだろう。

　さて、劣悪な環境についてだが、母親が通う施設は真面目に運営しているので、心配はしていないが、もし、福山の施設のような最悪の運営をしていたならと考えるとぞっとする。本人は記憶がなくなるので不満を訴えないだろうから、最低の扱いを受けていたとしても家族は知る由もないのだ。　

　認知症の年寄りは、軽い場合はともかく、重くなれば信じられないほど無抵抗でされるがままである。実際は、いやなことをされたり、気に入らなければ抵抗を見せるが、記憶にとどめることができないので、時間や場面が変わると不満も痛みも消えてしまうようである。

　こうなると本人からクレームが出ることはないわけで、施設側はやりたい放題なのである。

　たぶんろくでもない施設は全国に腐るほどあるのだろう。だから、こうした施設を告発するのは利用者ではなく職員だろう。先日、市が施設利用に関する利用者家族へのアンケートを行ったが、環境改善の効果はほとんどないだろう。むしろ、利用者側ではなく職員にアンケートを取るべきだと思う。そうすれば、ろくでもない施設の実態がみえてくるはずだ。そのためには管轄する役所は、施設職員の届け出登録を徹底し、アンケートを施設側にゆだねるのではなく、役所が直接職員からアンケートを取るくらいの対応が必要だ。そうでもしないと、悪質施設はやりたい放題である。