tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の国債が紙くずになる条件(1)

2020年12月09日 11時51分32秒 | 経済
「国債紙屑」の条件は国民と政府次第
日本の国債が紙屑になるような時が来るでしょうか。MMTによればいくら国債を出してもそんなことはないという答えがけってきそうですが、そんなにうまい具合に行くのでしょうか。 少し考えていってみましょう。

国債が償還出來なくなった時、あるいは償還出來ても、その価値が発行時に較べて著しく下がっているというのが「国債が紙屑」といわれるための条件でしょう。
国民が多くの貯蓄を持っていて、経済もそれなりに順調に回っていて、その国の通貨もそれなりに信用されているというのが今の日本の状態です。
ただ、増税をやって選挙に負けるのを恐れる政府は、ついつい国債発行で資金繰りの帳尻を合わせ、一方、不況対策、高齢化による負担増、災害対策給付、海外からの要望などで歳出は増加の一途という事で国債残高の累増を招き、円安維持のためのゼロ・マイナス金利政策もあって、結局長期債は日銀に押し込み、日銀の国債保有率が著増するという事になっているのが現状でしょう。

 MMTによれば、それでも、その状態を続けても問題ないという事なのです。その上、金利水準が上がっても、国債の価格は下がりますが、満期まで持っていれば額面で償還され、新発債の利息は上がりますが、結果は日銀の受取利息収入が増え、日銀の利益は国庫に納付されるので、それは単に「行って来い」だという事ではないかとなるのです。

 金勘定だけからいえば、そうかもし得ません。しかし、金利が上がるのには原因があるはずです、MMTはおカネのやり取りだけで問題が起きないとか片つくと考えているようですが、「ではなぜ金利があがるのか」という実体経済の動きを考えてみますと、ことはそう単純ではないようです。

 日本経済も今のところインフレはなくゼロ・マイナス金利で経済はそれなりに回っています。最も問題な金融機関(特に地方銀行)経営も業態を変えながら頑張って現状適応しています。しかし本当に長続きするかは解りません。 

現状、国民が貯蓄を持っていて、国債は資産として保有しているといいう状態が続いてくれれば、償還期限のきたものの借り換えも可能でしょうし、国としての資金繰りは廻っていきます。
 
 今、GDPの3倍に近づく国債発行残高があるという状態で、ゼロ金利では市中にその消化能力(意欲)がないのでしょうか、日銀が早晩その半分を保有する勢いです。

 すべては当面インフレはないという前提と、政府・日銀に対する「信用」によって成り立っているのです。インフレ激化というようなことはない、インフレ率が2%を超えれば金利も上がるだろう。高裁は最も安全な資産であるという信用です。

 しかし、見方によれば、こんな状態はまさに「累卵の危うき」にあるとも言えそうです。勿論現状日本人はそうした危機意識は全く持っていません。正直なところ私もそれほどの危機意識は持っていません。

 しかし見方によっては「累卵の危うき」にあるわけですから、何か平衡を保っている条件の一角が崩れるとたちまち卵の山は崩れて卵の多くは潰れるという危険性は孕んでいるのでしょう。

 差し当たっては、国債発行残高がどの位になったら危険水域に入るのかという問題でしょうか。この辺りから可能性を検討していってみましょう。