tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の国債が紙屑になる条件(2):財政の部2

2020年12月11日 22時43分51秒 | 経済

 実は当初から、補正予算の額が異常に大きいことも気になっていましたが、それよりも、その使い道が「そんな無駄遣いして・・・」と気になっていました。

 アベノマスク490億円でしたか、一人一律10万円給付14.6兆円ですか、結果はご承知の如しで、アベノマスクをした人は見かけませんし、1人 10万円の給付は本当に困った人に、何倍かの給付をしても、結果は何十分の1かの金額で済んだのではないでしょうか。今に至って、本当に困っている人の自殺などが増える様相です。

 そのごのGoToキャンペーンではイートでの設計の失敗やトラベルのコロナの全国展開への促進効果など副作用も多く、とうとう分科会が中止の提言をし、災害並みの自衛隊出動にまで至っています。国民には、なぜ政府があそこまでGoToにこだわるのか(来年6月までやる)理解不能です。

 今後政府はどうするのか知りませんが、 アドバイスを頼みながら、それは無視して自分のいいようにやる、これは民主主義の破壊です。
 官邸で決めたことは、嘘を言ってでも、答弁を拒否しても押し通す、これは対話の破壊で矢張り民主主義の破壊でしょう。

個々の問題を取り上げればきりがありあせんが、本当の問題は、一国経済の運営に当たっては、財政当局が「健全財政を貫くことが基本である」という意識を持っていることが基本だという事ではないでしょうか。

 勿論、経済活動は民間に任せておけばバブルを引き起こしたり、時には恐慌を招くようなこともあるかもしれません。
 しかし、今日では国民一般も、また産業人も、(特に日本ではそうですが)経済活動、企業経営は、利益を上げるためのものではなく、社会をより豊かで快適なものにするための活動という理解が進んできています。

 労使関係にしても、賃金は高いほどいいという労働組合もないでしょうし、人件費は抑えるほど良いと単純に考えるような経営者はいないでしょう。

 一般市民自身が財政についての知識も確り身に着けてきているというケースが多くなっているのではないでしょうか。
 ですからMMT理論などといっても、そんなに旨いことがあるはずがないと疑心暗鬼の人が多いのでしょう。逆に理論倒れの学者の方がコロっと信用するのかもしれません。

 こうして一般市民のサイドでも、政府が金を出してくれるのは有り難いが、後から辻褄が合わなくなるのではないかという意見は次第に強くなるでしょう。

 そうした見方をすれば、些かカネの出しすぎではないかといった意見が強まり、その上、その使い方があまりに杜撰だと国民が思うようになると、政府を信用しなくなる可能性が強まります。

 マスクも10万円給付もそうですが、GoToに固執してコロナ感染者を増やし重傷者も死亡者も増やし、医療費負担をさらに巨額にし、GoToを止めれば手間暇かけて損失補填を支出するなど、折角の補正予算の無駄遣いが過ぎると考える人は多いのです。

 本当に恐ろしいのは、こうしたことが次々繰り返され、日本の財政当局は規律を持っているのか、それとも野放図に日銀依存のカネをばらまいているのかと国民が疑問を持つ事ではないでしょうか。

 MMT理論が言うように、この理論は、通貨への信用があって初めて成り立つのです。今はまだ日本では信用大でしょう、しかし国民が納得しない財政支出が、モリ・カケ・サクラから始まってコロナ対策や政治資金規正法がらみで多くなれば、一番大事な財政への信用に翳りがでてくる可能性無きにしも非ずでしょう。

 嘘が横行した国会答弁から、回答差し控えの国会答弁が多くなったようです。いずれも「知らしむべからず寄らしむべし」でしょうか。
  独裁への道は、必ずしも共産主義国だけではないようです。