tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

令和3年度(2021年度)の政府経済見通しを見る

2020年12月30日 23時50分19秒 | 経済
令和3年度(2021年度)の政府経済見通しを見る
 いよいよ明日は大みそかですが、今年の日本は、コロナにかき回されて、何かすべてやりかけなのに、暦だけは確り年末で、この1年の纏めとか来年の見通しとか全くわからない中での年越しのような感じです。

 それでも政府の来年度経済見通しは、一応出ていますので、これは年度ベースですが、政府がどの程度のことを来年度について考えているのか、ご参考までに見ておきましょう。

 日本のGDPは、来年度政府経済見通し(名目値)によれば、
令和元年度  559.7兆円 (実績)
令和2年度  536.1兆円 (実績見込み)
令和3年度  559.5兆円(見込み)
 という事になっていまして、今年度は4.2%のマイナス成長ですが、来年度は4.4%の成長で、ほぼ昨年度のGDPに戻るということになっています。

 いわば、今年度はコロナ禍で苦しみましたが、来年度にはその落ち込みを埋めて昨年度並みの水準に戻ると見ているわけです。

この回復を支えるのは何かと主要項目の伸び率を見ますと、
民間最終消費支出  4.0%
民間住宅      2.7%
民間企業設備    3.2%
財・サービス輸出  12.5%
という事で、抑えられた消費が回復する事、それに輸出主導的な形になっています。
 しかし、民間の需要は、消費が伸びると言ってもGDPの成長の4.4%には追い付いていないのです。

 では何で4.4%主張するのかといいますと、これは成長寄与度の方に出ていまして、
内需寄与度      3.6ポイント
 (うち民需寄与度   2.6ポイント)
 (うち公需寄与度   1.0ポイント)
外需寄与度      0.7ポイント
という事で、合計が4.3%(四捨五入のせいで0.1ポイントのずれと思われる)になるわけです。

 つまり、民間の力だけでは 2.6%成長しかできないが、政府財政で1ポイント分支出、貿易黒字が0.7ポイント分助けてくれて、漸く4.4%成長が達成出来ているということになっています。

 今年度の実績見込みでは、民需寄与度はマイナス5.0ポイントでしたからその半分強復活するという見通しで、政府支出は今年度も来年度も同じ1.0ポイント、後は外需(輸出―-輸入)がふえるということになっています。

  来年度については、そのほか消費者物価上昇率0.4%、GDPデフレータ0.3%と物価上昇率はかなり低めの見通しです。

 民間の調査機関などの成長率予測は、もう少し控えめのものが多いようですが、政府の数字には、最近往々希望的要素が入り込むようですから強気です。

 実際には、コロナ第3波の行方、ワクチン普及の見通しやその効果、そして、東京オリンピック、パラリンピックが出来るかどうかといった難問がありますので、どうなるのでしょうか。

 今年は何か、日本ではあらゆることがやりかけで年を越してしまうようですが、まさに心から、来年は、もう少し落ち着いて、ある程度先の見える年になってくることを、皆様とともに願いたいとおもっています。
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 今年の後半のこのブログでは、自分の関心に偏った論考が多かったようで反省していますが、そこで得たものも含めて、気軽に読んで頂けるようなブログにしていきたいと思っています。

 来年も、何卒、宜しくお願い申し上げます。