tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の国債が紙屑になる条件(8)社会構造の部

2020年12月18日 22時43分51秒 | 文化社会
日本の国債が紙屑になる条件(8)社会構造の部
 今日の時点での日本社会の最大の問題は、いかにしてコロナの第3波を早期に食い止めるかでしょう。
 第3波を深刻にしているのが、政府のやることが、国民の望んでいることと食い違っている(GoToトラベル問題など)という困った事態です。

 しかし、もう少し長期で見ると、矢張り少子高齢化、人口減少の問題でしょうか。これも政府と多くの国民の意識にはギャップがありそうです。

 そしてもう一つ、最近コロナの中で問題意識が鮮明になって来たことに政府の意図するものではないと思いますが、結果的に格差社会化の進展があります。

 標記テーマに関して言えば、基本的には、私は日本の社会(国民)が自ら「国債は紙屑」になるようなことはしないだろうと考えていますが、これも政府如何という事になりそうです。

 国債紙屑の始まりはおそらく経済のインフレ化でしょうが、いま世界を見渡してそうした危険に直面している国は、主要国ではあまりありません。アメリカは危ない国ですが、基軸通貨国ですからドルの独歩安でインフレ進行といったことはないはずです。

 日本は現実には、そうした状態から最も遠い国という事になるのでしょうが、長い目で見て注意しなければならないことはいくつかあるような気がします。

 先ず、少子高齢化、人口減少の問題ですが、これを逆手に取って日本経済を住みやすい快適な経済にしていくロいう発想はすでに出ているのです。

 1917年春闘で、労使がともに、「人口減少を逆手にとって日本を住みやすい国にしていこう」と主張していたことをご記憶の方もおられると思います。
 政労使が本気で協力すれば、3者ですから「文殊の知恵」が出るでしょうし、今の日本の力をフル活用すれば、間違いなく国民の望むような結論が出ると思っています。

 次に、格差社会化ですが、これは長期不況の中で次第に進んできました。典型的には非正規労働者の増加(雇用の不安定化)が言われますが、賃金は上がらない、株価は上がるといった状態がこれに拍車をかけ、コロナ対策でも、本当に苦しい所には手が届かず、金持ちにまでバラマキ援助といった格差助長の様相が顕著です。

 かつては北欧と並んで世界でトップクラスの所得格差の少ない国といわれた面影はすでにありません。
 昔だったら、こうした問題は騒乱や革命につながったのですが(国債紙屑の要因)今は政権交代で解決するのが民主主義というものでしょう。

 そういう意味でも、日本経済が進む道を誤らないようにするには、政権交代ができるような社会・政治構造にすることが大事でしょう。

 さらに言えば、かつて石油危機の際に日本が世界に先駆けて官と民の話し合いと協力に成功し、世界が驚いたような「政労使3者の密接な意見交換」といった民主主義社会を安定させるための絶えざる努力が必要でしょう。

 かつての日本は、そのための仕組みをしっかり作り(産労懇など)、上手に活用していましたが今は全く違います。

 今の日本は、民間の意見はほとんど無視し、政権は権力を集中して、自分たちの思い付きを押し通すのが「決める政治」だと思っているようです。

 国会でも嘘の答弁から、今度は答弁を控えることにしたようですが、対話のない所に民主主義は成立しません。

 今の政府の態度は独裁政治への道でしょう、国民が止めない限り、何時かは本当に「独裁」「インフレ」「国債紙屑」の時代が来るというのが歴史の教えるところです。
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 長い間駄文にお付き合い頂き有難うございました。次回は、何とか纏めにしたいと思っております。