前回、五輪開催強行の中で、新型コロナの猖獗を防ぐことは何としてでも成し遂げなくてはならないこと、そのために政府と国民は何をしなければならないかについて最低限の必要事項を整理してみました。
しかし、それが現状ではかなり難しいことも事実のように思われます。その最大の原因は、どうも政府がそうした持つべき危機感を持っていない事ように思われるのです。
一昨日の菅総理の記者会見を見ましても、プロンプターを読んでいましたが、かつてドイツのメルケル首相が国民に訴えたスピーチのような、心から危機感を国民に訴える表情 はあまり感じられませんでしたし、質問の中で、最も重要な「緊急事態宣言を8月30日まで」とした理由はという質問には、正面から答えてはくれませんでした」
現実を見れば、新規感染者のグラフは、GoToを奨励した時の感染者増加の山が随分小さく見えるほどの高さになっています。そして人流の規模はこの所もあまり減っていません。
最も心配しているのは、感染増加の著しい自治体の長の方々のようで、漸く政府から緊急事態宣言が出ることが決まり、積極的な対策が取られると思いますが、デルタ株の性質から見ますとかなりの困難が予想されます。
というのも、従来の飛沫感染のレベルで考えられていた事では対応が不十分の可能性が高くなっているという見方が強くなっている状況があるからです。
コロナウィルスが、飛沫感染だけでなく、エアロゾル感染、いわゆる空気感染の可能性があること(飛沫の水分が蒸発しコロナウィルスそのものが空中を浮遊して、吸い込んだ人に感染する)、が解って来たという事のようです。
最近特に、感染経路不明という感染者が増えていることも確かなようで、これでは、航空機や列車バスなどさらには、感染対策をとったた建物や部屋の中でも油断はできないのではないでしょうか。
更に、デルタ株の増殖力は、当初のウィルスと較べて千数百倍から2000倍という研究も結果も出されています。感染から発症までの期間も2日ほど早い(他者に感染させる可能性も早い)という研究もあるようです。
加えて、ワクチン接種済みの人の感染もあるようですから(ただし軽症とか)、本格的な対応は大変だと思われます。
望まれるのは、各人がそれぞれどこまで感染対策を自主的に実行するかにかかっているということになるのですが、国民全体をそうした気持ちに急速に変化させることができるかどうかでしょう。
まさに、政府と国民が心を合わせなければできないことではないかと思われますが、どういう展開になるのでしょうか、これからも毎日発表される感染者数、重症者数などが減少することを願うばかりです。