tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2021年4-6月GDPをどう読むか

2021年08月17日 15時34分33秒 | 経済
昨日、標記の四半期のGDP第1次速報が発表になりました。

マスコミでは、対前期比の伸び率を中心に、前期比伸び率は実質値で、0.3%、年率に換算して1.3%で、前期のマイナス0.9%からは回復したものの、そのペースは極めて遅く、諸外国が発表している急速な回復に比べても遅々としており、コロナ禍からの回復には遅れが予想される、といったものです。

そしてその主因は、緊急事態宣言などの影響もあり、消費需要の回復が遅れている事で、企業の設備投資には回復がみられる、等となっています。
 
GDPの過去5四半期(2020年4-6月期~2021年4-6月期)の動きを見ますと

対前期比(%)   -7.9  5.3  2.8  -0.9  0.3      
対前年同期比(%) -10.1 -5.6  -1.0  -1.3  7.5

となっていて、前期比では上がったり下がったりで、GoToの実施や、緊急事態宣言によって上下しています。

一方、対前年同期比では昨年の4-6月は最初の緊急事態宣言で、前年比は1割強も下がり、その後、コロナ馴れもあるのでしょうか、下げ幅は徐々に縮小しています。そしてこの4-6月に至り7.5%という大幅な上昇に転じています。

勿論これは昨年の4月の大幅低下を反映しているわけですから、一昨年4-6月(コロナ前)に比べれば昨年10.1%下げましたが、今年はマイナス3.4%程度の水準にまで回復したという事です

そこで、マスコミの言う消費の回復が弱いという点ですが、上と同じことを、家計最終消費支出で見てみます。

対前期比      -8.6  5.2  2.3  -1.0  0.9
対前年同期比   -11.8  -7.9  -2.7  -2.8  7.3

となっています。これで見ますと、家計最終支出(個人消費)も対前期比では、GDPと同様、上がったり下がったりです。

一方、対前年同期比で見ますと、第1回の緊急事態宣言で前年より11.8%落ち込みましたが、落ち込み幅は次第に縮まり、この4-6月は同じ緊急事態宣言(4回目)下ですが、2年連続下げはやめて、前年比7.3%の増加に転じ、一昨年の水準のマイナス5.4%まで回復したという事です(11.3%下がった所から7.3%上がった)。

この消費支出のプラス転換は、昨年も今年も緊急事態宣言下ですから、コロナ馴れ、巣篭り需要の進化と関係もありそうですが、実は毎月の家計調査からもはっきり見て取れるところです。

残念ながら、この個人消費増は、デルタ株による感染者の増加と似た動きで、この点は問題ですが、今後は、ワクチン接種の進展もあり、緊急事態宣言の拡大、延長との関係も当然ありうるわけで、それぞれの要素がどの程度の影響を持つかが鍵なのでしょう。

矢張り決め手はワクチンでしょうが、政府もこの辺りの読み違いをしないように、政策を綿密にし、国民に状況がよく解るような説明をお願いしたと思います。
コロナ征圧には、国民が、現状をよく理解して行動することが必須だからです。