tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

自然科学の学術論文:中国躍進、日本は低迷

2021年08月13日 21時11分22秒 | 科学技術
皆様ご承知のように、文部科学省の科学技術・学術政策研究所は、毎年世界の学術論文の数と質の調査をしています。

過日、自然科学の分野についての調査について過去3年分の学術論文についての調査を発表しています。

マスコミでは中国がアメリカを抜いて数でも質でもトップになったことを報じていましたが、残念ながら、日本の状況は、このところ低迷を続けているようです。

前回発表の2016-2018の3年間の調査では、中国が論文数でトップになったことが報じられましたが、今回の調査では論文の質についても中国がトップになったことが明らかになりました。

今回発表の過去3年の年平均の論文数は
中35万3千、米28万6千、独6万8千、日本6万3千
昨年発表された2016-2018の3年間の調査でも
中30万5千、米28万1千、独6万8千、日6万5千
で、中国がトップでしたが、今回は質でも中国がトップになってます。

論文の質というのは、どれだけその論文が他の論文で引用されたか(注目された)で、引用された回数の順位という事ですが、それを見ますと
中4万2千、米3万7千、英9千、独7千、・・・・印4千、日3700
で、中国トップ、日本は10位ということになっています。

因みに1995-1997年の調査では(これ以降の数字は自然科学だけでなく全分野です)、
論文数:1位アメリカ、2位日本、以下英、独、仏
論文の質:1位アメリカ、以下英、独、日、仏
で、日本の存在感はかなりのものだったと言えそうです。

その後の様子を見ますと
2005-2007年調査、論文数6位、論文の質7位
2015- 2017年調査、論文数11位、論文の質12位
という事になっています。

自然科学の場合は全分野より成績はいいようでもありますが、残念ながら、そんなことを言っていられないように量、質ともに後退が顕著です。

そうなると、矢張り気になるのは「何故そうなったか」でしょう。
きちんとした答えを出すのは難しいと思います。しかし、これは絶対関係があると言えるのは、プラザ合意によってもたらされた円高による長期不況でしょう。30年もほとんど経済成長がない経済では民間にも政府にも、経済的余裕はなくなります。

今日の研究開発というのは、巨大な時間の設備(カネ)がかかります。ワクチンもそうでしょう。政府が予算を組んで大学、研究機関、企業などを積極的に援助しなかれば、特に基礎研究などの研究などは遅れざるを得ません。

この辺りはこのブログでも折に触れて書いているのでこれ以上触れませんが、プラザ合意を含めて政府の失政が大きく影響していると思うところです。

次期政権には、ぜひ方向転換をお願いしたいと思います。それが明日の日本を決めるでしょうから。