地政学という学問があります。
地球上のどういう位置に国があって、その位置関係が、その国の政治、軍事、経済などにどのような影響をもたらすかを研究する学問のようです。
しかし、地政学的にという言葉が使われるのは、常識的には軍事的な背景を持っている場合が多いようです。
そして軍事的にというのは、いざとなった時、戦争で相手国を倒すのに有利という意味を含んでいるように感じられます。
具体的に戦争をしなくても戦争になった時に有利という地政学的な条件を持っていれば、国際間の政治的な交渉をするとき有利だということも当然有り得るのでしょう。
そういう事になりますと、当然これは領土問題に繋がりを持っていきます。あそこが自分の領土や衛星国であれば、軍事力を背景に、相手を脅すことで、交渉を有利に展開出来るということになるからでしょう。
例えば、中国は南シナ海を中国の領海だと主張すると同時に、浅瀬を埋め立てて軍事基地を作ります。
ロシアは2014年に併合したクリミヤ半島の軍事基地化を進め。日本との関係でいえば、事実上の支配地域になっている北方4島に軍事基地の建設を進めています。
こうしたそれぞれの国の領土拡張の願望は、経済的に見ますと必ずしもペイしないものでしょう。特に今後の世界では、多分、ペイすることはないでしょう。
中国は、今経済が伸び盛りですから、こうした何時どう使われるか全くわからないものを大きな経済的負担をして作っていく経済力があるのかもしれません。
ロシアの北方4島での政策は、いわばショウウィンドとしてシベリアやサハリンとは比較にならないようなカネをかけ立派な設備の地域にしているようですが、カネがかかって大変なのでしょう、一生懸命日本に投資を呼びかけています。
もし、戦争も何もなければ、後世、「何であんな無駄なことをやったのか」と言われることは必定です。これからの世界では、現実に「ならば戦争してもっと領土を広げよう」などということになる可能性は多分ないでしょう。(国際世論が許しません)
こういう多分使う事のない投資に終わると予想されることに膨大な国費を使い、国の経済力を無駄遣いすることは、まともな民主主義国であれば国民が許さないでしょう。
ですから、それが出来るのは独裁政権の国ということになっているのでしょう。
日本の独裁政権の時代に、台湾や朝鮮半島を併合し、中国東北部に満州国という属国をつくり、さらに中国大陸まで傘下に置こうと日中戦争をやっています。
その当時の日本でも、見る人は見ていました、石橋湛山は、既に大正時代にこうした拡張政策の無駄を見抜いています。
現実を見ますと、日本は、戦後、本州、四国、九州、北海道の4つの島の国になって、世界が目を見張る経済成長をしたのです。
いま世界人類の大部分は、平和と経済的豊かさ、生活の快適さを求めています。
しかし、独裁者というのは、そんなことにはお構いなく、方向違いの自己満足の追求にうつつを抜かしているのです。独裁国だからこそ、それが可能になるのでしょう。
独裁国というのは本当に困ったものですが、世界人類の知恵で、何とかならないでしょうか。