この間まで、主要国では労働分配率が下がっているという論文がいっぱいでしたが、このところ日本に関しては労働分配高まっているいるという傾向が言われています。
確かに長期的には欧米主要国の労働分配率は1980年代に入ってからずと下げてきています。これは、70年代のスタグフレーションの経験に懲りて、労働組合の力を弱め、賃金上昇圧力を封じてきたことが大きな要因でしょう。
そうした中で、MMT理論、赤字財政でもインフレは起きないなどという考え方も出たりしましたが、最近、少し状況は変わってきたようです。
今、アメリカをはじめ、欧米各国で見られるインフレ問題は、国際的な資源価格の上昇、それに、コロナで生産や物流が滞って品薄から物価高というのが主因のようですが、この物価高が賃金の引き上げ圧力になると、賃金コストインフレを誘発する可能性はかなりあるように思います。
日本はどうかと言いますと、アベノミクスの失敗で経済成長が微々たるもので、結果、賃金も殆ど上がらないのですが、中小企業を中心に企業経営が不振で少しでも賃金が上がると労働分配率が上がり気味で、一方支払った賃金は消費に回ればいいのですが、多分に貯蓄に回り、企業の売り上げに貢献しないという悪循環の結果の労働分配率の上昇で、それにコロナによる業績不振が追い打ちをかけて賃金コスト高(労働分配率の上昇)になっているようです。
ところで、労働分配率は国民経済全体で見るマクロの労働分配率と企業経営での労使の分配を見るミクロの労働分配率の二通りの数字がよく使われます。
前者はGDP統計(内閣府の国民経済計算)、後者は財務省の法人企業統計年報によるのが一般的です。
という事で、この両者のこの10年ほどの労働分配率の動きを見てみました。
先ずマクロレベルの動きを見ますと2013年、日銀のゼロ金利政策で円高が解消してからは労働分配率はほぼ横ばいで来ていましたが2018年度辺りから上昇に転じ、2020年には75%という史上最高とも言われる水準に(多分コロナが)押し上げています。
一方法人企業統計の方は、2017年までは低下傾向で、これは円安になって製造業を中心に企業収益が改善したという状況をそのまま反映しています。
然しその後2018年後半からは景気が不況に転じ、売り上げが伸びずすこしのちんあげでも 人件費負担が労働分配率を押し上げ、2020年にはコロナ禍でさらに深刻化の様相です。
いずれにしても、今後が心配される状況であることには違いが無いのですが、マクロレベルとミクロレベルの違いは、法人企業統計は文字通り、法人企業だけで、自営業は入っていません。
自営業はその所得を賃金と利益に分けることが難しい所がありますし、この労働分配率が75%という数字の場合の国民所得は要素費用表示と言って、 賃金と利益と財産所得の合計で、賃金にも利益にも入らない消費税ははいっていません。
消費税が入っているのは市場価格表示の国民所得で消費税の分だけ金額が大きくなりますからそれで計算すると労働分配率は67%です。
企業も労働分配率を下げるためには価格引き上げもやむを得ないという事で、加工食品その他最近値上げが目立ちます。
2020年ごろから我慢していたのが2,022年には我慢も限界という事でしょうか。
労働分配率の上昇というのは、経済にとっては1つの危険信号です。政府にも打つ手はあまり無いでしょう。
政府、経団連、連合、などの関係団体が、かつての日本のように、よく話し合って、三方よし、四方よしになるような相談などをしたらどうでしょうか。
確かに長期的には欧米主要国の労働分配率は1980年代に入ってからずと下げてきています。これは、70年代のスタグフレーションの経験に懲りて、労働組合の力を弱め、賃金上昇圧力を封じてきたことが大きな要因でしょう。
そうした中で、MMT理論、赤字財政でもインフレは起きないなどという考え方も出たりしましたが、最近、少し状況は変わってきたようです。
今、アメリカをはじめ、欧米各国で見られるインフレ問題は、国際的な資源価格の上昇、それに、コロナで生産や物流が滞って品薄から物価高というのが主因のようですが、この物価高が賃金の引き上げ圧力になると、賃金コストインフレを誘発する可能性はかなりあるように思います。
日本はどうかと言いますと、アベノミクスの失敗で経済成長が微々たるもので、結果、賃金も殆ど上がらないのですが、中小企業を中心に企業経営が不振で少しでも賃金が上がると労働分配率が上がり気味で、一方支払った賃金は消費に回ればいいのですが、多分に貯蓄に回り、企業の売り上げに貢献しないという悪循環の結果の労働分配率の上昇で、それにコロナによる業績不振が追い打ちをかけて賃金コスト高(労働分配率の上昇)になっているようです。
ところで、労働分配率は国民経済全体で見るマクロの労働分配率と企業経営での労使の分配を見るミクロの労働分配率の二通りの数字がよく使われます。
前者はGDP統計(内閣府の国民経済計算)、後者は財務省の法人企業統計年報によるのが一般的です。
という事で、この両者のこの10年ほどの労働分配率の動きを見てみました。
先ずマクロレベルの動きを見ますと2013年、日銀のゼロ金利政策で円高が解消してからは労働分配率はほぼ横ばいで来ていましたが2018年度辺りから上昇に転じ、2020年には75%という史上最高とも言われる水準に(多分コロナが)押し上げています。
一方法人企業統計の方は、2017年までは低下傾向で、これは円安になって製造業を中心に企業収益が改善したという状況をそのまま反映しています。
然しその後2018年後半からは景気が不況に転じ、売り上げが伸びずすこしのちんあげでも 人件費負担が労働分配率を押し上げ、2020年にはコロナ禍でさらに深刻化の様相です。
いずれにしても、今後が心配される状況であることには違いが無いのですが、マクロレベルとミクロレベルの違いは、法人企業統計は文字通り、法人企業だけで、自営業は入っていません。
自営業はその所得を賃金と利益に分けることが難しい所がありますし、この労働分配率が75%という数字の場合の国民所得は要素費用表示と言って、 賃金と利益と財産所得の合計で、賃金にも利益にも入らない消費税ははいっていません。
消費税が入っているのは市場価格表示の国民所得で消費税の分だけ金額が大きくなりますからそれで計算すると労働分配率は67%です。
企業も労働分配率を下げるためには価格引き上げもやむを得ないという事で、加工食品その他最近値上げが目立ちます。
2020年ごろから我慢していたのが2,022年には我慢も限界という事でしょうか。
労働分配率の上昇というのは、経済にとっては1つの危険信号です。政府にも打つ手はあまり無いでしょう。
政府、経団連、連合、などの関係団体が、かつての日本のように、よく話し合って、三方よし、四方よしになるような相談などをしたらどうでしょうか。