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米中「民主主義論争」:本格論議に発展させよ

2021年12月06日 23時11分08秒 | 国際関係
アメリカが今月9日からオンライン形式で、110の国や地域の首脳などを招いて「民主主義サミット」を開催することになりました。
これに対抗するという事でしょうか、中国はアメリカ流の民主主義への批判を強めると同時に、中国も民主主義国家であるという主張を強めることになったようです。

具体的には、今月4日「中国の民主」と題する白書を発表し、5日には「アメリカの民主の情況」という文書を公表しています。

アメリカの「民主主義サミット」の呼びかけをきっかけに、米中間で、というより世界中で、「民主主義とは何か」を本格的に議論するという状況が生まれたとすれば、これは大変素晴らしいことではないでしょうか。 

 というのも、今の世界は、アメリカは世界の民主主義のリーダーということになっていて、一方、大国では中国、ロシアは専制主義と言われながら、それぞれに選挙制度、多数決せいどを持ち民主主義の形を取っているということになっているのです。

そうした中で中国は今回、民主主義というのは必ずしも一様ではない。それぞれの国にその国に見合った民主主義があって然るべきという論争を仕掛けているように思われます。
「論争」は大いに結構です。「戦争」はしない方が良いのです

私共が得られる情報は、マスコミの報道しかないので、それが正確であるという前提での話になるのですが、中国は、アメリカの情況について、金権政治で少数者が支配し、アフガニスタンでは20年も戦争をし多くの犠牲者を出して人道的に問題がある、などと批判しています。

一方アメリカは、中国・ロシアは専制主義国家と位置づけ、民主主義国家を守るために「民主主義サミット」を開催するわけです。
それに対して、専制主義国家と名指す中国が、中国は中国流の民主主義、より高度な民主主義を創造して実践していると言っているという事です。

こうなればアメリカも、自らの民主主義の正しさを立証し、民主主義の本質に照らして、いずれが真の民主主義に沿うものかについて、本格的に論争しなければならないという事になるのではないでしょうか。

そのためにも有意義な議論が9日からの「民主主義サミット」で行われることを期待することになるのですが、アメリカとて、決して問題がないわけではないでっしょう。 

ついこの間までのトランプ政権では、まさに専制君主的な行動をとる大統領を民主的な選挙で選んでいたわけで、特に米中関係では関税や制裁で、米中対立の激化をもたらしていたという実績もあるわけです。

勿論、中国は後発国に対する援助政策、先進地域では強大な軍事力を見せつけるような示威行為などと、国際的な緊張を高める行動の使い分けで、国際関係の安定を無視するような各種政策も日常です。

客観的に見れば、中国・ロシアなどの自称民主主義国は「拡張主義」の政策がお好きなようで、アメリカは自らの覇権の維持でこそ世界の安定は保てるという、時には独善的な政策でそれに対抗するといった形でしょうか。

その渦中で、改めて中国が「民主主義とは何か」という問題を提起してきたのです。
もし、中国がそれを本気で提唱、実行するというのであれば、世界の情勢は大きく変わる可能性もあり得ます。

少なくとも、地球人類がみな民主主義を良しとすれば、戦争による破壊や惨禍はなくなるでしょう。

結果はどうなるか解りませんが、ここは徹底的に論争・論戦を展開して、共に理想とするべき「民主主義」の本格的な実践の基礎作りに役立てるという方向に少しでも進んでくれることを期待したいと思う所です。