日本経団連が春闘方針を出し、連合は4%賃上げ目安(2%の経済成長分+定期昇給分2%)を決めたようです。春闘の大枠が見えてきました。
報道によれば、岸田総理は、賃上げ減税について、宮沢税制調査会長に対し、「一人一人の給与の引き上げにつながる実効性のある制度」にするよう指示したとのことです。
税制調査会の方は、企業が適用要件を満たした場合、「法人税から差し引く控除率」を、現在の15%から、企業の賃上げ取り組み状況に応じて段階的に引き上げる方向で調整を進めているという事です。
引き上げの幅は大企業で25%、中小企業で30%にするなどが検討されており、そのほか、従業員の教育訓練費の増加の場合でも適用をすることもつけ加えることも検討しているようです。
企業の教育訓練費についての援助は、いわば従業員への投資で、将来志向のものですから
賃上げとは違った性格のもので、こうしたものへの援助政策は、対企業でも、対個人でも検討に値するものと言えそうです。
ところで、岸田総理の「新しい資本主義」が目指す「成長と分配の好循環」を実現するための政策の具体化が、賃上げ減税の基本的な視点でしょうから、それは、賃上げへの配分を政府が援助するころで、結果的に労働分配率の上昇と同じ効果を生み出し、現状では異常に不振な消費を刺激して、経済成長率を高めようという発想によるものでしょう。
それはそれで環境条件によっては効果を持つ可能性もあるものでしょう。しかし、それが「一人一人の給与の引き上げにつながる実効性」という事になりますと、それはどういう意味ですかという事がよく解らなくなってきます。
賃金を引き上げた企業に対して政府が援助するというのは、マクロ政策としては(現状で効果があるかどうかは別として)、国の行う所得の再分配政策として有り得るのでしょう。
然し、「一人一人の」という事になりますと、これは個別賃金、企業内の個人別賃金の配分の問題に政府が入り込むという事になるのではないでしょうか。
これは勿論、企業の専権事項で、政府の政策課題にはなりえないものでしょう。
岸田総理の「みんなの賃上げに役に立ちたい」という気持ちも解らないではありませんが、「新しい資本主義」の目指す「成長と分配の好循環」に即して言えば、政府の為すべき仕事は、労働分配率の低下を、政府の手による所得の再分配で是正し、個人消費支出の拡大を実現して、経済成長率を高めるという好循環の実現に尽きるのではないでしょうか。
であってみれば、政策は、賃金、教育訓練費などの企業の支払う人件費の増額に対して考えるのもので、個別賃金の決定は企業に任せるのが政府の態度であるべきでしょう。
「(評判の悪かった)官製春闘ではないと理解しています」という声も、経済同友会などから聞こえてくるところですが、政策の趣旨が正しく理解され、誤解が起きないようにすることが先ず必要なのでしょう。
そして、そのためには、政府が春闘を何とかしようと「独りよがり」で考えるのではなく,ILO(国際労働機関)の理念でもありますが「政労使」三者のコミュニケーションを常に確り取って、誤解があれば取り除いていくといった、「日常の地道な努力」が必要なのではないでしょうか。
かつての「産労懇(産業労働懇談会)」などは、大いに参考になるような気がします。
報道によれば、岸田総理は、賃上げ減税について、宮沢税制調査会長に対し、「一人一人の給与の引き上げにつながる実効性のある制度」にするよう指示したとのことです。
税制調査会の方は、企業が適用要件を満たした場合、「法人税から差し引く控除率」を、現在の15%から、企業の賃上げ取り組み状況に応じて段階的に引き上げる方向で調整を進めているという事です。
引き上げの幅は大企業で25%、中小企業で30%にするなどが検討されており、そのほか、従業員の教育訓練費の増加の場合でも適用をすることもつけ加えることも検討しているようです。
企業の教育訓練費についての援助は、いわば従業員への投資で、将来志向のものですから
賃上げとは違った性格のもので、こうしたものへの援助政策は、対企業でも、対個人でも検討に値するものと言えそうです。
ところで、岸田総理の「新しい資本主義」が目指す「成長と分配の好循環」を実現するための政策の具体化が、賃上げ減税の基本的な視点でしょうから、それは、賃上げへの配分を政府が援助するころで、結果的に労働分配率の上昇と同じ効果を生み出し、現状では異常に不振な消費を刺激して、経済成長率を高めようという発想によるものでしょう。
それはそれで環境条件によっては効果を持つ可能性もあるものでしょう。しかし、それが「一人一人の給与の引き上げにつながる実効性」という事になりますと、それはどういう意味ですかという事がよく解らなくなってきます。
賃金を引き上げた企業に対して政府が援助するというのは、マクロ政策としては(現状で効果があるかどうかは別として)、国の行う所得の再分配政策として有り得るのでしょう。
然し、「一人一人の」という事になりますと、これは個別賃金、企業内の個人別賃金の配分の問題に政府が入り込むという事になるのではないでしょうか。
これは勿論、企業の専権事項で、政府の政策課題にはなりえないものでしょう。
岸田総理の「みんなの賃上げに役に立ちたい」という気持ちも解らないではありませんが、「新しい資本主義」の目指す「成長と分配の好循環」に即して言えば、政府の為すべき仕事は、労働分配率の低下を、政府の手による所得の再分配で是正し、個人消費支出の拡大を実現して、経済成長率を高めるという好循環の実現に尽きるのではないでしょうか。
であってみれば、政策は、賃金、教育訓練費などの企業の支払う人件費の増額に対して考えるのもので、個別賃金の決定は企業に任せるのが政府の態度であるべきでしょう。
「(評判の悪かった)官製春闘ではないと理解しています」という声も、経済同友会などから聞こえてくるところですが、政策の趣旨が正しく理解され、誤解が起きないようにすることが先ず必要なのでしょう。
そして、そのためには、政府が春闘を何とかしようと「独りよがり」で考えるのではなく,ILO(国際労働機関)の理念でもありますが「政労使」三者のコミュニケーションを常に確り取って、誤解があれば取り除いていくといった、「日常の地道な努力」が必要なのではないでしょうか。
かつての「産労懇(産業労働懇談会)」などは、大いに参考になるような気がします。