tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

建設受注統計問題(前回)の補遺

2021年12月16日 20時01分58秒 | 政治
今日の参議院の討議でも、建設受注統計の不祥事問題が論じられ、その中でも「二重集計」による受注額の水増し問題が指摘されていました。

担当大臣や国交省の担当者の説明があまりに不十分なので、どんな問題があるのか具体的に調べてみました。

結果は、何か意図的に「鉛筆を舐めて」受注額を増やすようなことになっていることが解りました。

前回書きましたが、事業者が報告をサボっていて「何カ月か纏めて届けた場合」に問題は発生します。
この統計は「月報」ですから提出が遅れると速報の発表などには当然間に合いませんから、その分は受注がなかった事になり、その月の受注統計の額が少なくなります。

後から、前の月の記入票(事業者が記入した「原票」)が届いても、既に発表した統計に後から足すわけにはいきません。
そこで、そうした欠落分の補正するために、届かなかった事業者の分は届いた原票の数字の平均(架空の推計値)を本省で書き込むというルールを作っていたのだそうです。

そこに後から何カ月も以前からの原票が纏めて届いても扱いに困るので、「何故か」纏めて届いた何カ月の分は纏めて、届いた月の受注という事にして「原票」を消しゴムと鉛筆で書き直して本省に送れという事にしたという事です。

これですでに間に合わせで入れておいた「架空の推計値」は、まさに「二重計上」という事になります。

また、地方の担当者が消しゴムで消したブランクの原票にも、届け出た月の「平均の推計値」を書き込んだという説明も(マスコミによっては)あって、これはまた三重計上になるわけで、かなり不適切なことが行われていたようです。

ネットで調査票を見ますと、大変丁寧に記入方法の説明もあり、提出期限は翌月10日、期限での提出をお願いしますと書いてあります。
提出の覚書欄として、4月から翌年3月までのチェックが出来る表までついています。
それでも半年分纏めてなどというケースもあるそうです。

不祥事発生の原因は基本的には、そこにあるのでしょう。業者みんなが翌月10日の提出期限を守れば何も起きないのです。

何故提出が遅れるのかという根本問題は、国会でも何の議論もないようです。国交省の調査ガイドでは「電子データによる回答の説明もありますが、どのくらい使われているのでしょうか。

ただ、気になるのは、改竄が、数字が多くなるように、多くなるようにと考えられていることです。
毎月勤労統計の場合もそうですが、賃金が増えるのがいいとの判断でしょうか、取扱い錯誤の訂正を黙ってやっています。毎 勤統計の賃金水準が急に上がって驚きました。

当時政府がGDP増加を熱望したり、賃上げ奨励をしたりでしたので、お役所がそれを忖度して不合理な辻褄合わせをしたのでしょうかなどと下司の勘繰りもしたくなります。

いずれにしても困った事で、統計調査の原票は、大切に保管して、何かあった時の決定的な証拠資料と考えるべきものです。書き換えれば「真実が消える」のです
それを書き換えてしまうなど、統計に関わるものの最大の恥であり汚点でしょう。
この所は官僚のあるべき姿、その使命の自覚に関わる問題です。

もう1つは、不祥事の根本原因については議論もなく、時代遅れの法律や政策の結果に困った挙句の姑息な官僚の粗末な対応ばかりを糾弾したり、責任回避に汲々として答弁を繰り返すといった選良の方々の姿を見るのも、何か情けなさを感じるところです。