前回、些か過激なことを書きました。
欧米に倣って、大幅賃上げをして、日本経済もインフレですよという印象を海外に与え、それなら金利を引き上げても当然だろうとアメリカにも、国際投機筋にも考えさせて、周囲がみんな認め、みんなも、それなりの政策や取引の在り方を考える中で、日本も金利政策を考えるようにすれば、日本の経済・金融政策はもっとやり易くなるのではないかという趣旨です。
高度成長の頃、日本がやっていたことは、財政は健全財政堅持で、国債は発行せず、経済の成長は財政ではなく、民間の投資でやっていくというものでした。
第二次大戦で国力を使い果たし、発行した国債は紙くずになってしまった経験に学んだ結果でしょう。
日銀は貯蓄を奨励し、銀行による間接金融で、その金は成長部門に投資され、通産省の構想に基づく産業政策が功を奏して、日本経済は、繊維や雑貨から、カメラ、オートバイ、トランジスタラジオ、ウォークマン(半導体産業の魁)そして3C、新3Cの家電製品、さらには自動車まで、世界に注目されるようになっていったのです。
その間は景気が良くなれば国際収支が赤字になり金融を引き締め、黒字になれば経済加速という繰り返しでした。
今の日本経済は、経常収支は万年黒字です。これは1つには石油危機で日本経済は国際収支が赤字になったら立ち行かないという経験、もう1つ、GDP以上に消費すると赤字になる」という固定観念によるものでしょう。
一方政府は財界の要望もあり、昭和40年の「戦後最大の不況」や石油危機をきっかけに国債発行というそれまでの禁じ手を使うようになり、国際収支は黒字、国家財政は赤字という経済スタイルが定着しました。国そのものは黒字ですから、国債は国内で消化可能ですから、外から見れば立派な黒字国です。
こうして日本は国際収支の万年黒字国になりましたが、それは当然赤字国を生み出します。その代表がアメリカでした。
アメリカは、そうした状態は不適切と考え、プラザ合意で日本に円高容認を迫りました。円高になれば競争力がなくなると考えたのです。
これがきっかけで、日本は長期の円高不況に苦しみ、未だに立ち直れないでいますが、相変わらずずっと万円黒字国です。
日本人はGDP以上に消費すると赤字になる、赤字になると日本経済は壊滅すると考えていますから、GDPが減れば消費を減らします。そしてGDPを使い残した分は黒字になります。だから日本は万年黒字国です。
結果は、万年赤字国は「万年黒字国が悪い」と言い、日本は輸出も自粛し、工場は外国に作って外国の経済に貢献します。日本の国内の産業は伸びませんが、海外投資の収益が入って来て国際収支は黒字が維持されます。
アメリカは、日本は黒字だ、高価な防衛装備品を沢山買えと言います。日本はどうすればいいのでしょうか。(次回に続きます)